チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

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第5章 大和ノ国へ出発

第255話 動き出す帝国と王国!

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「なにぃぃぃ!消息不明だと...何故わからんのだ!」

皇帝は、宰相からの話を聞いて激怒していた。眉間にシワを寄せて地団駄を踏みそうな勢いである。

「は、はい!王国の貴族らも一切情報を与えられていないようです。今回偽装に使ったランドルフ男爵と息子のタンバル卿は、不慮の事故で亡くなったと報告を受けたそうです」

「そんなわけあるかぁぁぁ!こちらの情報が漏れておるに決まっておる。あの忌々しい魔族の女め!」

ラヴァーナが、関わっているのは明白だと喚き散らす皇帝。

「こ、皇帝陛下、どのように致しましょうか?」

もし、気に触るようなことを言ってしまった瞬間、自分の首が物理的に飛ぶと考えている宰相は、言葉を選んで話すのであった。

「まずは、王国の内通者を全て殺せ!余計な情報が漏れてはならん!それから、殺す前に情報を必ず引き出すのだ。いいな!?それと、魔ノ国より先に王国を根絶やしにしてくれるわ」

「は、はい!畏まりました。王国内部に潜ませている暗殺部隊に始末をして貰いましょう。では、私は失礼致します」

「待て!新しい女を連れてこい!この忌々しい感情をぶつけるには女が一番だ!」

ブッハハハと笑う皇帝に、宰相は頭を抱えたい気持ちでいっぱいになるのであった。

「はい!すぐに用意致します」

だが、冷酷な皇帝に対して、逆らうことは死を意味する為、誰も逆らうことができないのである。





飛んできた鳩を受け止める一人の男がいた。
足に結んである紙を取り、中を読み進めていく。

「お前達仕事だ。起きろ!ギンベル子爵、マルコ男爵、ハーバイロ伯爵、マルティル辺境伯の暗殺だ」

手紙の中身は、暗殺部隊に送られた指令書だったのだ。

「隊長、冷酷な皇帝陛下らしいですね」

ボケ~とした顔をした細身の男が隊長に話しかける。

「俺達は、命令通り動けばいいだけだ。そんなこと言っていればお前もいつか暗殺対象になるかもな」 

「やめてくださいよ隊長。まぁ、もし暗殺対象になったら楽に殺して下さい」

その男は、ヘラヘラした感じで言う。

「お前を殺す時は、俺自らじっくりいたぶりながら色んな暗殺の実験に使ってやろう」

細身の男は、ガクッと項垂れる。周りにいた他の暗殺者は大笑いするのだった。

「隊長~~そりゃないですよ~」

隊長は、パンパンと手を鳴らす。

「冗談はここまでだ!お前達の暗殺対象を伝える」

そう言って隊長は、今後の計画を話し始めるのであった。





王国の城内にある謁見の間で秘密裏に呼び出された人物が数名集まっていた。

「余の召集に応えてくれたこと感謝する。ここに、集まってもらった4人は信頼の置ける者達である。お前達に任務を任せたい」

集められたのは、オレールとセバスとバトラーとルーヘンであった。

「どのような任務でしょうか?」

ルーヘンが代表して質問をする。

「ギンベル子爵、マルコ男爵、ハーバイロ伯爵、マルティル辺境伯の領へ行き捕縛するのだ」

「陛下、僭越ながらお聞かせ願えませんか?何故、第一騎士団と第二騎士団の者ではなく、この4人なのでしょうか?」

バトラーが、他の3人も気になっていたことを口にする。

「もっともな意見だ。それはだな。武力があり信用の置ける存在が、この4人しかおらんのだ。騎士団も今や信用ならん!それに、信用していた貴族にも裏切られてしまったのでな。本当に情けない王である」

下を向いて憂いの表情を浮かべるウズベル王。それほどまでに、今回の裏切りは胸に来るものがあったのだろう。

「そう言うことでしたら、全力をもって陛下のお力になりたいと考えております」

バトラーは、納得したのと同時に、この任務を達成させて、少しでも陛下の憂いをなくそうと考えたのであった。

「具体的に誰がどの貴族を捕縛するのか?逆らった場合、私兵の鎮圧はどの程度までお許し願えますでしょうか?」

ルーヘンが、具体的なことを陛下に尋ねる。

「うむ。具体的な計画は後程伝えよう。それと、本来であれば殺さず鎮圧してほしいのだが、そうも言ってられんだろう。逆らった場合は、生死は問わん。それと、騎士団を連れて行くのは禁止だ。個人で動いてもらう。すまぬが頼んだぞ」

まさかの、一人でどうにかしろということのようだ。だからこそ、この面子が集められたのである。

「久々に無茶を言いますね。昔を思い出しますよ」

セバスが、現役時代のことを想像しながら呟く。

「あの頃のように、心を鬼にしてかからんといかん案件なのだ。お前達には、申し訳なく思うが頼んだぞ」

その言葉を聞いて、一人一人が「ハッ!畏まりました」と述べるのであった。
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