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第2章 魔ノ国の調査隊

第199話 決着と新しい相手は魅力たっぷりな女魔族!

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マルファスは、馬を撫でてから逆召喚で送り返す。

「馬と一緒に戦わなくていいのですか?」

「一対一で決着をつけたいのでな。我は久しぶりに高揚している。では、そろそろ始めるとしよう」

剣を握りしめたマルファスが、パスクに襲いかかる。パスクも、応戦して剣を交える。次第に、お互いの剣速が速く目で追うことが出来ないくらいまで激しい打ち合いになっていく。しかし、時間が経つ事にマルファスの方が剣術が上回り、パスクの体を斬っていく。だが、魔装甲のお陰でダメージはなく、一進一退の攻防が繰り広げられていた。

「師匠、このままではお互い決め手がないのではないですか?」

アレクが、戦いを見ながら互角の攻防に思わず聞いてしまう。

「よく見てみろ!次第にパスクが押され始めるぞ」

ノックスが言った通り、相手の剣の攻撃に苦しい顔をする。そしてパスクは、どんどんリングの端に追いやられ始めるのだ。しかも、魔装甲の炎が段々小さくなっていくのである。

「おっとぉぉぉ!これは、マルファス選手優勢か!どんどん押し始めています!しかも、レオン選手の炎が小さくなっているぞぉぉぉ!これは、早々に決着がつくのかぁぁぁ」

この時マルファスは、パスクの魔装甲を斬りつける度に、自分の魔力をぶつけてパスクの魔力を乱していた。その結果、魔装甲の炎が小さくなったのである。

「これで、終わりだ」

そして、魔力のほころびを見つけたマルファスは、そこを斬りつける。

「炎舞烈火斬」

しかしパスクは、わざと魔装甲を弱めてほとんどを剣の付与に魔力を注ぎ混んだのだ。そして、一点集中で心臓に目掛けて刺しに行ったのだ。

「「ぐはぁ...」」

同時に血を吐いて、マルファスはその場で倒れる。パスクは、その場で片膝を突いて斜めに切られた胸を押さえる。そして、マルファスの腕輪が壊れるのであった。

「なんとなんとぉぉぉ!レオン選手の大逆転勝利です!そしてそして~最初から大番狂わせだぁぁぁぁ」

闘技場は、ワァァァと盛り上がっている人と悲痛な叫びを上げている者もいる。賭けで穴を見事に当てた人と大敗した人である。
スペイビズも、その中の一人で絶叫して喜んでいるのだ。

パスクは、胸を押さえながらリングをゆっくり降りてくる。

「よし!よく勝ったな。ゆっくり休め」

「おめでとうございます。ゆっくり休んで下さい」

ノックスとオレールが労いの言葉をかける。

「これを飲んで。でも、その傷でよく腕輪が壊れなかったね」

アレクは、パスクにハイポーションを渡す。受け取ったパスクは、すぐに飲み傷口は再生させる。
致命傷と判断される基準が不透明ではあるが、見た感じかなり深く斬られているように感じるのだ。

「ありがとうございます。痛みがなくなりました。腕輪ですか?あれは、賭けでしたね。魔装甲で傷が深くならないようにして一撃を狙って、運が良ければ勝てる。運が悪くても相打ちを狙いました。なんとか運よく勝てましたよ」

魔装甲をギリギリのラインに纏わせて、内臓に届かない程度の傷で抑えたのだ。

「勝てたからよかったけど、よくそんな作戦を思いつくよ。でも、お疲れ様。ゆっくり休みながら観戦しといてね」

「はい!休ませて頂きます」

そう言ってパスクは、椅子に座るのであった。

「次は、オレール行ってみるか?そろそろ動きたいだろ?」

「私ですか?そうですね。ずっと動いていませんでしたからやりましょう」

杖を握りしめてゆっくりと立ち上がるオレール。

「それでは、次の選手は前へ出てきて下さい」

オレールは、リングへと向かう。相手選手も立ち上がってリングへと向かうのだが、凄い露出に背にはコウモリの羽のようなものが生えていた。

「あら?いい男ね!私の虜にしてあげるわ」

その女性は、ゆっくり近寄ってきて人差し指でオレールの顔を撫でながら言う。

「近いですよ。離れて下さい」

「ん!つれない男ね。まぁいいわ」

去り際に振り向いて投げキッスをする女性。
だがオレールは、無表情でその様子を伺う。

「流石、サキュバスです!抵抗力のない会場の男達は、メロメロになっております。これは、早々に決着がつくのか?それとも、またおもしろい結末が待っているのか?それでは両者、名前を名乗ってから指定の場所に移動して下さい」

会場にいる抵抗力のない男達の目は、ハートになってメロメロになっているのだ。

「オレールです」

「な~に!?言葉少ないのね。でも寡黙な男は好きよ!そんな男を落とした時の、あの快楽は堪らないわ。私は、スーリスよ。よろしくね。ってあなた!最後まで聞きなさいよね~」

オレールは、スーリスの言葉を最後まで聞かずに、指定の場所へと向かう。

「早く始めましょう」

「もう~なんなのよ。この男!必ず落としてやるんだからぁぁぁぁ」

惑わされているのは、オレールではなく完全にスーリスであった。

「ブッハハハハ、あのスーリスが完全に押されてるぜ。おもしれぇ」

マクガリアスが、大笑いしてその光景を見ているのである。

「母上、何故みんな目がハートになっているのですか?」

ウァラクが、子供ながらの疑問をラヴァーナに問いかける。

「あれは、魅了...まぁウァラクが大人になったらわかるわ。でも、抵抗力のない弱い魔族にはなるでないぞ」

「は、はい!母上!」

母の顔から魔王の顔になったのを感じて、この魅了とは恐ろしいものなのだと理解したウァラクは、絶対に強い魔族にならないといけないと思うのであった。
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