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第5章 大和ノ国へ出発

第254話 マンテ爺の訓練日記!ある日の冒険!

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ワシは、マンテ爺じゃ。アレクとの出会いは、決してよいもんじゃなかったわい。なんせ、ただ恐怖した人間を食ってやろうと思っただけなんじゃからな。
しかしのぅ、愚かじゃったわい。子供一人にあっさり負けてしまったんじゃ。その時は、死を悟ったがのぅ。しかしその少年は、ワシを従魔にしよったんじゃ。最初は、人間に従うなどと思っておったが、案外良い暮らしでのぅ。それに、ワシの為に、飯がうまくなるポーションまで開発してくれたんじゃ。優しい子じゃわい。それから暫くして、スタンピードが起きたりこんな強者がおるのかというやつらが襲ってきてのぅ。毎日が忙しなかったわい。

「ワシは、強くならねばいかんのじゃ」

今日も、アレクが政務に勤しんでいる間に、マンテ爺は一人で外に出て魔物と戦いにいくのだ。

「やはり王都は賑やかじゃのぅ」

小さいままのマンテ爺は、屋根を伝って門まで行くのであった。
そして、王都の様子を見ながら門を飛び越えて外へと向かう。もう何度も同じことをしているので、誰にも見られず慣れたものである。

「ここまでくれば大きくなっても問題ないじゃろう」

森の中間辺りまで来たマンテ爺は、そう呟きながら木陰に座って器用に腰に巻かれた鞄からポーションを取り出して両手でポーションの瓶を掴んで歯でキュッキュッポンッと開けてゴキュゴキュと飲み干す。すると、元の大きさに戻るのであった。

「やはり元の姿はええわい。動きやすいのぅ」

前足をシュッシュッと振って動きを確認するマンテ爺。ちなみに、腰に巻いた鞄は伸縮する仕様なのだ。

「今日は、奥まで行くかのぅ」

マンテ爺は、足を強く蹴り出して森の奥まで入っていくのであった。

「ゴブリンは、数が多くて困るわい。蹴散らして蹴散らしても襲いかかってきよるんじゃ」

森の奥に向かっていると、ゴブリンが30体程、襲いかかってきたのだ。マンテ爺は、前足で斬りつけたり、首を振って吹き飛ばしたりする。だが、ゴブリンもギャーギャー言いながら恐怖心すらない感じずに襲ってくる。

「鬱陶しいんじゃ。風刃《ウインドカッター》」

無数の風の刃が飛んでいき、ゴブリンの首を刎ねるのであった。

「終わりじゃな。数に対して瞬殺できる魔法を生み出す必要があるのぅ」

マンテ爺は、必殺技を使わずに一気に殲滅出来るような魔法がないか模索するのだった。

「うむ。こちらから強い気配を感じるのぅ。これが、王都に行ってしまうといかんわい」

アレクと過ごす間にマンテ爺の中で、人間も守る存在だという気持ちが芽生えたのだ。

普段ならこのような場所にいない強い気配に、自分がどうにかしないといけないと、その場所に向かうのであった。

「何故こやつがここにおるんじゃ...」

蛇の頭と竜の頭を持ち、竜の身体をし、尻尾には毒針がある。通称ポイズンスネイクドラゴンがいたのだ。
A級に該当する魔物であり、普通はこのような場所にはいないのである。

「珍しい存在がいるようですよ兄者」

「ふっははは、そのようだな。人間を食う前の前祝いをするぞ弟よ」

なんと言葉が話せるようだ。

「なんじゃ?ワシとやるのかのぅ?ええじゃろ。相手になってやるわい」

「生意気なぁぁぁぁ!竜の息吹《ドラゴンブレス》」

いきなりマンテ爺に向かって竜の息吹《ドラゴンブレス》を吐いてきたのだ。

「黒放電之宴《ブラックスパークフェスティバル》」

マンテ爺も負けじと必殺技で対抗する。二つの巨大な攻撃がぶつかり合って相殺されるのだ。

「やるではないか!普通のマンティコアではないな」

「毒の息吹《ポイズンブレス》です」

そう言うと蛇の頭の方が毒の息吹《ポイズンブレス》を放ってくる。

「何度放っても効かんぞい!黒放電之宴《ブラックスパークフェスティバル》」

またしても、巨大な攻撃がぶつかり合って相殺される。しかも、雷魔法のお陰で毒があたり一面に拡がるのを防いだのである。

「ふっははは、馬鹿なやつめ!死ね」

ポイズンスネイクドラゴンは、毒の息吹《ポイズンブレス》を放つと同時に尻尾の毒針をマンテ爺目掛けて刺しにきたのである。

「読んでおるわい。風爪《ウインドクロー》」

しかしマンテ爺は、素早い動きで避けて、爪に風魔法を纏わせてドラゴンの硬い鱗で守られた尻尾を切り落としたのだ。

「ギャァァァ!やりおったな貴様ぁぁぁぁ」

「僕達の大事な尻尾をよくもよくも」

怒り狂った竜の頭と蛇の頭は、マンテ爺へと突っ込んできて噛みつきにきたのだ。
しかしマンテ爺は、全て躱す。

「貴様ぁぁぁぁ!竜の息吹《ドラゴンブレス》」

マンテ爺と目と鼻の先で竜の息吹《ドラゴンブレス》を吐こうとするポイズンスネイクドラゴン。

「それを待っておったわい。風爪《ウインドクロー》」

蛇の頭の噛みつきを避けて、竜の頭の目に風爪《ウインドクロー》で斬りつけるマンテ爺。

「ギャァァァ」

「黒放電之宴改《ニューブラックスパークフェスティバル》」

黒放電之宴《ブラックスパークフェスティバル》より倍の威力の魔法を逆に目の前で放つのだ。避けることの出来なかったポイズンスネイクドラゴンは、まともに食らってしまう。

「ギャァァァ」

「ギャァァァ...兄者...」

丸焦げになったポイズンスネイクドラゴンは、バタリと倒れる。

「案外弱かったのぅ。じゃが、王都が襲われておったら大変なことになっておったわい。では、食おうかのぅ」

それから、丸焦げになったポイズンスネイクドラゴンをおいしそうに食べるマンテ爺。

「恐怖に満ちた肉は最高だわい...なんじゃ?」

食べ終わって一息つこうとしたマンテ爺が、ピカッと光るのだ。暫くすると、光が収まって毛並みが前より良くなり、尻尾に毒針が生えた姿で現れたのだ。

「なんじゃ?進化したのかのぅ?これは、アレクを驚かせられるわい」

ニヤリとしたマンテ爺は、王都に向かって歩みを進めるのだった。
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