チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第1章 森の長による開拓

第383話 お父様なんか大っ嫌いです！陛下が崩れ落ちる！

陛下は、執務室で書類仕事をしていた。すると、急にドアが勢いよく開く。

「お父様！どういうことですか？Sクラスの生徒達が休学！アレク様もです。それに、アレク様と親交の深い生徒ばかりです！」

とうとうバレてしまい、エリーゼは憤慨しているのだ。

「それはだな......どう説明したら良いものであるか......」

陛下は、どもってしまい、どうしたらいいものかと悩んでしまう。

「お父様、何か隠していますね。どういうことなのですか？」

「待て！全て打ち明けるので、まず座りなさい」

陛下は、もう言い逃れできないと思い、アレクが、今何をしているのか？そして、親交のある生徒が何故休学をしたのかを、包み隠さず話す。

「お父様ァァァァ！アレク様が、私を除け者にしたのですか？それとも、お父様がですか？」

エリーゼは、話を聞いた後、詰め寄りながら問いただす。

「うむ！それはだな。なんというか.......」

陛下は、言い辛そうな顔をしてどもってしまう。

「お父様！はっきり答えてください」

エリーゼは、どもる様子を見て怪しいと言った表情で、更に詰め寄る。

「す、すまぬエリーゼよ！余が、断ったのだ」

「な、何故ですか？私がアレク様を好きなのはご存知ですよね。何故断ったのですか？」

エリーゼは、泣きそうな顔で陛下を見ながら理由がわからないといった様子で尋ねる。

「魔物の街であるぞ！そんな危険な場所に可愛い娘を行かせるわけにはいかぬではないか！何かあってからでは遅いのだぞ」

陛下も、思いの丈をエリーゼに伝えて、どうにか理解してもらおうと必死になる。

「アレク様がいるなら安心だと思います。それに、一人だけ除け者は悲しいです。そんなこともわからないお父様なんか大っ嫌いです」

そう言ってエリーゼは、執務室を飛び出して行く。残された陛下はというと、ガタンと椅子から崩れ落ちて、頭の中でエリーゼから言われた「大っ嫌いです」がリピートされる。

「へ、陛下！どうなさったのですか？」

そこへちょうど書類を持ってやってきたアントンが、崩れ落ちる陛下を見てどうしたのかと驚く。

「陛下、大丈夫ですか？どこか具合でも悪いのでしたら、すぐに治癒院から......」

「大っ嫌いと言われたのだ」

「はい？大っ嫌いですか？」

陛下が、ポツリと呟くが、アントンからすると意味が不明なのである。

「エリーゼから大っ嫌いと言われたのだ。余は、これからどう生きていけば良いのだ。あの可愛いエリーゼから大っ嫌いと言われたのであるぞ」

アントンは、それを聞いて体の具合が悪いわけではないことに安心した。それからアントンは、陛下とエリーゼの間に何があったのか聞く。

「そんなことがあったのですね。エリーゼ様ならわかってくれるはずです。今頃、レイリシア王妃様のところでしょう」

「余は、このまま待つほかないというわけか？」

陛下は、どん底に突き落とされたような表情でアントンを見る。

「はい！下手に動けば更に嫌われてしまいます。ここは、いつも通りドシッと構えていてください」

「うむ～！わかった！アントンのいうことを信じよう。して、用件はなんなのだ？」

陛下は、椅子に腰掛けていつも通りの様子に戻ったように見せる。しかし内心は、エリーゼのことで頭がいっぱいなのであった。


◆


「お母様！聞いてください！お父様が......」

エリーゼは、母親であるレイリシアの下に行き、先程のことを全て話したのだ。

「あらあら～そうだったのね～。それは、悲しいわね～。でも、大っ嫌いは言っちゃいけないわ～」

金髪のロングヘアでおっとりとした雰囲気のレイリシアが、エリーゼの頭を撫でながら話す。

「でも......」

エリーゼは、納得出来ないと言った表情を浮かべて母親を見る。

「そうね～納得できないわよね～。じゃあ、もし大好きなアレクくんから大っ嫌いって言われたらエリーゼはどうかしら？」

「それは......泣いてしまいます」

「そうよね～悲しいわよね。それと同じことをしたのよ～。まずは、謝りましょう。それから、エリーゼとあの人が納得する妥協案を探しましょう。どうかしら？」

レイリシアは、微笑みながらエリーゼを見る。エリーゼは、悪いことをしてしまったと気付いて暗い顔になる。

「謝ってきます！お母様も一緒に来てくれませんか？一人では、心細いです」

「フフッ！わかったわ～！行きましょう～！私も一度アレクくんに会ってお礼を言わないとと思っていましたからね～」

そう言って、レイリシアとエリーゼは、陛下の待つ執務室に向かうのだった。