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第1章 森の長による開拓
第385話 ラヴァーナ様にお願いと初交渉!
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ドワーフの女性陣がやってきて、より一層街らしくなった。それは、やはり衣服である。あっという間に、衣服を作りあげて魔物達が言われるままに着て、街中を闊歩している。初めは違和感があり、受け入れがたさもあったのだが、男性の魔物はドワーフの作る衣服の着心地の良さに惹かれ、女性の魔物はオシャレに目覚めたのだ。
そして、更に鍛冶場が出来たことで、武器や防具も作ることができるようになった。
「こんな早く街らしくなるなんて思わなかったよ」
アレクは、ドワーフの素早い仕事に驚いてしまう。
「確かに、驚きはありますが、物流の面においてはまだまだです。いまだに肉しか食べるものがないというのはいかがなものかと。それに、塩なども残りが少なくなってきています」
パスクの言う通り、畑も作る必要があるのと、交易や商人に来てもらう必要があるのは確かなのだ。
「そうだね。ラヴァーナ様に頼んで来てくれる商人がいないかと交易が出来ないか尋ねてみるよ」
人間の商人よりかは、魔族の商人の方が魔物に慣れ親しんでいるだろうというアレクの考えである。
「それは、いい案ですね。もし、うまくいけば一気に生活水準が上がりますよ」
パスクも、どうやら乗り気のようでアレクは一安心する。
「早速行ってくるよ。パスクは、ドワーフに商業ギルドを作るように手配しといてくれない?」
「畏まりました。冒険者ギルドと宿屋も作るように手配しておきます。アレク様のことですから、その辺りも考えていらっしゃるんでしょ?」
「冒険者ギルドについては、まだ先だよ。多分問題が絶えないだろうからね。だから、冒険者ギルドは保留で宿屋だけ作っておいて」
魔物を見るなり斬りかかる冒険者を入領してしまったら、毎日が大変なことになると考えたアレク。
「確かに、言われてみるとその通りかもしれません。冒険者ギルドは、保留に致します」
「そういうことで、あとは任せたよ」
そう言ってアレクは、魔ノ国に転移する。
◆
「ラヴァーナ様、お久しぶりです!」
「誰なのだ?ってアレクではないか!急に目の前へ現れるから驚いたぞ」
またしてもアレクは、転移で直接、魔王城に転移したのだ。いきなり現れたアレクに驚くラヴァーナではあったが、魔王だからだろうか?顔色一つ変えない。
「ごめんなさい!最近入国手続きが面倒で直接来てしまう癖が......」
アレクは、舌を出しながらテヘッとした表情を浮かべる。
「普通であれば、即牢屋行きであるぞ。まぁ、アレクだから良いのだがな。して、今回は何用で参ったのだ?」
アレクだから許されるのは、魔ノ国でも変わらないようだ。それだけ信用されているのである。
「魔物の街を......新しく領主になったので、来てくれる商人がいれば紹介して貰えないかなと思い来ました」
いきなり魔物の街と言っても、話が通じないだろうと思い、領主になったことを話す。
「領主になったとな!めでたいことだ!商人の紹介はしてやれるが、人間の商人ではなく魔族を選ぶ理由を詳しく話せ!それと、魔物の街とはなんなのだ?」
すぐに祝ってくれるラヴァーナだが、はいそうですかと簡単には商人を紹介されるはずもなく、理由を聞いてくる。
「少し長くなりますが、全てお話します」
アレクはその後、魔物の街を治めるようになった経緯と何故魔族の商人が必要なのかを話した。
「フッハハハハ、やはりアレクはおもしろいな。普通ではないと思っておったが、まさか魔物と共存するとはな。だが、妾は嫌いではない。寧ろより好意的に捉えておる」
元々魔物が好きで飼い慣らしているラヴァーナにとって、魔物と共存するアレクは、かなり良い印象を与えたようだ。
「だがここからは、交渉である。妾......いや、魔ノ国にとって商人を紹介した際、有益になる理由があるなら述べよ」
一国の主として、タダで紹介するわけにはいかないと言うラヴァーナ。
「金銀とミスリルとオリハルコンが、採掘されました。かなりの量を確保しています。これで、有益性があると認知してもらえましたか?」
ラヴァーナは、真剣な顔から急に笑い出す。アレクは何が面白いのかさっぱりという様子だ。
「アレクよ!素直過ぎるのである。妾だから良いが、次からは交渉術をしっかり学んでから来るのであるぞ。しかし、有益性は理解した。ちょっと待つのだ。ジキタリスおるか?」
初めから、全ての手札を晒して交渉に挑んだアレクに一声告げる。アレクは、素直過ぎたかなと反省して、次からはパスクも同行させようと考える。
「ハッ!魔王様、どう致しましたか?」
ジキタリスは、部屋の隅からスッと現れる。いつからいたのか?ずっといたのか?と思うアレク。
「話は聞いておったな?今すぐ商人の手配をしてやってくれ。それと、交易に必要な物を算出してアレクと話し合うのだ。くれぐれも対等に頼むぞ!アレクは、妾にとって大事な友であるからな」
どうやら商人を紹介してくれるらしい。それと、交渉が苦手なアレクに対して、不利益な条件を突きつけないようにしてくれる。
「ハッ!畏まりました。タカハシ辺境伯様、早速ではありますが、交渉に入りましょう」
どうやら、すでに必要な物の算出を終えているジキタリス。流石、魔王の右腕である。
「はい!よろしくお願いします」
こうして、アレクのいや、魔物の街にとっての初交渉が始まったのであった。
そして、更に鍛冶場が出来たことで、武器や防具も作ることができるようになった。
「こんな早く街らしくなるなんて思わなかったよ」
アレクは、ドワーフの素早い仕事に驚いてしまう。
「確かに、驚きはありますが、物流の面においてはまだまだです。いまだに肉しか食べるものがないというのはいかがなものかと。それに、塩なども残りが少なくなってきています」
パスクの言う通り、畑も作る必要があるのと、交易や商人に来てもらう必要があるのは確かなのだ。
「そうだね。ラヴァーナ様に頼んで来てくれる商人がいないかと交易が出来ないか尋ねてみるよ」
人間の商人よりかは、魔族の商人の方が魔物に慣れ親しんでいるだろうというアレクの考えである。
「それは、いい案ですね。もし、うまくいけば一気に生活水準が上がりますよ」
パスクも、どうやら乗り気のようでアレクは一安心する。
「早速行ってくるよ。パスクは、ドワーフに商業ギルドを作るように手配しといてくれない?」
「畏まりました。冒険者ギルドと宿屋も作るように手配しておきます。アレク様のことですから、その辺りも考えていらっしゃるんでしょ?」
「冒険者ギルドについては、まだ先だよ。多分問題が絶えないだろうからね。だから、冒険者ギルドは保留で宿屋だけ作っておいて」
魔物を見るなり斬りかかる冒険者を入領してしまったら、毎日が大変なことになると考えたアレク。
「確かに、言われてみるとその通りかもしれません。冒険者ギルドは、保留に致します」
「そういうことで、あとは任せたよ」
そう言ってアレクは、魔ノ国に転移する。
◆
「ラヴァーナ様、お久しぶりです!」
「誰なのだ?ってアレクではないか!急に目の前へ現れるから驚いたぞ」
またしてもアレクは、転移で直接、魔王城に転移したのだ。いきなり現れたアレクに驚くラヴァーナではあったが、魔王だからだろうか?顔色一つ変えない。
「ごめんなさい!最近入国手続きが面倒で直接来てしまう癖が......」
アレクは、舌を出しながらテヘッとした表情を浮かべる。
「普通であれば、即牢屋行きであるぞ。まぁ、アレクだから良いのだがな。して、今回は何用で参ったのだ?」
アレクだから許されるのは、魔ノ国でも変わらないようだ。それだけ信用されているのである。
「魔物の街を......新しく領主になったので、来てくれる商人がいれば紹介して貰えないかなと思い来ました」
いきなり魔物の街と言っても、話が通じないだろうと思い、領主になったことを話す。
「領主になったとな!めでたいことだ!商人の紹介はしてやれるが、人間の商人ではなく魔族を選ぶ理由を詳しく話せ!それと、魔物の街とはなんなのだ?」
すぐに祝ってくれるラヴァーナだが、はいそうですかと簡単には商人を紹介されるはずもなく、理由を聞いてくる。
「少し長くなりますが、全てお話します」
アレクはその後、魔物の街を治めるようになった経緯と何故魔族の商人が必要なのかを話した。
「フッハハハハ、やはりアレクはおもしろいな。普通ではないと思っておったが、まさか魔物と共存するとはな。だが、妾は嫌いではない。寧ろより好意的に捉えておる」
元々魔物が好きで飼い慣らしているラヴァーナにとって、魔物と共存するアレクは、かなり良い印象を与えたようだ。
「だがここからは、交渉である。妾......いや、魔ノ国にとって商人を紹介した際、有益になる理由があるなら述べよ」
一国の主として、タダで紹介するわけにはいかないと言うラヴァーナ。
「金銀とミスリルとオリハルコンが、採掘されました。かなりの量を確保しています。これで、有益性があると認知してもらえましたか?」
ラヴァーナは、真剣な顔から急に笑い出す。アレクは何が面白いのかさっぱりという様子だ。
「アレクよ!素直過ぎるのである。妾だから良いが、次からは交渉術をしっかり学んでから来るのであるぞ。しかし、有益性は理解した。ちょっと待つのだ。ジキタリスおるか?」
初めから、全ての手札を晒して交渉に挑んだアレクに一声告げる。アレクは、素直過ぎたかなと反省して、次からはパスクも同行させようと考える。
「ハッ!魔王様、どう致しましたか?」
ジキタリスは、部屋の隅からスッと現れる。いつからいたのか?ずっといたのか?と思うアレク。
「話は聞いておったな?今すぐ商人の手配をしてやってくれ。それと、交易に必要な物を算出してアレクと話し合うのだ。くれぐれも対等に頼むぞ!アレクは、妾にとって大事な友であるからな」
どうやら商人を紹介してくれるらしい。それと、交渉が苦手なアレクに対して、不利益な条件を突きつけないようにしてくれる。
「ハッ!畏まりました。タカハシ辺境伯様、早速ではありますが、交渉に入りましょう」
どうやら、すでに必要な物の算出を終えているジキタリス。流石、魔王の右腕である。
「はい!よろしくお願いします」
こうして、アレクのいや、魔物の街にとっての初交渉が始まったのであった。
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