上 下
204 / 781
第8章 復学生活の始まり

第319話 復学当日から問題を起こすアレク!

しおりを挟む
復学の日を迎えたアレクは、久々の制服に身を包み、歩いて登校している。学園に近付くに連れて学生の姿が目に付くようになり、馬車も往来している。本来貴族あるアレクは、馬車での通学が基本なのだが、王都の街を見ながら気ままに登校したいという理由で歩いているのだ。最悪、遅刻しそうになれば、転移を使えばいいと考えている。

「おい!俺様の道を作れ!こいつら邪魔者を排除しろ」

アレクが、学園の門に近付くと、金髪で目つきの悪い一人の学生が、執事と従者らしき人物に命令しているのだ。

「お前達、イスラス様の言葉が聞こえただろう?早くどけ!」

従者が、剣を抜いて生徒を脅すのだ。剣を抜いたことで、門にいた生徒達全員が走って逃げて行く。

「イスラス様、お待たせ致しました」

「よくやった!俺様に従わなければ、どうなるかこれでわかっただろうな。アハハハハハ」

イスラスは、逃げ惑う学生達を見て勝ち誇ったように大笑いする。

「イスラス様、万歳!イスラス様、万歳」

執事と従者が、両手を上げてイスラスに媚びを売るのだ。それを見ていたアレクは、馬鹿馬鹿しいなと思いながらイスラスの前を素通りして門を潜る。

「おい!そこのお前!俺の前を歩きやがって!許さないぞ」

アレクは、聞こえてはいるものの、相手にしたら面倒だと感じて無視をする。

「おい!聞こえないのか!お前だよお前!クソ!ダンあいつを連れてこい!」

従者はダンというらしく、イスラスはダンに命令をしてアレクを自分の目の前に連れてこようとするのだ。

「わかりました。おい!イスラス様がお呼びだ!止まれ」

しかしアレクは、止まらずそのまま歩き出す。

「この野郎~!」

ダンは、止まらないアレクに対して殴りかかろうとするのだ。だが、気付いたら宙返りしており、次の瞬間には、地べたに這いつくばっていたのである。

「流石に、殴るのはどうかと思うよ。さっきも、剣を抜いて脅してたけど、犯罪だがらね!」

アレクは、這いつくばるダンに対して、忠告をする。ダンは、何が起きたかわからず目をパチクリさせる。

「おい!ダン何をしてるんだ!早くそいつを痛めつけろ」

後ろから、イスラスがダンに命令をする。イスラスには、アレクの動きが早すぎて何が起こっているのか理解出来ていないのだ。

「は、はい!イスラス様申し訳ございません。すぐに痛めつけますのでお待ち下さい」

ダンは、立ち上がり、またしてもアレクに殴りかかってくるのだ。

「はぁぁ...言葉で言ってもわからないなら仕方ないか」

アレクは、ダンの拳を難なく避けて、加減したパンチを腹に食らわせるのだ。

「ぐはぁ...」

ダンは、変な声とヨダレを垂らしながら前のめりに倒れる。

「加減はしたけど、後遺症が残らないように早く連れて帰った方がいいよ。それと、君には特別にお仕置きが必要だね」

そう言った瞬間アレクは、イスラスの前に一瞬で移動してイスラスを抱え上げて、ズボンを下ろしてお尻をバチ~ンと叩くのだ。

「・・・・ぐわぁぁぁいた~い!」

一瞬イスラスは、何が起こったのかわからない様子だったが、次の瞬間、自分のお尻に激痛が走り、情けない声を上げるのだ。

「まだまだいくよ」

バチ~ンバチ~ンと何度もお尻を叩くアレク。

「痛い~やめろぉぉぉ」

「まだ反省してないようだね。もっと強くいくよ」

更に強くバチ~ンバチ~ンとお尻を叩く。次第に、イスラスの喚く声に吸い寄せられたのか、先程脅された生徒やそれ以外の生徒も、その様子を見にくるのだ。

「見るな~やめろ~痛い~ごめんなさい!もう許して下さい」

イスラスは、涙目になりながら訴えるのだ。見物に来た生徒は、いい気味だと笑う者と何が起きてるの?といった者の二種類に分かれるのである。

「これに懲りたら二度とこんなことはしないようにな!」

「ぐぬぬぬ!絶対に許さない!俺は、ダルトワ伯爵家の嫡男だぞ!お前のことを父上に報告してやるからな!覚悟しとけよ」

イスラスは、悔しい顔をしながらアレクを脅すのだ。

「はぁぁ、まだ反省してないんだね。続きをしようか!それと、報告するならすればいいよ。アレク・フォン・タカハシ辺境伯が王都の屋敷で待ってると伝えて」

アレクは、わざと辺境伯とつけるのだ。しかし、イスラスには通じていないようでギャーギャーとまた喚いている。アレクは、また持ち上げて、次はパンツまで下ろしてお尻を叩くのだ。

「ギャァァァ、やめろ~痛い~見るなぁぁぁぁ」

イスラスは、暴れるが一切身動きが取れないのである。それに、痛さと羞恥心で頭がどうにかなってしまいそうになるのだ。

「なにをしてるんだ!ってアレクじゃないか!」

「先生!お久しぶりです」

担任だったギルバートが騒ぎを聞きつけてやってきたのだ。

「アレク、とりあえず、そいつを下ろしてやれ。それと、これがどういう状況か説明してほしいから職員室まで来てくれないか?」

「はい!わかりました。でもこの子も連れて行きますよ!原因の元なので」

アレクは、素直に職員室に行くことは了承するが、イスラスを下ろそうとはしない。

「わかった!連れてきていいから、とりあえずパンツくらい履かせてやれ。履かせたら俺と職員室な」

「は~い!わかりました」

アレクは、抱えたまま器用にパンツを履かせて、先生の後をついていくのであった。
しおりを挟む
感想 2,162

あなたにおすすめの小説

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

嫌われた妖精の愛し子は、妖精の国で幸せに暮らす

柴ちゃん
ファンタジー
生活が変わるとは、いつも突然のことである… 早くに実の母親を亡くした双子の姉妹は、父親と継母と共に暮らしていた。 だが双子の姉のリリーフィアは継母に嫌われており、仲の良かったシャルロッテもいつしかリリーフィアのことを嫌いになっていた。 リリーフィアもシャルロッテと同じく可愛らしい容姿をしていたが、継母に時折見せる瞳の色が気色悪いと言われてからは窮屈で理不尽な暮らしを強いられていた。 しかしリリーフィアにはある秘密があった。 妖精に好かれ、愛される存在である妖精の愛し子だということだった。 救いの手を差し伸べてくれた妖精達に誘われいざ妖精の国に踏み込むと、そこは誰もが優しい世界。 これは、そこでリリーフィアが幸せに暮らしていく物語。 お気に入りやコメント、エールをしてもらえると作者がとても喜び、更新が増えることがあります。 番外編なども随時書いていきます。 こんな話を読みたいなどのリクエストも募集します。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。