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第5章 大和ノ国へ出発

第243話 陛下からアレクに悲しいお知らせとジンの鱗の加工が始まる!

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「戦争に備えて大量のポーションを作っては貰えぬか?」

てっきり帝国に行けと言われると思っていたアレクは、少し拍子抜けするが、あの復興時に作った地獄の日々を思い出してガクッと項垂れるのであった。

「陛下、失礼を承知でお伝えします。またですか...結構しんどいのですよ」

陛下に対して、絶対に口にしてはいけないことだが、あのひたすら続くポーション作製の苦しみを思い出すと自然と出てしまったのだ。

「すまぬなアレク...だが、王国の為なのだ。前回の倍の依頼料を払う。だから頼めないか?」

金ではないんだけどなと思うアレクだったが、この国は好きだし、死んでいく兵士も見たくないと思うのであった。

「わかりました。期限はいつまでですか?近々、大和ノ国にも行こうと思っていまして」

もう日本食がどうしても食べたいんだよと思うアレクは、絶対に大和ノ国に行くと決意しているのだ。

「早ければ早い程助かるが、大和ノ国へ行くのであるか?」

早ければ早いっていつまでだよと思うが、敢えて口にはしない。とりあえず馬車馬のように働けと言われていることは伝わったので、頑張ろうと思うのであった。

「わかりました。今日から作り始めてなるべく早く納品します。納品先は、王城で構いませんか?」

「王城で大丈夫だ。門番には、アレクをいつでも通すように伝えておく。それよりも大和ノ国の話だ。何をしにいくのだ?」

ただの趣味と日本食を求めてなんだけどなと思いながらも、それを口にすることは出来ず、どうしたものかと思うアレク。

「他の国も見てみたいなと、それに聞く話では珍しい様式や服装やらと楽しめそうなので、ヘルミーナを連れて新婚旅行がてら行けたらと思いまして」

ヘルミーナと新婚旅行に行くのは決めていたので、決して嘘をついたわけではないのだ。

「新婚旅行とはなんなのだ?」

アレクは、新婚旅行すらないのかと驚く。確かに、結婚して旅行をする貴族や平民を見たことがないなと思うのだった。

「言葉の通り結婚した夫婦が旅行をすることですよ。護衛としてノックス達を連れて行くので、二人っきりで仲良くとは行きませんが、楽しんでこようかなと」

地球より危ないこの世界では何があるかわからないので、護衛は必須なのである。

「新婚旅行良いではないか!余も久々に夫婦水入らずと...」

「陛下、お言葉ですが、今そのような余裕はございません。国の一大事なのですから」

ウズベル王も、旅行に行くぞと決心したのだが、見事に計画は崩れ去るのであった。

「アントン、余も休暇がほしいぞ!」

「休暇がほしいなら現状が片付いてからにして下さい。私も休暇を頂きますので」

「はぁ~わかったのである。早く安寧の時を迎えられるように努力せねばな」

帝国に対して放っておいてくれないかと思いながらも、未来の王国の為にも動き続けなければいけないなと考えるのであった。

「では、そろそろ帰りたいのですが、よろしいですか?」

ヘルミーナを待たせていることもあるが、王都に来たら寄りたい場所もあったのだ。

「お、おう。そうであるな。新婚である二人を邪魔してすまなかった。帰ってよいぞ。ポーションは、すまぬが頼んだぞ」

「はい!わかりました」

アレクは、そう言ってその場から転移するのだった。

「転移便利だな。余も練習してみようかな?」

「陛下、無理ですので諦めて下さい」

「な、なにを言っておる!余にも才が...」

「ないですから仕事して下さい」

ズバッと切るアントンに陛下は、悲しい顔をして拗ねたように執務室に向かうのだった。これが普段のアントンとウズベル王との日常なのである。





「おやっさんいる~?」

・・・・・

「おやっさ~ん?」

ドタドタドタと奥から走ってくる音が聞こえる。

「なんじゃ!うるさい...って坊主じゃったか。なんのようじゃ?」

変わらないおやっさんにホッとしながら、アレクはジンからもらった鱗を取り出しておやっさんに見せる。

「これを加工して防具を作ってくれませんか?」

おやっさんは、鱗を見るなり目を輝かせる。

「なんじゃなんじゃ。凄いものを持ち込んできよってからに。腕が鳴るわい」

「おやっさん!なるべく早く仕上げて貰えませんか?」

アレクは、帝国の進攻を視野に入れて早く手に入れておいて損はないと思いながらお願いをする。

「うむ。何かあるんじゃな?任せるんじゃ。出来るだけ早く最高の防具に仕上げてやるわい。早速ワシは奥に籠もるのでな。3週間後に取りに来るんじゃぞ」

おやっさんの腕を持ってしても3週間かかるのかと思うアレク。実際、3週間で仕上げられるいや...硬すぎて加工すら困難なのである。3週間とは、おやっさんだからこそ成し得られることなのだ。

「はい!お願いします」

そう言って、アレクは自分の屋敷に転移して帰るのであった。
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