Wild Frontier

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第三章

神々の尖兵

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 ヒースとラセルという名の魔術師がトレバーへの移動を決めた頃。
 セレナとベァナもまた、今後の行動についての話をしていた。

「しかし──まさか魔物まで出て来るとはな」
「あんな怖そうな魔物がいるなんてびっくりしましたが、でも随分数も減って来ましたね。そろそろ移動しても大丈夫ではないでしょうか?」
「そうだな。この状態ならば、ヒース殿も文句は言うまい」

 ヒースからは『安全確保が出来たら追ってきてくれ』という指示を受けていた。
 そしてその判断はセレナに一任されている。
 彼女であれば、戦況の判断を見間違う事は無いと信頼されての事だ。

 彼女達が移動しようとすると、その方角から引き返してくる一団があった。
 どうやら親衛隊員らしいが、敵対の意思は感じられない。
 先頭の魔術師らしき女性が少々怪しげなのが気になるセレナだったが──

「ヒースの仲間ってのはあんたらかい?」
「ああ、そうだが」
「そりゃ都合がいい。あんたらに話があったんだよ」

 セレナは警戒を強める。

 親衛隊ならば、ここで襲って来てもおかしくはない。
 それに目の前の魔術師はいかがわしい服装ながら、かなりの使い手だとセレナは踏んでいた。
 身にまとう雰囲気もそうなのだが──
 でなければ、何人もの屈強な男たちが素直に従う理由が無い。

「ヘイデンの敵という事で、我々を排除するつもりか」
「ヘイデンなんざ、もうとっくにくたばってるだろうよ! そうじゃなくて、ちょっとヒースって男からの伝言を頼まれてさ」
「ヒース殿からだと!?」
「ああ。協会の支部長が危ないから、トレバーに引き返せって内容だ」
「引き返せ? 当初の指示と違うが──」
「別に信じる信じないはあんたらの勝手だよ。どうやらヒースは魔物を操る連中を追ってトレバーに向かったみたいだね。実際あたしらもその魔物と戦ってたんだ。間違いないさ」

 セレナは話の内容を吟味している。

「とにかく伝えたからな! あたしらは命が惜しいんでこれで失礼するよ。まったく……あの女に関わってたら命がいくつあっても足りないっつの……」

 そんな独り言を言いながら、その魔術師は来た道を戻って行った。
 彼女達が去ったのを見届けた後、ベァナが口を開く。

「セレナさん、どう思いますか?」
「正直あの見た目だからな。あまり信用出来そうには見えないが──シア殿はあの魔術師をご存じ無いか?」

 判断材料が少ないと感じたセレナは、地元出身のシアに意見を求める。

「いいえ、初めて見ましたわね。でも多分その話は真実ではないかと」
「その理由は?」
「彼女達は魔物が襲って来た方向、つまり最前線からこちらに移動して来ました。であれば魔物との戦いは絶対に避けられなかったでしょうし、無事ここまで来られたからにはある程度の腕利きの集まりかと思います」
「確かにそうだな。我々があまり苦労しなかったのは、もしかしたら彼女達が魔物を退治してくれていたお陰かもしれぬ」
「それなのに彼女達は、再び最前線へと戻って行きました。誇り高い兵士であれば危険を顧みずに魔物に立ち向かうというのも理解出来ますが──」
「ああ。こう言っては失礼かも知れぬが、彼女達はどちらかというと日和見主義の雇われ兵士にしか見えぬ」
「ええ。ヘイデンに雇われた彼女達が、金になるかわからないような戦いに挑むとは思えません。という事は答えは一つ──私達が最前線だと思っていた場所のほうが今では安全になっていて──」
「トレバーの危険度のほうが高い、という事か」

(あの女魔術師は『命が惜しい』という理由で、町とは反対の方角へ向かった)

「このまま先に進むと、実はカークトンとトレバーを結ぶ街道と再び合流するのです。彼女の話が本当であれば、ヒース様はおそらく街道沿いにトレバーへ向かっているのかと」
「なるほど。そう考えるとあの話も全て辻褄が合うし、魔物が減った理由も納得出来るか──」

 もしこの話が本当であれば、すぐに行動する必要がある。
 セレナは即断した。

「我々はトレバーに引き返し、ロルフ殿の助太刀に参ろうと思う」

 彼女達全員に異論は無い。

「ただヒース殿との約束は忘れないように。一番大事なのは自分の命、次に仲間の命だ。無茶はしないようにな」



 こうしてヒース達同様、セレナ達もまたトレバーを目指すのだった。





    ◆  ◇  ◇





 無口な青年は、ヒースからの依頼を完璧にこなしていた。

 魔法協会支部長であるロルフを、トレバーに送り届けるという依頼。
 そもそも襲ってくる魔物の数がさほど多くなかったお陰もあり、剣しか振るえない彼にも十分対処出来る状況だったからだ。

 彼の剣技はヒースも認めた程である。
 ゴブリンや獰猛な魔犬ヴィシャスドッグ程度の魔物に後れを取る事は無い。


「ゲルトさん。ありがとうございます」


 ロルフはゲルトに向け、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
 ゲルトの耳が不自由である事は、トレバー市民にも周知されている。

 ロルフも当初は筆談で交流をしていたのだが、この世界の紙は貴重なものだし、状況的に文字を書けない場合もある。
 そこでゲルトはヒースの提案で、口の動きから会話を読み取る練習を始めた。

 読唇術とまでは行かないが、口の動きに合わせて同時にその文章を見せる事により、口の動きと文字とを照合させていくのだ。
 彼は元々要領が良く、簡単な単語であれば意志が通じるようになっていた。

 ロルフの言葉を理解したゲルトは、ゆっくりと頭を下げる。
 そして今まであまり感謝をされる事が少なかった事もあってか、少しはにかむような笑顔を見せるゲルトであった。


 特に大きな問題も起きず、無事町の入り口まで戻ってきた二人だったが──


(何やら人が大勢集まっているようですね……逃げ出した兵士達でしょうか?)


 住み慣れた町に辿り着いた事で油断をしたのか、ロルフはその集団を間近で見ようとその足を速めた。
 直に彼は、集団が怪しげな儀式の準備をしている事に気付く。


 だが、一人の男がすぐそこにいた事だけは、一切気付く事が出来なかった。


「ようこそいらっしゃいました。わたくし主催のイベント会場に」


 何処からともなく現われたその男は、これまたまるで奇術師のような出で立ちでその場に佇んでいる。
 そして袖に描かれている、『ᛇ』ユルかたどった意匠。

「『ユル』の文字──お主、魔神シンテザの手の者であるな?」
「ほぅ。我々のシンボルをご存じとは──胸に刻まれた『オセル』とその装いからして、かなりお偉い職員様ではないかとお見受けしましたが──」

 一般市民には至って腰が低いロルフだったが、さすがに敵対組織の一員相手にまでそのような態度で接する事は出来なかったようだ。

「ここはウェーバー家当主、マティウス・ウェーバーが治める町だ。お主らは許可も得ず、この地で何をやっておるのだ!?」
「我々が信奉する神は進歩・自由を司る神でしてね。新しい事を始めるのに余計な制約など一切お与えにならない、素晴らしい神なのです。どこで何をしようが我々の勝手です」
「各個人が野放図に自由を求めてしまっては、互いの利益を害する事になるではないか。だからこそ太陽神エヴォルオ様や癒しの神アズナイ様がこの世に秩序をもたらす為、我々魔法協会を設立し──」
「あぁ──なぜ協会の職員方は、そのような上っ面だけの説教臭い話がお好きなんでしょう。あのですね、皆さん方はこの大自然に目を向けた事がおありですか? この世の生物達は己の能力を駆使して生存競争を勝ち抜き、生き残って来たのです。人間だけですよ、誰でも彼でも過保護に守ろうとする生き物なんて」
「それが出来るからこそ、人が人たりえるのではないか」
「そんな事をずっと続けていたら、人の能力の衰退に繋がりますよね? なぜあなた方はこんな単純な理屈も理解出来ないのでしょう。まぁどうせ言っても無駄でしょうから、話はこれでおしまいにします。時間は有限ですからね」

 ジェイドはそう言うと準備していた魔法陣のほうに右手を伸ばす。

 陣の周りにはローブを着た魔術師が座しており、その後ろに獣人が立っていた。
 獣人達はマナを供給する為、魔術師の首筋に手を添えている。

「何をやっている、とおっしゃいましたね? 折角ですのでご説明差し上げます。『神』を降臨させるのですよ」
「神、だと!?」
「ええ。もちろん世界の創造主たる十一はしらの神々ではございませんよ? そんな事が出来るのなら、我々は魔神シンテザ様を真っ先に降臨させますからね!」

 あくまで伝承ではあるが、この世界は複数の神々によって作られたとされている。
 諸説あるが一般的には元々十一の神が存在していて、それぞれが別々の役目を持っていたという話が伝わっている。
 その十一の神々の中には、魔神と呼ばれるシンテザも含まれていた。

「神を降臨させるなどとは! 恐れ知らずにも程がある!」
「何を仰っているのですか? 神を創造するというならまだしも、ただお呼びするだけじゃないですか。それとも協会には『神を召喚してはいけない』というでも伝わっているのですか? まぁあなた方の組織ならあり得そうですがね!」
「神は神が必要だと感じた時に現われる。こちらから呼ぶ必要など無い」
「なるほどなるほど。それじゃ我々の呼びかけに対して神が必要だと感じてくれれば、この地に降り立ってくれると考えれば良いわけですね」

 この二つの団体は全く異なる信条を持つ。
 おそらくそれが交わる事は今後も一切無い。
 なぜなら一方は秩序を維持する為に『掟を守る』という理念を、もう一方は人類の衰退を食い止めるため『掟に囚われない』という理念を持っていたからだ。

 本来であれば、それらは車の両輪であるはずだった。
 だがそれらが元々『人類の繁栄』という純粋な願いから生まれたものだという事実は、数千年の時を経る間に失われてしまった。

 その願いが、子孫たちに受け継がれる事も無く。

 しかしそれも仕方が無い事だったと言えよう。
 神々が対立を起こした時点で、既に考え方に相違が生まれていたのだから。

「折角ですので、あなた方には神が降臨する様子を特等席でご覧頂けるよう計らいましょう」
「要らぬ。そもそも何の『神』を降臨させ、どうするつもりなのじゃ」
「あーそれ聞いちゃいます~? 聞かない方が良かったと思いますよ?」
「どういう事だ」
「でも折角なのでお教えしちゃいます! なんと雷神のキュクロプス様にお越しいただいて、そのまま協会を建物ごとぜーんぶブチ壊してもらう予定なんです!」
単眼の巨人族キュクロプスだと!? 」

 この世界には神と呼ばれるものが数多く存在する。
 日本の神話のように、あらゆるものに神が宿るという考えである。

 ただし創造神以外の神々は、地域や民族、そして組織によってその捉えられ方は異なっている。
 十一柱の神々とそれ以外の神々では、根本的にその成り立ちが違うからだ。

「それは神などではない。単なる怪物だ」
「そうおっしゃると思いましたよ。でももうどうでも良いです。召喚は既に始まっていますし」

 その時、魔法陣中央に拘束されていた兵士がロルフの存在に気付いた。

「ああっ支部長様! どうか我々をお助けください! 私達は魔物召喚の生贄にされようとしています!!」
「なんと!?」

 距離があったため今まで分からなかったのだが、声を掛けられた事でそこに人が居たことに気付くロルフ。

「あら、あなた支部長様だったのですね? これは良い観客を迎えられました!」
「人の命をなんだと思っているのだ! すぐに中止しなさい!」
「その言い方ですと、人の命で無ければ良いという事でしょうか? 人間だって他の生命を奪う事で生き永らえているというのに、本当に貴方たち魔法協会は浅慮な上に傲慢な人々の集まりですね」
「ええい話にならぬ! かくなる上は──」

 普段は非常に温厚なロルフであったが、犠牲になろうとする者の存在と相手が魔神シンテザ教徒という事もあり、交戦の姿勢を見せる。
 その様子を横で見ていたゲルトも、ロルフの意を汲み剣を抜いた。

「相手がシンテザ一派という事であれば容赦はせんぞ」

 ロルフは詠唱を始めた。




── ᛢᛚᛞᚨ ᚨᛚ ᛚᚴᚣᚨ ᛈᛚᛁᚷ ᚠᚨᚱ ᛢᛚᛞᚨ ᚨᛚ ᛏᛁᛟ ──




「邪魔はさせませんよ」

 ジェイドも巨人の召喚に携わっていない部下達に指示を出す。
 彼らは指示に応じ、一斉に召喚を始めた。




── ᛚᚨ ᛢᛚᛞᚨ ᛞᛖ ᛗᛏᚱᚨ ᚨᛚᚣᚲ ᛚᚨ ᛏᛁᛟ ᚨᛚ ᛚᚨ ᚳᛁ ──

── ᛚᚨ ᛢᛚᛞᚨ ᛞᛖ ᛗᛏᚱᚨ ᚨᛚᚣᚲ ᛚᚨ ᛏᛁᛟ ᚨᛚ ᛚᚨ ᚳᛁ ──

── ᛚᚨ ᛢᛚᛞᚨ ᛞᛖ ᛗᛏᚱᚨ ᚨᛚᚣᚲ ᛚᚨ ᛏᛁᛟ ᚨᛚ ᛚᚨ ᚳᛁ ──




 ロルフの第三段階の土魔法ロックが完成する。
 拳大の巨石が虚空から現れ、砲弾のようなスピードでジェイドに降り注ぐ。

 その巨石の砲弾をプロテクションで防ぐジェイド。
 砲弾は半透明な壁にぶつかり、粉々に砕け散った。


 ロルフの攻撃の最中、今度はシンテザ教徒達による召喚魔法が完成する。
 現われたのは獰猛な魔犬ヴィシャスドッグである。
 魔犬達は現われるなり、猛ダッシュで敵の元へと駆けていく。

 最初の一匹がゲルトに襲いかかった。
 だがそれはあっさりと切り伏せられてしまう。
 その様子を見た他の魔犬達は距離を取り、警戒する動きを見せる。
 多少の頭脳は持ち合わせているようだ。

(先程話をした彼らの首領と思しき輩。奴を排除しなければ根本的な解決にはならないとは思いますが……)

 魔物を召喚している者は十人前後だが、ロルフ側はゲルトと二人だけである。
 いくらゲルトの剣術を持ってしても、この人数差では防戦が精一杯だ。

(無理にあの首領を狙おうとすると、こちらに隙が出来てしまう)

 ロルフは攻撃対象をジェイドから魔犬達に変え、第二段階の土魔法ペブルで迎え撃つ事にした。


「そこのお二人に大事な召喚を邪魔されては困りますので、皆さん申し訳ありませんがそのまま彼らを惹きつけておいてくださいね」


 そう言うとジェイド一人が巨大魔法陣の元へ戻って行った。
 指令を受けた部下達は、召喚が終了した者から順に短刀を抜いていく。



「そう簡単には行かせぬ、というのだな。であれば私も本気で行かせてもらおう」



 明らかに不利な戦いを強いられる二人。



 だがこの戦場に起きている異変は、セレナやヒースであれば必ず気付くと確信してもいた。



(セレナさん一行やヒースさんが来るまで、何とか戦い抜いてみせましょう)



 ロルフはふと横にいる青年と目を合わせる。



 彼に言葉は届かない。
 しかし彼の瞳からは、自分と同じ思いが感じられた。




 それは絶対に生き抜いてみせるという、強い意志の現れであった。




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