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第7章 新たな出会いと仲間

第289話 その後のマルティル辺境伯と3貴族の行く末!

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話は、帝国から皇帝を捕縛し、オネルヴァとライネルを救い出した数日後に戻る。

陛下とアントンが、王城のある部屋へと向かい歩みを進める。

トントントン
アントンがある部屋をノックする。

「起きているぞ。入ってきなさい」

中から入室していいという声が聞こえたので、アントンがドアを開けて陛下と一緒に入る。

「災難であったな。マルティルよ」

「へ、陛下!それに宰相様まで!大変失礼致しました」

まさか、陛下自ら来るとは思っていなかったマルティル辺境伯は慌ててしまうのだった。

「良い良い!楽にせい!まだ回復しとらんであろう」

ベッドから起き上がろうとしたマルティル辺境伯を制す陛下。

「ありがとうございます。陛下」

「礼などよい!まずは、疑ったことを謝らせてくれ!すまなかった...」

マルティル辺境伯が裏切っていたと疑ったことに頭を下げて謝る陛下。それを見たマルティル辺境伯は、大慌てする。

「頭を上げて下さい!陛下!あの状況であれば、誰でも疑って当然です。こうして潔白も証明されましたし、なかったことに致しましょう」

陛下が訪れる数日前に、ヨゼフが訪れてスキルで本当か嘘なのかを確認済みなのである。

「そう言ってくれて感謝する!今後はこのようなことのないようしっかり対策をするつもりである。それに、このようにした帝国を許すつもりもない」

「私は、陛下を信じております。この国をよりいい国にするよう私も微力ながらお力添えしたい所存です。なんでもおっしゃって下さい。それとお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

マルティル辺境伯は、どうしても気になっていることがあったのだ。

「マルティル辺境伯が力を貸してくれるなら百人力であるな。それと、聞きたいこと?気にせず言うのだ」

「ギンベル子爵、マルコ男爵、ハーバイロ伯爵は、今回の件でどうなってしまうのでしょうか?出来ましたら...」

自分ではない存在から騙されて動いた3貴族に対して、どうか情状酌量の余地がないか聞こうとするマルティル辺境伯。

「マルティル、すまぬ...騙されたとはいえだ。裏切ったのだ。なかったことにはできん。平民に落とし国外追放にすることが決まった」

マルティル辺境伯は、最悪死刑も覚悟していたので安心すると共に、自分の所為で国外追放になってしまったと胸を痛めるのだった。

「だが、アナベル...魔王が、それだけ優秀な人材ならほしいと言ってくれてな。魔ノ国に移住することが決まったのだ」

ラヴァーナも、要らない人材ならこのような措置はしなかっただろうが、話を聞く限りかなり優秀な者だとわかり、更に帝国に騙されたと聞いて引き取ることを決めたのだ。

「それから、ギンベル子爵、マルコ男爵、ハーバイロ伯爵から心配しないで下さいと伝えてほしいと言われておる。いつかお会いしましょうと言っておったぞ」

マルティル辺境伯は、その言葉を聞いて色んな感情が湧き上がり自然と涙が溢れ出てくるのであった。

「陛下、申し訳ございません。もう大丈夫です。寛大な心遣いありがとうございます」

暫く涙を流して3貴族のことを考えたあと陛下の方を見て頭を下げるマルティル辺境伯。

トントントン
ドアがノックされて誰かが訪ねてきたようである。

「お話し中、申し訳ございません。御二方をお連れ致しました」

「ご苦労様です。入ってもらいなさい」

アントンが、入室の許可を出す。すると、ドアが開いて二人が部屋の中に入ってくる。その二人を見た瞬間、マルティル辺境伯は止まっていた涙がまた溢れてくる。

「お前達無事だったのだな...よかった...本当によかった...」

マルティル辺境伯は、泣きながらも笑顔になる。

「父上!」 

「父上!」

ライネルもオネルヴァも、涙を浮かべながら思わずマルティル辺境伯が寝ているベッドまで駆けて抱き付きに行く。

「二度とお会い出来ないと諦めておりました。本当によかったです」

ライネルが、本当に嬉しそうに言う。

「俺も会えないと思っていたぞ。こうして元気そうな二人の顔が見られてよかった...」

「父上、父上~」

オネルヴァは、珍しく取り乱して抱きしめてからなかなか離そうとしないのだ。

「お、お~オネルヴァ、俺は元気だから安心するんだ。こんな姿を見たのは小さい時以来だな」

オネルヴァの取り乱した姿に、父として嬉しくなるマルティル辺境伯は、笑顔で抱き返すのだった。

「二人共、陛下の前だ。そろそろ離れなさい」

暫くしてから、陛下がいることを思い出したマルティル辺境伯は、二人に落ち着くように言い聞かせるのだ。それでも、離そうとしないオネルヴァとライネル。

「申し訳ございません。陛下」

「良い良い!家族団欒を邪魔する程、無粋なことはせん!アントン行くとしよう」

陛下は、気を遣い部屋を出ようとする。

「陛下、本当にありがとうございました」

マルティル辺境伯は、最後にお礼を言うのだった。それを聞いた陛下は、笑顔で部屋をあとにする。
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