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第1章 森の長による開拓

第382話 怒られるレッドドラゴンとオーガ!

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アレクが、お願いしていた公衆浴場が完成を迎えて、オーバーテイカーを間に挟みながら魔物達に入浴のやり方を教えている。やっと慣れた魔物達は、お風呂の素晴らしさを理解したのか?朝から入るものまで出てきた。

「森の長様~!お風呂とは素晴らしいものですね。見てください!髪がツヤツヤです」

レッドドラゴンも、かなり気に入ったようで、一日3回は入っている。アレクは、入りすぎだろうと思うのだが、湯に浸かった時の癒やしと綺麗になることに喜びを感じるらしい。他の魔物達も、お風呂が気に入ってしまったので、公衆浴場を5つも作ることになった。それでも、足りない時があるので、一家に1つはお風呂を作る必要があるかなと思っている。

「湯加減いい!また入る」

通りすがったオーガが、そう言いながら公衆浴場に入っていく。なんと、魔物達はまだ拙いなりにも言葉を話すようになったのだ。学習能力の高さに恐ろしいと思うアレク。

「レッドドラゴンも、随分気に入ったみたいだね。髪綺麗だよ」

「森の長様に、言われたら恥ずかしいです」

レッドドラゴンは、顔を赤らめながら照れる。

「お前が、そんな表情をするとはな。だが、入浴がこんな素晴らしいと思わなかった」

オーガのリーダーが、肩にタオルを背負いながら公衆浴場から出てくる。

「うるさいぞ!俺だって女だ。綺麗になれば嬉しくもなるものだ!」

レッドドラゴンは、アレク以外には男勝りな口調で話す。だが、内面は乙女である。

「レッドドラゴンが、どれだけ綺麗になろうが、その口調じゃ誰も寄り付かないだろ」

「うるせぇ~このピーピー野郎がぁぁぁぁ!殺すぞ」

レッドドラゴンは、規制音が流れる言葉を吐きながら、オーガをぶん殴る。オーガは、ぶっ飛んで誰かの家に突っ込むのだ。

「レッドドラゴン、やり過ぎ!正座!」

アレクが、叱りつける。

「申し訳ございません!ついカッとなってしまいました。もうしませんからお許し下さい」

レッドドラゴンは、土下座をして許してもらおうと必死になる。

「痛ぇぇ~死んだかと思ったわ!」

オーガは、首をゴキゴキ鳴らしながら、起き上がり、こちらに歩いてくる。

「オーガも正座!女の子に対してあれは言っちゃ駄目だからね」

少年が、レッドドラゴンとオーガを正座させるという面白い構図が生まれる。

「何をしとるんじゃ?坊主、そろそろ行く時間じゃが、良いかのぅ?」

おやっさんか、正座させている姿を見て何をしているんだと思う。

「あ!ごめんなさい!すっかり忘れていました」

今日は、女性ドワーフを王都のおやっさんの店に迎えに行くことになっていたのだ。しかし、アレクはすっかり忘れていた。

「なんじゃ!忘れておったのか!今すぐ行くぞい」

「はい!ごめんなさ~い!転移」

アレクは、おやっさんを連れて店に転移する。

「俺達は、いつまで正座していればいいんだ?」

オーガが、レッドドラゴンに尋ねる。

「知らん!森の長様が、許可を出してくれるまでだ。これも試練なのであろう。文句を言わず耐えろ」

オーガは、絶対に忘れられているだけだろうなと思うのだが、なんとなくレッドドラゴンに付き合って正座を続けるのだった。





「待たせたのぅ」

おやっさんが、女性ドワーフに挨拶をする。男性ドワーフより背の低いドワーフ10人が一斉に振り返る。

「あんた久々ね。おもしろそうなことと美味しいお酒を目当てにやってきたわ」

「ブッハハハハ、うまい酒もおもしろいことも用意しておるわ!それと、横にいるのが領主様じゃ」

おやっさんが、アレクを紹介する。

「アレクと言います。よろしくお願いします」

「こんな小さい子が領主様だとわね。驚いたわ。私は、ラッラよ!よろしくね。領主様」

ラッラは、領主と聞いても畏まる様子はない。ドワーフに共通することなのだろうけど、あまり畏まる文化がないようだ。

「ラッラさん達には、魔物の衣服や俺達人間の衣服を作って貰いたいんです!お願いできますか?」

「任せなさい!服作りは得意だわ。それより、美味しいお酒を頼むわよ」

「はい!ちゃんと用意します」

本当に男女問わず、酒が好きだなと改めて思うアレクであった。
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