Wild Frontier

beck

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第三章

邂逅

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 街道へ出る。
 そこで何台かの馬車と、街道脇に繋がれている数頭の馬を見つけた。
 ヘイデンの部隊で使われていた馬たちに違いない。

 馬車の中には檻が積まれているものもあったが、中はもぬけの殻だ。

 俺は繋がれたロープを緩めつつ、防護壁プロテクションの魔法について話を聞いていた。
 
「それにしてもあの形状は、まるで私を取り囲むように発動していました」
「魔法は基本的に手を前に突き出すだけでも発動するけれど、発動時の手の動きによって形状を指定したりも出来るわけ。ヒース君はプロテクション発動する時、掌をゆっくり回転させてたでしょう?」
「ええ」
「それは正面に板状の防護壁を出す為の動作。まぁ基本動作の一つね。使用マナ量も少ないし」
「そうなのですか。ではあの半球のような形状は?」
「あれは腕を空に向かって真っ直ぐ伸ばして、スッと左右に降ろす動作ね」
「こんな感じで?」
「そうそう。もちろん正しいイメージは必須よ? そしてそのイメージに合わせて掌の向きと腕を動かせば色々な形に変わるので、それは自分で調べてみて」
「教えては頂けませんかね?」
「時間があったらねー。でも私の授業、結構高いわよ?」

 笑いながらそう話す彼女。
 確かに魔法だけでなく、魔物についても様々な知識を持っている。
 確かに講師としては優秀かも知れない。

 ふとこの町に来た理由を思い出す。
 ベァナとメアラの師であるティネも、これくらい知識が豊富なのだろう。

「さて、私のほうは準備出来たわ」
「私もです。出発しましょう」


 馬が入手出来たのは好都合だ。
 俺達はトレバーへの道を急いだ。





    ◆  ◇  ◇





「遠くに何か動くものがあるわね」
「ええ。この距離であの高さって事は……最低でも四~五メートルはあるかと」

 町に入り口付近に差し掛かる頃、遠くに見慣れぬものを発見する。

「まぁあんな巨大なものと言ったら、この状況だと間違いなく魔物しか考えられないわね」
「あのような魔物が存在するのですか?」
「地域によってはいるわ。でもトレバー周辺は一通り調べたけど、あんな巨大な生物はいなかったわね。出るとしたもせいぜいホブゴブリンくらいでしょう」

(トレバー周辺を調査? まるでそれは俺が探しに来た魔術師の……)

 そう思った時だった。
 巨人がいる方角から、建物が崩れるような轟音が響く。

「まずいわね。町を破壊しているみたい。急ぎましょう!」
「ええ」

 確かに今はそんな事を気にしている場合ではない。
 馬が怖がるため適当な距離で下り、その後は遠巻きに近づく。
 巨人の右手から、顔を確認出来る位置まで移動した。

 だがその姿を見た俺は、恐怖のあまり思わず固まってしまった。


 その巨人には、目が一つしか無かった。
 隻眼ではない。
 そもそも、目が一つしか配置されていないのだ!


 だが驚いたのは俺だけでは無かった。

「キュクロプス!? 奴等はこれを召喚する為にマナを……」
「ご存じなのですか?」
「文献上では何度もね。でも私も実物を見たのはこれが初めてよ。どんな書籍でも、一つ目の巨人と言えばキュクロプスの事を指しているわ」

 キュクロプス。
 これが元の世界で英語読みをしたならば『サイクロプス』とでも呼ぶのだろう。
 偶然の一致だろうか?

「ああいった存在を神と呼ぶ地域や集団もあるようだけど、私の考えでは詰まるところ獰猛な犬ヴィシャスドッグとかと同じ、単なる魔物だと思っているわ」
「それなら人の手でも倒せますね」
「それがただの魔物だとは思っているのだけれど──ヴィシャスドッグとは比べ物にならないくらい頑丈で、強さも半端ないらしいの」
「半端ないとは? 実際どの程度でしょうか?」
「かなり昔の文献なんだけど、撃退するまでに一万人の軍隊が壊滅したなんて記録もあるわね」
「一万人ですか!?」
「まぁ戦いの記録なんて大抵、誇張か矮小化されるから正確だとは言えないけれど。でも他の書物にも似たような事が書いてあったので、強敵には違いないでしょうね」

 ヘイデンが連れて来た親衛隊ですら千人規模である。
 今から一万人の軍隊を集める事など、どうやっても不可能だ。

「何か弱点などは?」
「大掛かりな召喚でしか呼べない魔物なので、その生態は良く分かっていないわね。ただどの文献にも最後には結局、強力な武器か魔法で倒したとなっているわ。想像出来ないような特殊能力を持つわけでもないし、私はあれを神だとは思わない」

(つまり、とにかく頑丈な魔物という事だな)

「ありがとうございます。とにかく仲間があの怪物の近くで戦っているはずなのです。一刻も早く手助けしたい」
「私もこの町が壊されるのは本意ではないわ。なんとかして撃退しないと」


 近付くうちにわかったのだが、その巨人はどうやら手に大きな丸太を持ち、その場に踏みとどまって振り回しているらしい。
 巨体に関わらず、とんでもない速さで腕を振るっている。
 そして、その巨人が丸太を振るっている相手は……


(セレナ!)


 彼女はキュクロプスの攻撃を紙一重の所で避け続けている。

 今声を掛けるのはまずい。
 気を取られて丸太の直撃を受けてしまうかも知れない。
 ラセルも同様に考えているようで、詠唱準備をしたまま戦いを注視している。


 そしてセレナに向かって、巨人の一撃が振り下ろされようとした瞬間。

 少し離れた場所から、一本の矢弾ボルトが撃ち込まれた。

(ベァナか!?)

 彼女の放った矢弾は、怪物の一つ目に向かって直進する。
 どうやらキュクロプスの意識がセレナに向いたタイミング、つまり地面に向いたタイミングを狙って矢弾を放ったようだ。

 結果、その作戦は功を奏したようだ。

 間一髪、丸太の一撃をかわすセレナ。
 セレナが立っていた場所には、怪物が手にした丸太が叩き落とされた。

 その直後、キュクロプスがの単眼にベァナの矢弾が突き刺さる。

「よしっ!」

 怪物は矢弾の刺さった目を片手で覆う。
 明らかに苦しんではいるが、丸太はまだ手放さずにいる。
 そして凄まじい雄叫びを上げながら、丸太を持った腕をそのまま横に振る。

(目にダメージを負った状態で、再び攻撃を仕掛けようというのか?)

 だが丸太の届く範囲にセレナはいない。
 彼女はベァナの攻撃を成功させるために、自らが囮になっていたのだ。

 どうするのだろうと思ったその瞬間だった。


 あろうことかその怪物は、丸太を前方へ向けて投げつけた。
 その方角には──



「ベァナっ!!」



── ᛚᚨ ᚲᛖᛗ ᛞᛖ ᛚᚨ ᚣᚨᛈᚱ ᚲᚨᛃ ᛚᚨ ᛢᛚᛞᚨ ᚨᛚ ᛏᛁᛟ ──



 俺が叫ぶと同時に、素早く詠唱を行うラセル。
 両手共にベァナに向けられていたが、右手は小さく円を描いている。


 投擲された丸太は横回転しながら飛んで行く。


 ベァナは──
 不意を突かれたせいか、身じろぎ一つ出来ない状態だ。


 だがラセルの詠唱が終わると同時に、ベァナの前に防護壁が出現する。
 俺の詠唱よりも随分発動が早い。


 巨大な丸太が防護壁に激突する。
 跳ね返るかと思った丸太は回転を止め、ゆっくりとその場に落ちていった。


「はーっ……」


 思わず息を漏らす。
 今回は本当に焦った。


 防護壁は暫くすると雲のように消えて行った。

 ベァナの元に駆け寄る俺とラセル。

 そしてラセルが掛けた言葉に、俺は耳を疑った。



「まったくこのは。何かあったら私がブリジットにどやされるんだからね!」



(ブリジット!? 一体どういう?)



 その答えはベァナから聞くこととなった。


「あの防護魔法、ティネ先生だったのですね! 助かりました!」
「それは当然だからいいのだけれど──もしかしてヒース君ってベァナちゃんの知り合いだったわけ?」
「はい。アラーニから一緒にここまで旅をして来まして」
「ベァナちゃんが男性と二人旅!?」

 つまり俺がここ暫くの間一緒に行動していたこの凄腕魔法使いは、旅に出た目的の一人、魔導士ティネだったのだ。

 だが確かに『ラセル』という名で通っていたはずだが?

「あの……ラセルさんでは無かったのですか?」
「あぁそれ、姓のほう。一応、迷惑な事に実家が貴族でね-。ノーラったら自分が平民上がりだからって、嫌味で姓のほうで呼ぶのよ。ティネ・ラセルが本名」


 いや。
 俺も途中、魔導士のティネなのではないかとは思った事があるが……

 まぁこうして無事会えたのだから良しとするか。
 とにかく変な対応とかしていなくて本当に良かった。


(何もしてないよな?)


「ヒース殿。ヘイデンを追う間に色々とあったようだが──今はその怪物が」


 巨人は既に雄叫びを止め、再び同じ方角に向けて歩き始めていた。
 不思議なことに、目に刺さったはずのベァナ矢弾が無くなっている。

「セレナ。奴に関する情報があったらなんでも教えてくれ」
「ああ。まず奴にはクロスボウや魔法はまるで歯が立たない。剣による攻撃ならば多少のダメージを与えられたようなのだが、避けるのが精一杯なほど素早く、間合いを取るのが難しい」
「先程見ていた。あの巨体と歩く姿からは想像出来ない動きだったな」
「そうなのだ。だが一番の問題は回復力だ。プリムの機転で目が弱点だというのはわかったものの、見ての通り傷がすぐに修復されてしまう」

 セレナの話にいつの間にか耳を傾ける、ラセル改め魔導士ティネ。

「何の魔法で攻撃したの?」
「二人とも水魔法ですね。ヘイルとアイシクルです」
「ああ、やっぱり水魔法はダメだったのね」
「あの巨人についてお詳しいのですか?」

 おそらくこれまで散々苦戦を強いられて来たせいだろう。
 セレナにしては珍しく、魔法の話題に興味を示す。

「いやー。キュクロプスについて詳しい人間なんて、どこを探してもいないでしょうね。わざわざ召喚しないと見られない魔物だし。でも幾つかの文献に書いてあったの。あの怪物へ攻撃した魔法のうち、水魔法はあまり効果が無かったって事が」

 水を使えるのはシアとニーヴだ。

「そう言えばニーヴとプリム、そしてシアもここには居ないようだが」
「実は魔神シンテザ信奉者が召喚した犬のような魔物が町に侵入しているようで、彼女達には住民の保護に回ってもらっている。何しろ人手が少ないのだ」
獰猛な犬ヴィシャスドッグか……確かに住民にとっては脅威だ」

 とりあえず全員無事なようで良かった。
 娘達も二人で一緒に行動していれば、後れを取る事はあるまい。

 今の彼女達はおそらく、その辺の兵士の集団よりも格段に強い。

「それではティネさん、効果のある魔法というのもあるわけですよね?」
「ええ。土魔法ならかなりのダメージを与えられるらしいけど、とにかく人数が必要ね。同じ個所に向かって数時間攻撃し続けられるくらいの」
「数時間ですか!?」

 一人で数時間続けて魔法攻撃するのはマナが枯渇するので不可能だ。
 おそらくマナ保有量でグループに分け、交代しながら攻撃するのだろう。

「しかし土魔法となると……使えるのは俺達の仲間だとシアだけだな。しかも彼女はまだ第一段階サンドしか使えないので、攻撃までは出来ない」
「どちらにせよ人数を確保出来ないので、もう一つの精霊魔法しか無いわね」
「もう一つ……火魔法ですか。でもそれこそ使える人なんていないと思いますが」
「ティネ先生なら使えます! ですよね、先生?」

 弟子であるベァナの一言に苦笑いをするティネ。

「出来る人間ってのは自らの能力をひけらかさないものだって、ベァナちゃんには教えたはずなんだけどなぁ」
「でもこのままじゃ町が──」
「うーん、そうねぇ……私も興味あるし、それじゃちょっと実験って事で」

 そんな軽めの対応で前に進み出るティネ。

(火魔法か。初めて見るな)

 文献を読みまくったが、火魔法は術者が少ないせいか情報も少ない。
 わかっているのは威力が強く、発動イメージが不明瞭だという事。

(だが冒険者カードの記録が正しければ、俺も以前は使えていたはず)

 左手を突き出すティネ。
 先程防護壁プロテクションを詠唱した際の彼女の動作から、手の使い方と詠唱呪文の関係がなんとなく分かって来た。

 術の対象を指定する場合には、必ずどちらか手を対象に向ける。
 また術の範囲や形状を指定する場合は、もう片方の手で指定するらしい。

 また詠唱呪文については、旅の合間に学習したお陰でかなり理解が進んでいる。

 各呪文には『自分』や『相手』を指定する文言が入る事がある。
 『自分』を指定した場合は対象者が自分一人に確定するが、『相手』という言葉だけでは対象が曖昧で確定出来ない。
 『相手』という存在は、この世界には無数に存在するのだ。

 おそらくこの問題を、手の向きと発動イメージで補完するのだと推測した。





── ᚣᚨᛈᚱ ᚨᛚ ᛢᛚᛞᚨ ᛈᛚᛁᚷ ᚣᚨᛗᛟ ᛚᛁᚷ ᚨᛚ ᛏᛁᛟ ──





第四段階の火魔法フレイム!? こんな魔法を使える魔術師が実在するなんて!)

 火魔法は他の精霊魔法と違ってケタ違いの威力を持っているそうだ。
 一般的には土や水に比べると二段階上の扱いになるらしい。
 つまり第二段階の火魔法であるファイアボールが、第四段階の水魔法のアイシクルと同程度の威力とみなされている。

 しかしそれも当然の事なのかもしれない。
 地球でも『火器』という言葉があるくらいだ。
 様々な用途に使われる火だが、攻撃用途で使われるというのはどこの世界でも自然な流れなのだろう。


 ティネのフレイムが発動した。


「これは──」


 巨人の周りには、姿が霞むくらいの炎が取り囲んでいた。
 火力も相当なようで、まるで巨大なガスコンロで焙られているようにも見える。
 そしてその炎は、巨人がいくらもがいても一向に消える様子が無い。

 どんな場面でも比較的冷静なセレナが、今は目を見開いて驚いていた。

「魔法を見くびっていたわけでは決して無いが……これをまともに食らって生き残れる人間などいないだろう。国軍が精霊魔術師を積極的に召し抱えるのも当然だな」
「そうね。でもそんな事をしたくなかったからこそ、私もブリジットも軍を辞めたの。最初は二人とも魔物退治をするつもりで所属してたからね」

 確かに二人とも、対人戦闘を平気で行えるような人物では無さそうだ。

「しかしさすが先生の魔法は強力ですね。メアさんのアイシクルでもほとんど反応が無かったのに、かなりのダメージを与えているようです」
「魔法が強力というよりも相性かな? キュクロプスは雷の神なんて呼ばれているからか、雨風には強いらしいのよ。でも火はどうかしらね」


 炎は既に収束へと向かっていたが、表皮からは煙が上がっていた。
 キュクロプスの動きも随分鈍くはなっているが、まだ動きはあるようだ。
 ヴィシャスドッグやゴブリン等であれば間違いなく焼け死ぬレベルであるが──

 あれだけの炎に晒されていたにも関わらず、どこも炭化していない。


「うーん、火でも難しいみたい」


 ティネが呟く。
 確かにキュクロプスの皮膚は既に再生を始めている。
 動きが少なくなったのは、再生に力を回していたのかも知れない。


「でもかなり効果はありました! ずっと続けていれば──」
「一応実験のつもりだったから単発発動だったのだけど、これでも普通だったら全身炭化してもおかしくない威力のはずなの。どうやらあの怪物、魔法を食らってる間もずっと回復し続けてたわね」
「つまりは火魔法でも無理という事ですか?」
「そうね。おそらく水と同様、火も無効化するような対魔法アンチマジックの術式が発動しているのでしょう。まぁ火魔法使いが十人くらい居ればなんとかなったかもね」


 このような強力な魔法ですら傷つける事が出来ない怪物。
 この存在を『神』と呼ぶ人々がいるのもうなずける。


(しかし目の前のこれは、明らかに何らかの生命体)


 元の世界には無かった魔法。
 それも今までの使用や調査で、魔法が一種の物理現象である事は確認済みだ。


 だがその物理現象をどうやって生み出しているのか?


 魔法協会が発行する冒険者カードに魔法と連動したデータが表示される事から、おそらく協会を作った者と魔法を作った者が同じである可能性は高い。
 そこまでは分かるのだが、実際にどう発動させているのかまでは不明だ。

 発動の原理が分からなければ、対魔法への対策を立てるのも不可能だ。
 だから魔法による攻撃では無い、別の道を探す必要がある。


(生命体であれば、必ず動くためのエネルギーが必要だ。地球上の生物であればATPか? 大量のエネルギーを生み出すのに必要なのは有機物とそして大量の──酸素)


 ノーラの取り巻きの一人、ブルーノとの戦いを思い出す。
 あの時は相手に激しい運動をさせ、呼吸が乱れた一瞬を突いた。


(この巨人相手に攻撃を避け続け──いやそれは絶対に無理だ)


 セレナの立ち回りを見て理解した。
 おそらくその方法で戦ったとしたら、先に息が上がるのは俺のほうだ。
 いっその事、巨人の口を塞いで──



(ああっ、その手があったか!!)



「ティネさん、ちょっと試したい方法があるのですが?」
「なになに、また面白い事考えたの!? 馬にマナヒールかけるみたいな?」

 今回も馬を急がせるために使ったのだが、意外な事に彼女も今までそんな使い方をした事は無かったそうだ。
 この世界ではあまり発展した生物学は存在しないのかも知れない。

「ヒース君のアイデアって本当に面白いからなんでも協力するわよ!?」
「ありがとうございます」
「で? 今度は何をやらかしてくれるの?」


 気付くとベァナとセレナの視線もこちらを向いていた。





「文字通り、巨人ヤツの息の根を止めます」




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