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第1章 転生したら少女になった
第3話 Tボーンステーキとモフモフフェンリル!
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香菜は、急いで厨房に行き、すぐに作ることが出来て、満足感を味わえるものを作り始める。
「待っててね!ワンちゃん」
そう言いながら念じて出てきたのは、Tボーンステーキである。
「凄い!本当に念じたら全て思い通りになるだぁぁ」
香菜が驚いたのは、常温のTボーンステーキを念じたら見事常温のまま出てきたからだ。何故常温かというと、温度に差があると焼いた時にムラができるからである。
「こんなことしている場合じゃなかった!早くワンちゃんにお肉を届けなきゃ」
香菜は、お肉全体に塩コショウを振って、熱したフライパンにオリーブオイルとバターを加える 。フライパンをクルっと回しながら全体に行き渡るようにしていき、十分に温まったフライパンにお肉を入れる。その時、ブワッと立ち込める煙に驚きながらも両面にしっかり焼き目が付くように仕上げていく。
「いい匂いがしてきたよ!本来ならにんにくで味付けをしたいけど、確かワンちゃんは食べちゃだめだったよね」
せっかくならにんにくや和風おろしのステーキソースなんかを試してほしいのだが、犬に害のあるものが入っているので、なくなく塩こしょうだけにした。本来、塩こしょうも悪影響がありそうなのだが、香菜は気付いていない。
◆
「ワンちゃん、いっぱい食べてね。言ってくれたらまだまだあるからね」
香菜は、焼いたお肉をお皿に乗せて、走って持ってきたのだ。
「いい匂いだ......悪いが食べさせてくれないか?動けないんだ」
犬のような存在は、空腹で力尽き、その場から動けないでいる。香菜は、すぐに骨を両手で持って口元まで運ぶ。すると、大きな口を開けてパクっと食べる。次の瞬間、犬のような存在は、目を見開き驚いたような顔をする。
「うまい!もっと食わせてくれ!」
「うん。待っててね!すぐ作ってくるから」
香菜は、厨房に行ってまたTボーンステーキを焼いて持っていく。10回ほど往復しただろうか?やっと犬のような存在は立ち上がる。
「助かった!こんなうまい肉を食ったのはいつ振りだろうか。娘よ、感謝する」
犬のような存在は、さっきとは違い凛とした立ち姿で見事に復活する。
「いいよいいよ!困っている時はお互い様でしょ!それより、ワンちゃんは何で空腹だったの?凄い強そうなのに」
大きさや凛とした表情からもうかがえるように、決して弱そうには見えず、逆に王のような風格さえ感じるからだ。
「この森を襲撃してきた人間を追い払うのに魔力を使い過ぎてしまってな!フラフラと森の奥に帰ろうと歩いていたら、いい匂いがして思わず助けを求めたというわけだ」
「そうだったんだね。でも怪我とかじゃなくて空腹で倒れていただけならよかったよ」
香菜は、胸を撫で下ろすと同時に、この世界の人間とはそんな恐ろしい人達なのかとも感じる。
「うむ!人間など恐れるに足らん!しかし、言葉が通じるとは変わった人間だな!しかも、逃げ出さず、あんなうまい食べ物まで恵んでくれるとは」
「え?普通は話せないの?ん~さっきも言ったけど困っている時はお互い様だし、こんな可愛いワンちゃんなら助けたくなるよ」
香菜は、恐れ知らずなのか?ギュッと抱きしめてモフモフを味わう。
「普通は話せない!本当に変わった人間だ!それと、俺はワンちゃんではない!誇り高きフェンリルである!にしても、こんなところで何をしているのだ?」
どうやら魔物と人間は、会話ができないようだ。しかし、香菜との会話が成立しているところを見ると女神が何かのスキルを与えたに違いないのだ。更に、犬ではなくまさかのフェンリルであった。そして、フェンリルは何故こんな幼い少女が森の中にいるのか不可解で仕方なかった。
「そうなんだね。でも、話せるのは楽しいしなんでもいいかな!それより、フェンリルってあの伝説の魔物だよね?凄~い!あ!そうそう!ここにきたのは、信じてもらえないかも知れないけど、別世界で死んじゃって女神様に転生させてもらったからだよ!」
香菜は、魔物と会話が成立するなら楽しいし、いいのではくらいの軽い気持ちでいる。そして、最近流行っている異世界物のアニメを見た時に、フェンリルという存在が出ていて知っていた香菜。
「そうだ!俺は凄いんだぞ!それより、転生者か......500年前に一度転生者に会ったことがあるが、強かったのを覚えている。だが、娘からは一切強さを感じないな」
フェンリルは、まさかの転生者が存在していたことをさらっと言う。
「え?私の他に転生者がいたの?でも、500年前なら死んじゃってるよね......あと、私は戦いたくないもん!ここでのんびり暮らしながら食堂をしたいの!」
「森で食堂とは変わっているな!人間の客など来ないぞ!いいのか?」
フェンリルは、的確に当たり前のことを言う。確かに、経営していくならお金を稼がないといけないからだ。こんな森の中ではお客さんなど一切こないに等しい。
「う~ん?お金はいらないよ。いっぱい食べてくれて幸せな顔が見たいだけだから、人間じゃなくてもいいの」
香菜は、別にお客さんが大勢くることを望んでいるわけではなく、1日に数人来てくれたらそれだけでいいのと、人間にこだわらずフェンリルのような魔物でもいいと思っている。
「娘よ、待っていろ!お礼を兼ねて客を連れてきてやる」
そう言うと、フェンリルは森の中に消えていった。香菜は、どういうことなんだろう?と思いつつも、またモフモフしたいな~早く帰ってきてくれないかなと思うのだった。
「待っててね!ワンちゃん」
そう言いながら念じて出てきたのは、Tボーンステーキである。
「凄い!本当に念じたら全て思い通りになるだぁぁ」
香菜が驚いたのは、常温のTボーンステーキを念じたら見事常温のまま出てきたからだ。何故常温かというと、温度に差があると焼いた時にムラができるからである。
「こんなことしている場合じゃなかった!早くワンちゃんにお肉を届けなきゃ」
香菜は、お肉全体に塩コショウを振って、熱したフライパンにオリーブオイルとバターを加える 。フライパンをクルっと回しながら全体に行き渡るようにしていき、十分に温まったフライパンにお肉を入れる。その時、ブワッと立ち込める煙に驚きながらも両面にしっかり焼き目が付くように仕上げていく。
「いい匂いがしてきたよ!本来ならにんにくで味付けをしたいけど、確かワンちゃんは食べちゃだめだったよね」
せっかくならにんにくや和風おろしのステーキソースなんかを試してほしいのだが、犬に害のあるものが入っているので、なくなく塩こしょうだけにした。本来、塩こしょうも悪影響がありそうなのだが、香菜は気付いていない。
◆
「ワンちゃん、いっぱい食べてね。言ってくれたらまだまだあるからね」
香菜は、焼いたお肉をお皿に乗せて、走って持ってきたのだ。
「いい匂いだ......悪いが食べさせてくれないか?動けないんだ」
犬のような存在は、空腹で力尽き、その場から動けないでいる。香菜は、すぐに骨を両手で持って口元まで運ぶ。すると、大きな口を開けてパクっと食べる。次の瞬間、犬のような存在は、目を見開き驚いたような顔をする。
「うまい!もっと食わせてくれ!」
「うん。待っててね!すぐ作ってくるから」
香菜は、厨房に行ってまたTボーンステーキを焼いて持っていく。10回ほど往復しただろうか?やっと犬のような存在は立ち上がる。
「助かった!こんなうまい肉を食ったのはいつ振りだろうか。娘よ、感謝する」
犬のような存在は、さっきとは違い凛とした立ち姿で見事に復活する。
「いいよいいよ!困っている時はお互い様でしょ!それより、ワンちゃんは何で空腹だったの?凄い強そうなのに」
大きさや凛とした表情からもうかがえるように、決して弱そうには見えず、逆に王のような風格さえ感じるからだ。
「この森を襲撃してきた人間を追い払うのに魔力を使い過ぎてしまってな!フラフラと森の奥に帰ろうと歩いていたら、いい匂いがして思わず助けを求めたというわけだ」
「そうだったんだね。でも怪我とかじゃなくて空腹で倒れていただけならよかったよ」
香菜は、胸を撫で下ろすと同時に、この世界の人間とはそんな恐ろしい人達なのかとも感じる。
「うむ!人間など恐れるに足らん!しかし、言葉が通じるとは変わった人間だな!しかも、逃げ出さず、あんなうまい食べ物まで恵んでくれるとは」
「え?普通は話せないの?ん~さっきも言ったけど困っている時はお互い様だし、こんな可愛いワンちゃんなら助けたくなるよ」
香菜は、恐れ知らずなのか?ギュッと抱きしめてモフモフを味わう。
「普通は話せない!本当に変わった人間だ!それと、俺はワンちゃんではない!誇り高きフェンリルである!にしても、こんなところで何をしているのだ?」
どうやら魔物と人間は、会話ができないようだ。しかし、香菜との会話が成立しているところを見ると女神が何かのスキルを与えたに違いないのだ。更に、犬ではなくまさかのフェンリルであった。そして、フェンリルは何故こんな幼い少女が森の中にいるのか不可解で仕方なかった。
「そうなんだね。でも、話せるのは楽しいしなんでもいいかな!それより、フェンリルってあの伝説の魔物だよね?凄~い!あ!そうそう!ここにきたのは、信じてもらえないかも知れないけど、別世界で死んじゃって女神様に転生させてもらったからだよ!」
香菜は、魔物と会話が成立するなら楽しいし、いいのではくらいの軽い気持ちでいる。そして、最近流行っている異世界物のアニメを見た時に、フェンリルという存在が出ていて知っていた香菜。
「そうだ!俺は凄いんだぞ!それより、転生者か......500年前に一度転生者に会ったことがあるが、強かったのを覚えている。だが、娘からは一切強さを感じないな」
フェンリルは、まさかの転生者が存在していたことをさらっと言う。
「え?私の他に転生者がいたの?でも、500年前なら死んじゃってるよね......あと、私は戦いたくないもん!ここでのんびり暮らしながら食堂をしたいの!」
「森で食堂とは変わっているな!人間の客など来ないぞ!いいのか?」
フェンリルは、的確に当たり前のことを言う。確かに、経営していくならお金を稼がないといけないからだ。こんな森の中ではお客さんなど一切こないに等しい。
「う~ん?お金はいらないよ。いっぱい食べてくれて幸せな顔が見たいだけだから、人間じゃなくてもいいの」
香菜は、別にお客さんが大勢くることを望んでいるわけではなく、1日に数人来てくれたらそれだけでいいのと、人間にこだわらずフェンリルのような魔物でもいいと思っている。
「娘よ、待っていろ!お礼を兼ねて客を連れてきてやる」
そう言うと、フェンリルは森の中に消えていった。香菜は、どういうことなんだろう?と思いつつも、またモフモフしたいな~早く帰ってきてくれないかなと思うのだった。
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