67 / 718
第1章 伯爵になったアレク
第182話 やはり俺が行くことになるようだ!
しおりを挟む
「アレク伯爵様、大変お待たせ致しました。こちらにお越し下さい」
やっと順番が回ってきたかと思う。普通は、上級貴族から先ではないのかと思うのだが、下級貴族より上級貴族の方が話す内容が多いから後に回されているのだと予想するアレク。
「わかりました」
案内してくれた人についていくのだが、アレクはあれ?っと思う。以前、国王陛下と話した部屋の前に案内されたのである。
トントントン
「アレク伯爵をお連れ致しました」
「入って下さい」
中から宰相アントンの声がする。
そして、ドアが開くと中には陛下と宰相アントンが待っていたのだ。
「アレク伯爵、待っておったぞ。とりあえず座ってくれ」
アレクは言われるがままに座るのだった。
「まずは、叙任式での一件大変失礼した。二度とあのようなことがないよう1年前のスタンピードの際に、失態を冒した者には罰を与えておる。それと、成人までは法衣貴族とし、伯爵位は月金貨100枚が支給される。そして、3年次は復学できるように申請をしておいたのでな。楽しんでくるといい」
国から支給される金貨で家臣や使用人達の給金などを賄うように出来ているのだ。あと領地を持つことで、領地の税金などから私兵の給金や領地を発展させる為のお金を賄わなければならない。なので、決して金貨100枚貰えるヤッホーイとはならないのである。
「陛下、ありがとうございます。ですが、何か裏がありそうで心配なのですが...」
「うむ...魔ノ国へ魔道具の技術視察という名目で探りを入れてきてはくれぬか?魔ノ国からは、使者受け入れの許可が出ておる」
何故、俺なの?もっと適任者がいるよね?凄く行きたくないんだけど...
「何故、私なのでしょうか?あと、同行者はいるのでしょうか?」
「何か不足の事態があった際に、生き残る確率が1番高いのがアレク伯爵なのだ。戦力もだが、何かあった時に、転移で逃げられるのも大きいのだ。同行者は、ノックス子爵とオレール子爵に任せてある。3人には申し訳ないが、王国の最大戦力を向かわせる形となった」
もし何かあれば、大戦争を仕掛けてこいってことかな?戦力的に負ける気が一切しないんだよな。
「相手から仕掛けてきた場合は、逆らう気すら起こらないようにしてよろしいでしょうか?あと、パスクとスペイビズを連れて行っても構いませんか?そろそろ、約束をした兄への復讐を叶えてやりたいものでして」
「徹底的にやって構わぬ。しかし、無理はしてはならぬぞ。うむ...現時点で、危ない橋を渡っとるしな。こちらから戦争を仕掛けるような真似をせん限りは復讐を許可しよう」
こんな簡単に許可を取れたのは、ありがたいことだが、言い換えたら戦争になる前に潰してしまえと聞こえるような聞こえないような気がしてきたアレクであった。
要するに丸投げなのである。
「わかりました。出来る限り何事もなく終わらせられるようにします。それで、いつ魔ノ国へ向えばいいですか?」
「2日後には向かってくれんか?片道で3週間、かかる距離なのだ。特別手当として金貨200枚を用意しておるから好きに使うとよい」
特別手当は有り難いが、かなり近々なスケジュールに驚くアレク。
「わかりました。では、馬を5頭と干し草を用意して頂けませんか?」
文句を言ったところで、状況が変わる訳でもないので、必要な物を要求するアレク。ちなみに、マンテ爺に乗って行かないのは、マンティコアで出向いていきなり攻撃される可能性があるからだ。
「アントン、今すぐ最高の馬と干し草を用意してくれぬか?」
「畏まりました。すぐに手配致します」
「他に必要な物か、要求はあるか?」
「ありがとうございます。今の所は問題ございません。必ず良い結果を持ち帰れるよう努力致します。あ!それから、家名と家紋は事前にお伝えしたのでよかったでしょうか?」
「期待しておるぞ。うむ。アントン家名と家紋は問題ないな?」
「はい!すでに登録は、済ませております。しかし、タカハシとはまた珍しい家名ですな」
前世の名字から取りましたなどとは言えないアレクは、笑って誤魔化すしかないのだ。ちなみに、家紋はポーション瓶と薬草の柄をうまく組み合わせた物にした。
「あはははは...絶対にいないであろう名前と珍しくて覚えてもらいやすいものにしました」
「うむ。確かに、一生出て来ぬ名前ではあるな。タカハシ伯爵...余はよいと思うぞ」
「そうですね。いち早く顔を覚えてもらうには良い名前だと思います」
そして、暫く雑談が続いたのだが、陛下も宰相アントンも魔ノ国の件を任せることが出来たからか、終始にこやかであった。
それから、部屋を出て城門外へと向かうアレク。城門を出ると見知った顔がアレクを待っていたのだ。やっと、日常に戻ったような安心感があり安堵するのであった。
やっと順番が回ってきたかと思う。普通は、上級貴族から先ではないのかと思うのだが、下級貴族より上級貴族の方が話す内容が多いから後に回されているのだと予想するアレク。
「わかりました」
案内してくれた人についていくのだが、アレクはあれ?っと思う。以前、国王陛下と話した部屋の前に案内されたのである。
トントントン
「アレク伯爵をお連れ致しました」
「入って下さい」
中から宰相アントンの声がする。
そして、ドアが開くと中には陛下と宰相アントンが待っていたのだ。
「アレク伯爵、待っておったぞ。とりあえず座ってくれ」
アレクは言われるがままに座るのだった。
「まずは、叙任式での一件大変失礼した。二度とあのようなことがないよう1年前のスタンピードの際に、失態を冒した者には罰を与えておる。それと、成人までは法衣貴族とし、伯爵位は月金貨100枚が支給される。そして、3年次は復学できるように申請をしておいたのでな。楽しんでくるといい」
国から支給される金貨で家臣や使用人達の給金などを賄うように出来ているのだ。あと領地を持つことで、領地の税金などから私兵の給金や領地を発展させる為のお金を賄わなければならない。なので、決して金貨100枚貰えるヤッホーイとはならないのである。
「陛下、ありがとうございます。ですが、何か裏がありそうで心配なのですが...」
「うむ...魔ノ国へ魔道具の技術視察という名目で探りを入れてきてはくれぬか?魔ノ国からは、使者受け入れの許可が出ておる」
何故、俺なの?もっと適任者がいるよね?凄く行きたくないんだけど...
「何故、私なのでしょうか?あと、同行者はいるのでしょうか?」
「何か不足の事態があった際に、生き残る確率が1番高いのがアレク伯爵なのだ。戦力もだが、何かあった時に、転移で逃げられるのも大きいのだ。同行者は、ノックス子爵とオレール子爵に任せてある。3人には申し訳ないが、王国の最大戦力を向かわせる形となった」
もし何かあれば、大戦争を仕掛けてこいってことかな?戦力的に負ける気が一切しないんだよな。
「相手から仕掛けてきた場合は、逆らう気すら起こらないようにしてよろしいでしょうか?あと、パスクとスペイビズを連れて行っても構いませんか?そろそろ、約束をした兄への復讐を叶えてやりたいものでして」
「徹底的にやって構わぬ。しかし、無理はしてはならぬぞ。うむ...現時点で、危ない橋を渡っとるしな。こちらから戦争を仕掛けるような真似をせん限りは復讐を許可しよう」
こんな簡単に許可を取れたのは、ありがたいことだが、言い換えたら戦争になる前に潰してしまえと聞こえるような聞こえないような気がしてきたアレクであった。
要するに丸投げなのである。
「わかりました。出来る限り何事もなく終わらせられるようにします。それで、いつ魔ノ国へ向えばいいですか?」
「2日後には向かってくれんか?片道で3週間、かかる距離なのだ。特別手当として金貨200枚を用意しておるから好きに使うとよい」
特別手当は有り難いが、かなり近々なスケジュールに驚くアレク。
「わかりました。では、馬を5頭と干し草を用意して頂けませんか?」
文句を言ったところで、状況が変わる訳でもないので、必要な物を要求するアレク。ちなみに、マンテ爺に乗って行かないのは、マンティコアで出向いていきなり攻撃される可能性があるからだ。
「アントン、今すぐ最高の馬と干し草を用意してくれぬか?」
「畏まりました。すぐに手配致します」
「他に必要な物か、要求はあるか?」
「ありがとうございます。今の所は問題ございません。必ず良い結果を持ち帰れるよう努力致します。あ!それから、家名と家紋は事前にお伝えしたのでよかったでしょうか?」
「期待しておるぞ。うむ。アントン家名と家紋は問題ないな?」
「はい!すでに登録は、済ませております。しかし、タカハシとはまた珍しい家名ですな」
前世の名字から取りましたなどとは言えないアレクは、笑って誤魔化すしかないのだ。ちなみに、家紋はポーション瓶と薬草の柄をうまく組み合わせた物にした。
「あはははは...絶対にいないであろう名前と珍しくて覚えてもらいやすいものにしました」
「うむ。確かに、一生出て来ぬ名前ではあるな。タカハシ伯爵...余はよいと思うぞ」
「そうですね。いち早く顔を覚えてもらうには良い名前だと思います」
そして、暫く雑談が続いたのだが、陛下も宰相アントンも魔ノ国の件を任せることが出来たからか、終始にこやかであった。
それから、部屋を出て城門外へと向かうアレク。城門を出ると見知った顔がアレクを待っていたのだ。やっと、日常に戻ったような安心感があり安堵するのであった。
55
お気に入りに追加
5,418
あなたにおすすめの小説
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
さようなら、私の初恋。あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
勘違いの工房主~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~
時野洋輔
ファンタジー
英雄のパーティ、『炎の竜牙』をリストラされたクルトは、実は戦闘以外は神の域に達している適正ランクSSSの持ち主だった。
そんなことを知らないクルトは、自分の実力がわからないまま周囲の人間を驚かせていく。
結果、多くの冒険者を纏める工房主(アトリエマイスター)となり、国や世界の危機を気付かないうちに救うことになる。
果たして、クルトは自分の実力を正確に把握して、勘違いを正すことができるのか?
「え? 山を適当に掘ったらミスリルが見つかるのってよくある話ですよね?」
……無理かもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※令和元年12月より、コミカライズスタート(毎月第三火曜日更新)
※1~5巻好評発売中(コミカライズ1巻発売中)2020年11月時点
※第11回ファンタジー小説大賞受賞しました(2018年10月31日)
※お気に入り数1万件突破しました(2018年9月27日)
※週間小説ランキング1位をいただきました(2018年9月3日時点)
※24h小説ランキング1位をいただきました(2018年8月26日時点)
転生幼児は夢いっぱい
meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、
ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい??
らしいというのも……前世を思い出したのは
転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。
これは秘匿された出自を知らないまま、
チートしつつ異世界を楽しむ男の話である!
☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。
誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。
☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*)
今後ともよろしくお願い致します🍀
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
聖女なので公爵子息と結婚しました。でも彼には好きな人がいるそうです。
MIRICO
恋愛
癒しの力を持つ聖女、エヴリーヌ。彼女は聖女の嫁ぎ制度により、公爵子息であるカリス・ヴォルテールに嫁ぐことになった。しかしカリスは、ブラシェーロ公爵子息に嫁ぐ聖女、アティを愛していたのだ。
カリスはエヴリーヌに二年後の離婚を願う。王の命令で結婚することになったが、愛する人がいるためエヴリーヌを幸せにできないからだ。
勝手に決められた結婚なのに、二年で離婚!?
アティを愛していても、他の公爵子息の妻となったアティと結婚するわけにもいかない。離婚した後は独身のまま、後継者も親戚の子に渡すことを辞さない。そんなカリスの切実な純情の前に、エヴリーヌは二年後の離婚を承諾した。
なんてやつ。そうは思ったけれど、カリスは心優しく、二年後の離婚が決まってもエヴリーヌを蔑ろにしない、誠実な男だった。
やめて、優しくしないで。私が好きになっちゃうから!!
ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。
婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?
向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。
というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。
私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。
だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。
戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。