上 下
298 / 667
第3章 豪牙の新たな力

第413話 久々のチート薬学と母性をくすぐるアレク!

しおりを挟む
陛下達の視察が済んだので、ノックスと豪牙の模擬戦を見てもらうことになった。もちろんラヴァーナにも協力を依頼して防御結界を張ってもらう。

「ラヴァーナ様とオレールさん、大変だと思いますが、防御結界よろしくお願いします」

観客席に全員が集まっている中、アレクがラヴァーナとオレールに頭を下げてお願いをする。

「うむ!任された!だが、ここまでの防御結界は見たことがないぞ」

防御結界用の魔道具とラヴァーナとオレールの防御結界の三重構造に驚きを見せる。

「ラヴァーナ様、師匠はすぐ暴走しちゃうので、これでも心配なくらいです。ね?オレールさん」

「そうですね。今のノックスの最大火力をぶつけたら壊れるかもしれません。観客席にまで被害が及びそうなら一点集中で防御結界を張ってなんとか防ぎます」

全体に防御結界を張るだけでも相当な魔力を消費しないといけないにも関わらず、高度な魔力操作と魔法操作が必要な状況になっても集中力を切らさずに行うと言うのだ。

「ほぉ~、更に強くなっておるのだな!確かに、会った時の気配が以前とは比べ物にならぬ感じではあったな」

ラヴァーナは、魔物の街の入口でノックスと再会した時のことを思い出しながら語る。

「ここに来てから、魔物とずっと訓練を繰り返していますからね。師匠は、どこまで強さを求めているのかと思ってしまう時があります」

「ノックスには目標がありますからね。まだ到達していないのでしょう。それより魔王様、少し高度ですが、更に強固な防御結界を組んでみませんか?」

オレールが、ラヴァーナに防御結界のことで提案する。

「うむ。どのようなものか説明せよ!」

「魔力の波長を合わせて混ぜるのです!かなり難しいとは思いますが、アレクくんがいれば問題は解決すると思います。アレクくん、魔力を同じに出来る薬はありませんか?」

アレクは、久しぶりにスキルが役に立つのではないかと思う。すぐさま、全知全能薬学を使って薬を探す。

「待っていてくださいね。う~ん?これもいいかも!でもこっちも捨て難ないな」

アレクは、タッチパネルを操作しながら色々な薬を検索して、より良いものを探す。

「よし!これにしよ!すぐ作るから待っていてください」

スキルで素材を出して、すぐに調合を開始する。

「いつ見ても凄いスキルであるな!こんなことが世に知れてしまえば大変なことになるであろうな」

あらゆる薬を探し出して瞬時に作り出すスキルは、脅威のなにものでもないのである。ラヴァーナは、そのことを懸念してしまう。

「アレクくんが、こうしていられるのも陛下や魔王様が利用しようと画策しないお陰でもあります!本当に感謝しています」

「当たり前であろう!アレクは妾の子を救ってくれた恩人である。そのような人物を利用しようなどできるはずがなかろう」

オレールは、頭を下げてラヴァーナに感謝の言葉を述べるが、ラヴァーナからすると当たり前のことだと言うのであった。

「出来ましたよ!1日だけ魔力波長を同じにする薬と魔力常時回復薬と魔法速度向上薬です」

アレクは、あの一瞬の間に三つもの薬を作っていた。魔法速度向上薬については、名前の通り、魔法の発現スピードを上げる薬である。
そしてアレクは、やり切ったと言う表情で二人を見る。あまりにも清々しい顔をするので、オレールもラヴァーナも母性がくすぐられたのか自然とアレクの頭を撫でてしまう。

「うむ!素晴らしいではないか!よくやったぞ!アレクよ」

「アレクくん、まさか本当に作ってしまうとは素晴らしいですよ」

アレクの髪の毛がぐしゃぐしゃになるまで二人は撫で回す。アレクは、嫌がることなく少し恥ずかしいのか頬を赤く染めて下を向き笑顔になる。

「そんな褒めないでくださいよ!恥ずかしいじゃないですか」

何故だがわからないが、更に母性をくすぐられてしまったラヴァーナは、思わず我が子にするように抱きついてしまう。

「偉いぞ!それに本当に可愛いなアレクは!」

「ラヴァーナ様!恥ずかしいですよ~」

大きな胸に顔を埋める形となったアレクは、恥ずかしさで居ても立っても居られなくなる。

「アレクよ、済まなかった!あまりにも可愛すぎて、つい抱き締めてしまったのだ。許せ」

ラヴァーナは、アレクの言葉で我に返ると、すぐに離して謝る。

「いいですよ。それより薬を試してみてください」

アレクは、すぐに気持ちを切り替えてラヴァーナとオレールに薬を飲むように言うのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」

まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。 気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。 私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。 母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。 父を断罪できるチャンスは今しかない。 「お父様は悪くないの!  お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!  だからお父様はお母様に毒をもったの!  お願いお父様を捕まえないで!」 私は声の限りに叫んでいた。 心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 ※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※タイトル変更しました。 旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」

前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。 神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。 どうやら、食料事情がよくないらしい。 俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと! そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。 これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。 しかし、それが意味するところは……。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

七瀬美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【完結】悪役令嬢に転生しましたが、聞いてた話と違います

おのまとぺ
ファンタジー
ふと気付けば、暗記するほど読み込んだ恋愛小説の世界に転生していた。しかし、成り代わったのは愛されヒロインではなく、悪質な嫌がらせでヒロインを苦しめる悪役令嬢アリシア・ネイブリー。三日後に控える断罪イベントを回避するために逃亡を決意するも、あら…?なんだか話と違う? 次々に舞い込む真実の中で最後に選ぶ選択は? そして、明らかになる“悪役令嬢”アリシアの想いとは? ◆もふもふな魔獣と共に逃避行する話 ◇ご都合主義な設定です ◇実在しないどこかの世界です ◇恋愛はなかなか始まりません ◇設定は作者の頭と同じぐらいゆるゆるなので、もしも穴を見つけたらパンクする前に教えてくださると嬉しいです 📣ファンタジー小説大賞エントリー中 ▼R15(流血などあり)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。