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第2章 魔ノ国の調査隊

第185話 国境を越えたアレク達!

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あれから2週間が経ち、魔ノ国の国境が近付いてきた。馬は、相変わらず薬のお陰で元気いっぱいである。しかも、毛並みが異常な程よくなり、筋肉も出発時より肥大化している。バトルフォースやバイコーンにも引けを取らない馬になっているのだ。

「そろそろ、国境付近だな。パスクとスペイビズは、あの薬を飲んでくれ」

一応フードを被って角が見えないようにはしているが、国境が近付いてきたからか、魔族をちらほら見かけるようになったので念の為に変身薬を服用してもらう。

「わかりました。父上飲みましょう」

「あぁ~そうだな。足裏の痒みが気になるが、仕方ないだろう」

アレクが、痒みに効く薬を渡してはいるのだが、スペイビズは未知数の痒みの恐怖を感じているのである。

そして2人は、飲んだ瞬間にピカッと光る。光が収まると、そこには別人のパスクとスペイビズがいた。

「おいおい...こりゃすげぇな。どっからどう見ても人間だな。それに、別人過ぎて誰だかわからんねぇよ」

ノックスの言うように、容姿の面影は一切残っていないのだ。しかも、パッとしない顔である。

「この顔なら疑われることはないね。本当に研究者に見えるよ」

パスクとスペイビズは、気になるのか、ぺたぺたと自分の顔を触る。だが、触っただけでは、よくわからない感じで不思議な顔をするのだ。

「どんな顔か、想像がつきません。父上は...言ってはなんですが、平凡ですよ」

「何を言う!お前こそ平凡だぞ」

「「・・・・・プッハハハハハ」」

2人は、何故か顔を見合わせて爆笑するのであった。

それから全員、馬に跨り国境に向かって馬を走らせる。

「よし!国境が見えてきたぞ」

国境は、遠くまで横一列に高い塀で仕切られており、攻め込まれてもなかなか攻め落とすことが出来なさそうである。

「商人...には見えないですね。商人以外の人族とは珍しいですが、魔ノ国に入国する目的を教えて頂けませんか?」

街道沿いに検問所があり、国境警備隊のような魔族が、入国審査をしているのだ。

「少し待って下さい。えっと...こちらをご覧下さい」

アレクが渡したのは、王国から使者として訪れたことが書かれた王印入りの書面と魔ノ国から使者を受け入れると書かれた魔ノ国の国印入りの書面であった。
それを見た国境警備の1人が青ざめて焦り始める。

「タカハシ伯爵様、ようこそお越し下さいました。このまま通って頂いて構いません。それから、ウズベル王国と魔ノ国との良い出会いとなることを願っております」

「ありがとうございます。私共も、これを期に良い関係を築けることを願っております。では、失礼します」

子供であっても、一切の疑いや嫌味などを言うこともなく、気持ちよく通してくれた警備兵にお礼を言うアレク。

「何も疑われず、すんなり通ることが出来ましたね。もっと難癖をつけてくるかと」

「アレク伯爵、ウズベル王国の王印と魔ノ国の国印が捺された書類を出されては、流石に文句をつけるような真似はしないでしょう。ですが、魔王様の側近や貴族の一部は、強さこそが全てと考えている連中ばかりです。お気を付け下さい」

スペイビズが、話していなかった情報を伝えてくる。

「え?もしかして、戦いを挑まれたりすることがあるのですか?」

「有り得ます。ですが、勝つことが出来れば、友好的に接してくれます。強い者が正義です。ですので、悪いことばかりではありません」

出来れば、戦わずして友好関係を結べたら1番有り難いけど、そんな簡単には行かないだろうなと思うアレクであった。

「スペイビズ、模擬戦なら大歓迎だ。四天王の強さも気になるしな。アレク坊、もし戦うなら俺を1番にさせてくれ」

戦闘狂のノックスは、ウキウキした表情で馬を走らせていた。全員が、この人の戦闘狂ぶりに、人族ではなくて魔族の血を引いているのではないかと思うのだった。

「わかりました。もし、そうなったら任せますよ。それより今日は、どこまで行きますか?」

「そうだな。ここから1番近い街の宿に泊まってから、明日魔ノ国の魔都に向かおう。ここからは、スペイビズ先導を頼む」

魔都とは、王国でいう王都のことである。

「任せて下さい。こちらです」

馬の方向を変えて近くの街に向かう一向であった。
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