異世界モフモフ食堂！美味しいご飯で幸せいっぱい！

第2章 新たなお客様登場

第27話 刺激のある匂いに誘われて......

ハリスは、魔の森を飛んで移動するのではなく、歩いて移動している。理由としては、今までのストレスを魔物にぶつけながら探索したいからだ。

「知性のある魔物が一切いないな！そろそろ腹が減ったから助けて貰おうとしたんだけどな......」

魔物を殺す力はあるのだが、調理する能力は一切皆無で途方に暮れていた。だが、急に風に乗ってだろうか？いい匂いが漂ってきたのだ。

「この匂い！もしかして！？」

ハリスは、知性のある魔物が、何か食べ物を作っているのではないかと思って、襲われるかもしれないと思いながらも空腹には勝てず、匂いのする方向へと走る。

「家！？」

ハリスが、匂いのする場所に辿り着くと、家がポツンと一軒あるだけなのだ。しかし、確実にいい匂いが、その家から漂ってきている。ハリスは、迷うこと無くドアを開ける。

「いらっしゃいませ～」

ハリスが、ドアを開けると、鈴の音が鳴って奥から幼い声が聞こえる。そして、すぐに声のした方から現れたのだが、どう見ても幼い女の子であった。しかし、横には小さなウルフのような魔物がいるのだが、計り知れない力を感じるのだ。ハリスは、思わず身震いをしてしまう。

「えっと、お客さんですよね？」

香菜は、ぼぉーっとしているハリスを見てどうしたのだろうと思い尋ねたのだ。ハリスは、その声を聞いてハッとなって我に返る。

「はい！おいしい匂いがしたいので、つい寄ってしまいました」

ハリスは、フェンリルの底知れぬ強さに気圧されて、ついつい敬語になってしまう。香菜は、新たなお客さんが来たので、思わず笑顔になるのだ。

「お客さんですね。よかったです！好きな席に座ってください！お水すぐに持ってきますね」

香菜は、グラスに水を注いで、小走りで戻ってくる。ハリスは、喉も渇いていたので、グラスの水をあっという間に全て飲み干すのだ。

「ふぅ～、うまい！」

ハリスは、息を吐いて一息つく。その様子を香菜は、微笑んで見つめるのだ。

「ご注文は何にしますか？」

何故、こんなにも喉が渇いているのだろうかと、気になってしまったのだが、これだけ喉が渇いているのなら、きっとお腹も空いているだろうと思って、敢えて尋ねることはしなかった。

「注文......アッハハハ、頑張って読もうとはしたんだけど、全く文字が読めないんだ。なんて書いてあるのかな？」

ハリスは、メニューに目をやるが、日本語で書かれているので、さっぱりわからないでいる。

「申し訳ございません。私のいた国の文字なんです！えっと......どんな食べ物が食べたいとかありますか？」

「へぇ～、俺の見たことのない文字が存在するとは......って今はいいか！そうだな！辛くておいしい料理はないかな？例えば、さっきから香ってくるこの腹の空腹を更に刺激してくる物とかね？」

ハリスは、魔の森からずっと匂っていた香りの正体が気になって仕方ないのだ。

「え！？そんなに匂ってましたか？カレーといって刺激が強くて辛い食べ物になっています！もしかしたら、刺激が強すぎるかもですが、大丈夫ですか？」

香菜が、昼ご飯に食べようと思って作っていたカレーなのだが、こちらの住人には辛さと見た目で敬遠されるのではないかと思って、出すのを躊躇ってしまう。

「辛いのは平気だし、先程から食べたいと体が訴えかけてくるから、是非食べさせてほしい！」

「そうですか......はい！わかりました！すぐ用意しますね」

香菜は、駄目なら別の物を出せばいいのと、もし食べられるのであれば、カレーもメニューに追加できるなと考えるのだった。