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第1章 伯爵になったアレク

第182話 やはり俺が行くことになるようだ!

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「アレク伯爵様、大変お待たせ致しました。こちらにお越し下さい」

やっと順番が回ってきたかと思う。普通は、上級貴族から先ではないのかと思うのだが、下級貴族より上級貴族の方が話す内容が多いから後に回されているのだと予想するアレク。

「わかりました」

案内してくれた人についていくのだが、アレクはあれ?っと思う。以前、国王陛下と話した部屋の前に案内されたのである。

トントントン

「アレク伯爵をお連れ致しました」

「入って下さい」

中から宰相アントンの声がする。
そして、ドアが開くと中には陛下と宰相アントンが待っていたのだ。

「アレク伯爵、待っておったぞ。とりあえず座ってくれ」

アレクは言われるがままに座るのだった。

「まずは、叙任式での一件大変失礼した。二度とあのようなことがないよう1年前のスタンピードの際に、失態を冒した者には罰を与えておる。それと、成人までは法衣貴族とし、伯爵位は月金貨100枚が支給される。そして、3年次は復学できるように申請をしておいたのでな。楽しんでくるといい」

国から支給される金貨で家臣や使用人達の給金などを賄うように出来ているのだ。あと領地を持つことで、領地の税金などから私兵の給金や領地を発展させる為のお金を賄わなければならない。なので、決して金貨100枚貰えるヤッホーイとはならないのである。

「陛下、ありがとうございます。ですが、何か裏がありそうで心配なのですが...」

「うむ...魔ノ国へ魔道具の技術視察という名目で探りを入れてきてはくれぬか?魔ノ国からは、使者受け入れの許可が出ておる」

何故、俺なの?もっと適任者がいるよね?凄く行きたくないんだけど...

「何故、私なのでしょうか?あと、同行者はいるのでしょうか?」

「何か不足の事態があった際に、生き残る確率が1番高いのがアレク伯爵なのだ。戦力もだが、何かあった時に、転移で逃げられるのも大きいのだ。同行者は、ノックス子爵とオレール子爵に任せてある。3人には申し訳ないが、王国の最大戦力を向かわせる形となった」

もし何かあれば、大戦争を仕掛けてこいってことかな?戦力的に負ける気が一切しないんだよな。

「相手から仕掛けてきた場合は、逆らう気すら起こらないようにしてよろしいでしょうか?あと、パスクとスペイビズを連れて行っても構いませんか?そろそろ、約束をした兄への復讐を叶えてやりたいものでして」

「徹底的にやって構わぬ。しかし、無理はしてはならぬぞ。うむ...現時点で、危ない橋を渡っとるしな。こちらから戦争を仕掛けるような真似をせん限りは復讐を許可しよう」

こんな簡単に許可を取れたのは、ありがたいことだが、言い換えたら戦争になる前に潰してしまえと聞こえるような聞こえないような気がしてきたアレクであった。
要するに丸投げなのである。

「わかりました。出来る限り何事もなく終わらせられるようにします。それで、いつ魔ノ国へ向えばいいですか?」

「2日後には向かってくれんか?片道で3週間、かかる距離なのだ。特別手当として金貨200枚を用意しておるから好きに使うとよい」

特別手当は有り難いが、かなり近々なスケジュールに驚くアレク。

「わかりました。では、馬を5頭と干し草を用意して頂けませんか?」

文句を言ったところで、状況が変わる訳でもないので、必要な物を要求するアレク。ちなみに、マンテ爺に乗って行かないのは、マンティコアで出向いていきなり攻撃される可能性があるからだ。

「アントン、今すぐ最高の馬と干し草を用意してくれぬか?」

「畏まりました。すぐに手配致します」

「他に必要な物か、要求はあるか?」

「ありがとうございます。今の所は問題ございません。必ず良い結果を持ち帰れるよう努力致します。あ!それから、家名と家紋は事前にお伝えしたのでよかったでしょうか?」

「期待しておるぞ。うむ。アントン家名と家紋は問題ないな?」

「はい!すでに登録は、済ませております。しかし、タカハシとはまた珍しい家名ですな」

前世の名字から取りましたなどとは言えないアレクは、笑って誤魔化すしかないのだ。ちなみに、家紋はポーション瓶と薬草の柄をうまく組み合わせた物にした。

「あはははは...絶対にいないであろう名前と珍しくて覚えてもらいやすいものにしました」

「うむ。確かに、一生出て来ぬ名前ではあるな。タカハシ伯爵...余はよいと思うぞ」

「そうですね。いち早く顔を覚えてもらうには良い名前だと思います」

そして、暫く雑談が続いたのだが、陛下も宰相アントンも魔ノ国の件を任せることが出来たからか、終始にこやかであった。

それから、部屋を出て城門外へと向かうアレク。城門を出ると見知った顔がアレクを待っていたのだ。やっと、日常に戻ったような安心感があり安堵するのであった。
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