チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第1章 森の長による開拓

第371話 パスクの成長と仲間の大切さ！

次に転移した先は、王城である。パスクは、アントンに色々教授してもらいアレクの補佐が出来るようにまで成長していた。

「アレク坊、王城の庭だよな？」

「はい！毎回手続きが面倒で最近は、こんな感じです」

それを聞いたノックスとオレールは、普通なら捕縛されて牢屋行きだぞと思う。

「タカハシ辺境伯様～！本日もいい天気ですね。あ！それから、また稽古つけて下さいよ」

兵士の格好をした人物が、アレクの横を通る際に一声かける。

「は～い！また機会がありましたら伺いますね。それまでには、一撃を耐えられるようになっていて下さい」

「手厳しいですね。あれを食らって耐えきるのは、ルーヘン騎士団長くらいですよ。頑張りますけどね。それではまた！」

頭を掻きながら、頭を下げて去っていく。

「随分親しげだな。訓練を手伝っているのか？」

ノックスが、気になってアレクに尋ねる。

「以前、陛下から弛んだ騎士達を叩き直してほしいと言われたことがありまして、その時に知り合った感じです」

陛下からズタボロにしてもいいという命令を受けたので、アレクはその時、騎士団全員を相手にボコボコにしたのである。それから、一部の騎士団員からは憧れの的になり、その他の騎士団員からは恐怖の対象となったのだ。

「チッ！俺も呼べよな。そんなおもしろそうなことをしやがってズルいぞ」

ノックスは、アレクの頭をグリグリしながら言う。

「痛ぁぁぁ！師匠痛いじゃないですか！次やる時は、呼びますから」

「絶対だぞ！また俺を除け者にしたら許さんからな」

どれだけ戦闘狂なんだよと思うアレク。そんな話をしていたら、走ってくる人物がいた。

「アレク様～お待たせして申し訳ございません」

その後ろからアントンがゆっくり歩いてくる。

「パスク、久しぶり！すっかり文官ぽくなっちゃったね」

宰相アントンと同じような、高級感ある服にメガネをかけた姿なのだ。アレクは、この世界にもメガネがあるんだなと思う。

「そうですか？変わった点と言えばメガネくらいですよ。毎日文字とにらめっこしていたら、すっかり目が悪くなっちゃいまして」

アレクは、目を良くする薬なら山程あるけどと思うのだが、あまりにもパスクのメガネ姿が似合っているので敢えて言わないようにした。

「それ程までに大変な毎日だったんだね。領地経営のイロハを頼んだよ。パスクとオドヘートさん頼みだからさ」

「お任せ下さい！しっかり補佐させて頂きます！」

パスクは、任せてほしいと自信満々な顔をして言う。

「タカハシ辺境伯、パスク殿は優秀です。このまま私の後釜にしたいくらいの人材ですね」

アントンが、それ程までに言うと言うことは、かなりの人材なのだろう。パスクが努力したことを素直に褒めないといけないなと思うアレク。

「そうですか！アントン様、パスクを立派に育てて頂きありがとうございました。そして、パスクよく頑張ったね。誇りに思うよ」

「私も、日々教える楽しさやすぐに吸収するパスク殿を見ていると教え甲斐がありましたので、大変充実した日々を過ごせました。こちらこそありがとうございます」

パスクは、二人の言葉を聞いて胸が熱くなったのか？涙を流す。

「アントン様、本当に色々ありがとうございました。いつか恩返し出来る時が来ましたらさせて頂きたく思います」

「では、魔物の街を誰もが認める街にしなさい！それが、私への恩返しです。魔物の街が有益であれば、国の為にもなりますからね」

「はい！わかりました。全身全霊全力を尽くしたいと思います」

アレクは、二人を見て、立派な師弟関係だなと感じる。そして、アントンから出た魔物の街についてだが、より一層努力して誰もが納得する結果を出さないといけないなと思うのだ。

「俺も、出来る限り頑張るからね。師匠もオレールさんも、改めて力を貸して下さい」

アレクは、皆の前で頭を下げる。

「今更何を言っているんだ。俺は、アレクに誓いを立てたあの日から死ぬまで何があっても仲間であり師匠だ」

「私も同じですよ。アレクくんに治して貰ってから、第二の人生を捧げると決めていましたからね」

ノックスもオレールも、今更といった感じで答える。

「ありがとうございます」

アレクも、思わず感極まって涙を流す。こんなにも、思ってくれている仲間がいるんだと再確認出来たからだ。