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第6章 帝国の侵略

第268話 いよいよ王国軍出立!

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「皆の者、よくぞ集まってくれた。そして、帝国軍は既に辺境伯領から進軍を開始したと暗部により連絡があった」

ウズベル王が、城の広場に集まった兵に対して出立前の口上を述べている。
戦争を経験したことのない兵士達は、浮足立つかと思いきや、ゼロの部下との一戦で戦争以上の経験をしたことで落ち着いているようだ。

「お前達が、王国を守るのである!絶対に帝国の思い通りにさせてはならん。無事帰還できた暁には、報奨と休暇を与える。期待しておるぞ」

報奨と休暇と聞いた兵士達は、うぉぉぉと大声を出して喜びをあらわにするのであった。

ちなみに第一騎士団は、最後の砦として王都に残るのである。第一騎士団団長は、活躍の場を第三騎士団いやルーヘンにばかり取られており、陰で不平不満を漏らしているようだ。

今回出立するのが、オレール・セバス・バトラー組とルーヘン率いる第三騎士団と今回に限り第三騎士団の直轄に入る第二騎士団と一般兵士200名と魔ノ国から来たマクガリアスとジンである。そして、連絡係に転移が使えるセイランが同行する。護衛にはジキタリスが付くことになった。

「陛下、では行って参ります!王国に勝利を!」

ルーヘンが代表して最後の挨拶を述べて、王都を出立するのであった。

「皆無事に戻ってきてくれ...」

見送るウズベル王は、どうか死者が出ないよう祈るのであった。

「陛下、ヨゼフ殿が着いたようです。尋問の用意も出来ております」

アントンが、横から声をかける。

「余には余で大事な仕事がまだまだ残っておったな。すぐに行こう」

ウズベル王に黄昏れる時間は全くないのである。ウズベル王は、振り返り城の中に入って行くのであった。





「オレール子爵様、よろしいですか?」

出立して、初めての夜を迎えて野営しているところにルーヘンがやってくる。

「ルーヘン殿、どうしましたか?」

誰に見られているかわからないので、敬称を付けて話すのであった。

「デストロイ将軍についてお聞かせ願えませんか?」

「一言で表すなら化け物...ですね。今いる王国軍総出でかかったとしても、一瞬で蹴散らされます」

横にいたマクガリアスとジンが、頷くように応える。

「そ、そこまでですか?一体どうすれば...」

遊び人ルーヘンの顔ではなく、隊長としての真面目な顔で悩む。

「一般兵士と騎士団には、帝国軍の相手をしてもらい、デストロイ将軍は、私とセバスさんとバトラーさんとマクガリアスさんとジンさんで対処します」

勝てる見込みなどないに等しいと考えながらも、アレクの強化ポーションを初めから出し惜しみなく使って戦えば或いはと思うオレールであった。

「わかりました。私たち騎士団は、邪魔にならないように帝国軍を蹴散らします。オレール子爵様、デストロイ将軍のことお任せしましたよ」

「勝ちはしないものの追い返す程度には、やってみようと思います」

「期待しています。では、私はこれにて失礼します」

ルーヘンは、陣営に戻って作戦会議を開くのであった。

「マクガリアスさんとジンさん、これを渡しておきます」

二人の前に、ポーションをいくつか置くオレール。

「これはなんだ?」

マクガリアスが、ポーションを見ながら何なのか聞いてくる。

「攻撃力・防御力・素早さの向上薬です。それに、魔力100倍増幅薬と常時魔力回復薬になります。そしてこれが、狂化強靭薬です。5分間理性失い、5分後全身の複雑骨折を代償に、あり得ない力を得る薬です」

出し惜しみしていられないオレールは、アレクから渡されている全ての種類の強化ポーションをマクガリアスとジンに渡したのだ。

「聞いているだけで諸刃の剣のような薬だな!だが、おもしろそうだ」

「これを、一斉に使いデストロイと戦うでいいか?」

ジンが確信をつく答えを口にするのだ。

「はい!勝てるかはわかりませんが、これしか方法はありません。これでも負けるようなら諦めるほかないでしょう」

オレールは、嫌な予感しかしない。あの強さを肌で感じて、今でも身震いしてしまうのだった。

「やるしかないだろ!そんなことより、明日のために、今は飯を食って寝るぞ」

マクガリアスは、さっき捕まえたウサギの肉を焼きながら英気を養うよう言うのであった。
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