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第2章 魔ノ国の調査隊

第194話 治療完了と魔王の母としての顔!

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ラヴァーナは、アレクの腕を引っ張って連れて行く。会場にいた全員がなんだなんだとなるが、お構いなしにラヴァーナはアレクを連れて行くのであった。

「ラヴァーナ様、落ち着いて下さい。私はどこにも逃げませんから」

アレクが落ち着くように言うのだが、ラヴァーナは聞く耳を持たずに目的地を目指すのである。

ラヴァーナは、一筋の光が見えたお陰で、希望に満ちた顔をしている。
そして、一つの部屋の前で立ち止まり、ラヴァーナがドアを開けてアレクをつれて中に入る。すると、アレクと同い年くらいの女の子と男の子がベッドで寝ているのだ。

「ここだ。スキルを見られたくはないだろうから、侵入者阻止の結界を張っておこう。これで、妾とアレクしかおらん。思う存分スキルを使うとよいぞ」

ラヴァーナの準備の早さに驚きながらも、二人に近付いて診断をする。

「診断」

患者:アナベル・リー・リリス
病名:遺伝性心臓縮小病
症状:胸の痛み(激痛に変化有り)、衰弱、高熱、脳機能低下 
感染︰媒介確率なし
余命:半年

患者:アナベル・リー・ウァラク
病名:遺伝性心臓縮小病
症状:胸の痛み(激痛に変化有り)、衰弱、高熱、脳機能低下
感染︰媒介確率なし
余命:1年

「遺伝性心臓縮小病という親からの遺伝する病気です。旦那さんも同じような病気で亡くなっていませんか?」

ラヴァーナは、それを聞いて驚いた顔をする。

「その通りだ。胸の痛みを訴えて、最後には話すことさえ出来ず苦しんでなくなったのだ。それで、治すことはできるのか?」

アレクの両肩を掴んで揺らすように訴えかけてくる。

「治りますよ。だから揺らさないで下さい。今から薬を作りますから」

アレクは、全知全能薬学で薬を探す。しかし、即効性のある薬がないのだ。全て数日はかかるらしい。もうアレクは諦めてエリクサーを取り出す。これで、裏切られたら仕方ない。それよりも、小さな命を救いたいと思うのだった。

「ラヴァーナ様は、リリスちゃんにこれを飲ませてあげて下さい。私は、ウァラクくんに飲ませますから。飲ませたら光が放たれますが、治療の一環なので驚かないで下さい」

「うむ。理解した。しかし...いや鑑定の一種か...」

ラヴァーナは、子供達の名前を言い当てたアレクに驚くのであったが、鑑定であれば納得がいくなと一人で脳内解決をしたのだ。そして、エリクサーを受け取って娘のところまでいくラヴァーナ。アレクは、ウァラクにエリクサーを飲ませようとする。

「リリス、お薬よ。口を開けなさい」

普段の魔王様ではなく、母親の口調になるのだ。

「お母様...ゴクッゴクッ」

そして、リリスから眩い光が放たれる。アレクもウァラクにエリクサーを飲ませる。そして、ウァラクからも同じように眩い光が放たれる。
次第に、光は止んでさっきまでとは違い、赤みがかった顔色のいい二人が現れる。

「リリス!ウァラク!」

魔王が、心配しながら二人の名前を呼ぶ。すると、二人はゆっくり目を開ける。

「お母様...」 「母上...」

二人は、母親の顔を見ながらゆっくり口を開く。

「二人とも痛くない?大丈夫?」

「はい!何故か全然痛くありません。それに苦しさもないんです」

「僕も苦しくないです。母上が治してくれたのですか?」

それを聞いたラヴァーナは、何も言わずに二人を交互に抱きしめる。アレクは、その様子を黙って見守るのであった。

「お母様!?」 「母上、恥ずかしいです・・・」

二人は、急なことに驚くのであったが、ラヴァーナは一向に放そうとはせず、涙まで流す。
それから暫くこの状況が続いて親子の微笑ましい時間が流れるのであった。





「アレク、申し訳ない。嬉しさのあまり恥ずかしい姿を見せた。まさか本当にわが子を治してくれるとはな。本当にありがとう」

目を腫らして恥ずかしさで顔を赤くさせたラヴァーナがアレクの方へ振り返って言う。

「二人が治ってよかったです。とりあえず私は会場に戻りますね。家族水入らずで過ごして下さい。後日、話せる場を設けて頂ければいいですので」

「そうか...すまないな。お言葉に甘えさせてもらおう。アレクとの約束は必ず守るのと友好関係を築きたいと考えておる。後日、その話もしよう。本当に今回のこと感謝する」

ラヴァーナは、笑顔でアレクに話しかける。子供たちはなんのこと?となっているが、母親が信頼している人物であるとわかり、話に割って入って邪魔をしようなどという無粋なことはしない。

そして、アレクも「それでは、失礼します」と言葉短く述べて、部屋を出るのであった。

「ふぅ~これで目的は達成出来そう...よかった」

安堵の声を出して、壁に持たれかかりながら床に座るのだった。
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