Wild Frontier

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第二章

業務改革

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「まさかこれ程とは……」

 農場の改革方法を説明するため、再びアーネストの元を訪れていた。
 ベァナとメアラには計画を事前に全て説明している。
 それぞれ別の事を頼んでいるので、今日は俺一人だ。

「これでも大分厳選したのですが、やるなら徹底的にやったほうが効果がはっきり表れるんじゃないかなと」

 農業の改善計画の概要はこんな感じだ。

 まず農業の方式については混合農業化を進める事にした。
 穀物を栽培する農地を四か所に分け、毎年違った用途で使用する。

 初年度の秋に大麦を植え、甜菜てんさい、春小麦、牧草という形で四年で一サイクルとなる輪作を行い、これにより収量を維持しながら収益を確保する。
 四か所で互い違いに育てるので、結果的に毎年同じ作物が四種類収穫可能だ。

「でもなぜ甜菜なんかを育てるんだ? たいしたお金にならないと思うのだが」
「甜菜からは砂糖を精製します。そしてその搾りかすを家畜の餌に回すのです」
「確かにうちで育てている甜菜は甘みがあるが……砂糖が取れるのか?」
「はい。砕いて煮詰めたものに木灰か石灰を入れて灰汁あくを取り、上澄みを更に煮詰める、というのが基本的な製造工程ですね」

 細かな注意点はいくつかあるが、それは後からでも良いだろう。

「今年収穫するものでも十分精製出来ると思うので、まずは作ってみてください。アーネストさんなら多分、すぐに改良のアイデアを思いつくでしょうし」
「よし、その辺は娘達に任せるとしよう。生産物や料理等については全部、妻と娘達に任せているんでね」

 後で聞いた話だが、店構えや飲食スペースは娘さんたちの発案との事だ。
 なかなか優秀な後継者をお持ちのようだ。

「その野菜についても輪作を行います。しかし野菜は組み合わせによっては輪作の効果が出ない場合があるので、私が説明した野菜の分類を参考に行ってください」

 分類と言うのは、要は植物の『科』の事だ。
 例えば有名な所だとトマト、ナス、ピーマンは全てナス科の野菜である。
 同じ科の野菜を連続して栽培すると、連作障害が出てしまう。

「でもそれらの作物は多分、数年経たないと効果が良く分からないと思います」
「それで……菜種なたねなわけだ」
「はい。オリーブオイルが入手困難なこの時期こそ、最も儲けが大きい商品になるでしょう」

 菜の花の種子についても既に調べている通り、十分な油量がある。
 日本古来種よりも、植物油用のセイヨウアブラナに近い。

 甜菜もそうだが、この世界の植物は元の世界の品種並みに有用な種が多かった。
 それこそ、まるで誰かが既に品種改良を行っていたかのように、だ。
 しかしその点に関しては遺伝子解析等も出来ないし調べようが無いので、細かい事は気にせず、とにかく有効活用させていただく事にする。

 ちなみに現在の菜の花は若い芽を食用にしたり家畜の肥料にしていたのだが、これでは十分に有効活用出来ているとは言えない。この品種の場合は、種子から取れる油と、花の蜜の両方に高い利用価値があるだろう。

「菜の花についてはじつは後で説明する養蜂にも関わって来ますので、是非栽培用地を増やして頂ければと」
「是非そうしたいとは思っているのだが……菜の花を栽培している俺が直接種子を買い付けたりしたら……多分何事かと噂になるんだよな」
「なるほど……そういう事でしたら、誰か別の方に代わりに買っていただくというのはどうでしょうか?」
「そうだなぁ。でもうちの従業員だとすぐにバレてしまうだろうし、かと言って懇意にしている特定の商人もいないんだ。特に農場が大きくなってからは、色々な奴等から声がかかるようになってなぁ」
「怪しい商人とかですか」
「ああそうだ。つい先月も『絶対に儲かる作物』なんていうのを売りに来た商人がいたんだが、あまりに信用の出来ない話だったので詳細も聞かずに追い返したよ」

 農場もこの規模になると、お金目当てで近づいてくる者も多いのだろう。
 俺と気軽に話をしてくれたのは、俺が商人では無かったからかも知れない。
 しかも俺の場合は商談の前に、役立つアイデアを無償で提供している。

 しかしそういう事なら……



「実はですね……かなり信頼の置ける行商人の知り合いがいるのです」



    ◆  ◇  ◇



 農作物に関する説明を一通り終えた後、休憩を兼ねて別の部屋に移動した。
 奥からにこやかな表情の若い女性がやって来て、お茶を出してくれた。

「ありがとうございます」

 ん?……このパターンは以前……

「ああ。それは俺の三女だ。黙っていれば可愛いのだが、かなりおてんばで……」
「ちょっとお父さん! お客さんの前でやめてよっ」

 そう言えば前回は長女がお茶を出してくれた。
 彼女は落ち着いた大人の女性という感じだったが、目の前の三女はスポーツか何かをやっていそうな快活なお嬢さんだ。
 年の頃はベアナと同じくらいだろうか。

「初めましてヒースさん。ベリンダです。若い男性だって聞いてたけど……」

 そう言い留まると、離れた場所から俺をじっと観察しているようだ。

 なんだろう。値踏みをされているような、この感覚。
 俺は気にしていない素振りを見せるため、出されたお茶を口にする。


「パパ。今日はお見合いの話ですか?」


 口に含む液体を吹き出し……

 ……危ない。
 すんでの所で踏みとどまった。

「今日は仕事の話で来てもらっているんだ。いいからマーカスさんをお呼びしなさい!」
「はぁい。ヒースさん、またねー!」

 ひとまず会釈だけしておく。
 というか、何の脈絡も無しに見合いの話を出すとは。

「ヒースさん本当に申し訳無い……どうも娘が勘違いをしたようで……」
「いえいえ、全然構いません」

 アーネストを見ると、少し慌てていたようだ。彼にしては珍しい。
 娘に振り回される彼を少し気の毒に思った俺は、ほんの少し湧き上がって来た疑念を押しやり、本題を切り出した。

「それよりこの部屋に移動して来たという事は、何かあるんですよね?」
「ああそうそう! 今呼んだのですぐに来るはずだと……」

 すると本当にすぐに、箱を抱えた男性がやってきた。
 アーネストよりは少し若そうだ。

「ヒースさん。彼はマーカスと言って、かなり長い付き合いをしている職人だ」
「おお、あなたがヒースさんですか! お会いできて光栄です!」

 俺が挨拶をする前にマーカスは箱を机の上に置き、握手を求めて来た。
 俺に会いたがる職人?
 ああ、もしかすると……

「ヒースです。もしかして湿度計の試作をしてくれた職人さんですか?」
「ええそうです! それがこちらに……」

 彼が先程の箱を開けると、確かに俺の描いた設計図に良く似た機器が入っていた。

「こんなお若い方がこのような発明をされるとは、私もまだまだ修業が足りないというか、視野が狭いと言うか……」
「いえいえ。これは私の発明ではなく、多くの方々の知恵の結晶です」
「マーカスさん、そんなもので驚いていたら、今度は腰を抜かすかもしれないぞ?」

 机の上には俺があらかじめ用意しておいた、三つの機器の見取り図が描かれた羊皮紙が置いてある。

「おお……これは……」

マーカスの目が羊皮紙に移った。

「今回新たに作ろうとしている機械は三つです。一つは牛馬用の鞍とプラウという農耕器具、二つ目は穀粒選別機、そしてこれが一番大変かも知れないのですが……足踏み式脱穀機です」

 マーカスは俺の言葉に反応もせず、ずっと図面を見ている。
 ボルタとジェイコブを思い出した。

「これは……良く考えられた装置ですね。見た事の無い構造のものもあります」

 穀粒の選別機は元の世界では『唐箕とうみ』と呼ばれている。
 風力で籾殻もみがらや軽い粒と、実の入った重い粒を選別する農機具だ。

 農作業で一番忙しいのは、種撒き前後の時期と、収穫の時期である。
 プラウは耕作前の段階、脱穀機と唐箕は収穫後に威力を発揮する。
 つまり、農作業の中で一番忙しい時期に力を発揮する機器達なわけだ。

「マーカスさんにはこれらを作って頂こうと思っていますので、私のほうから構造についてざっとお話させていただきますね」




「なるほど、この構造がクランクというのですね。つまり力の強さを残したまま、その方向だけを変えると……」
「そうです。そういう解釈がすぐに出来る方はなかなかいらっしゃいません。アーネストさん。マーカスさんはかなり優秀な職人ですよ」
「おお! それは俺の見立てが良かったという事だな!」

 さっきまでの三女とのやり取りがまるで嘘のように、いつもの彼に戻っていた。
 娘の前では普通の父親だった彼も、仕事になれば自信家の敏腕経営者だ。

「穀粒の選別機のほうが装置こそ大きいですが、むしろ構造は簡単かも知れません。その回転で風を起こして、収穫した穀粒を手でかき回しながら少しずつ落とし、風に乗せて分別するのです」
「マーカス、どうだ? 作れそうか?」
「作れそうも何も、アーネストさん出来上がるまで絶対諦め無いじゃないですか」
「勿論だ。マーカスが作れないなら俺が作る!」
「アーネストさん。農具の開発を行っているような暇は無いですよ」

 俺がそう声を掛けると、アーネストは驚いた様子を見せる。

「なんと……これで全部じゃないのか!?」
としてはそれで全部です。実は今まで説明してきたものだけで……大体全体の三分の一程度でしょうかね」

「全体の三分の一って……まだあと三倍も残っているのか……」


 俺は図面に一生懸命書き込みをしているマーカスの質問に答えながら、他の方策について順次、アーネストに説明をしていった。



    ◇  ◆  ◇



「ヒースさん……一体こんな沢山の作業、誰が行うと言うんだ……」
「いや全部一度にやらなくてもいいんですよ。確かに養蜂だけはこまめに世話が必要ですが、製紙や石鹸の作成はいつでも出来ますし」

 アラーニでも伝えて来た養蜂と製紙については、むしろダンケルドのほうが環境的に適しているようだったので、薦めておいた。

 製紙に適している理由は原材料にある。
 アラーニの周辺には和紙に適した植物が自生していない。
 そのため針葉樹の皮や麻を使うしかなかった。

 しかしこの辺ではコウゾ等のクワ科の木が自生している。
 これらは和紙の原料として都合が良い。
 クワ科の植物の繊維は長く、丈夫な紙を作る事が出来る。

 因みにクワの木はあるが養蚕ようさん業は発展していなかった。
 ベンに聞いた所、カイコガも存在していないようだ。

 養蜂を勧めたのはアブラナ栽培との相乗効果を狙っての事だ。それにアーネストの農場では常に何かしらの野菜を栽培しているため、養蜂との相性は良い。

 そして石鹸。
 これもアブラナ栽培から繋がる、おそらく最も付加価値を付けられる商品だ。

「紙のほうは従業員の手間がどれくらいになるか次第だが、原料が大量にあるし農閑期に出来る作業なので非常に有難いな。しかし……セッケンとか言ったか? それはなんなのだ?」
「この町だとマメ科の実を潰して体を洗ってるじゃないですか。あれよりももっと汚れが落ちる、洗うため素材です。服の洗濯なんかにも使えますよ。一度作って、実際に使ってみれば実感出来ると思います」

 紙も石鹸も今日作れるものでは無い。
 今回はその概要と必要な素材の準備だけ伝えておいた。
 農場での商品の製作は奥さんや娘さん達が担当しているそうなので、作り方については後日改めてレクチャーする事に。

 ちょっと娘達の挙動が心配ではあるが……
 奥さんも一緒ならきっと大丈夫だろう。

「いや……こんなに色々な提案をしてくれて本当に感謝する」
「何をおっしゃいますか。これで多分半分くらいですよ? 他にも一輪車、サイレージ、木酢液に木クレオソートの精製、それと……」



「すまん今日はこれでもう一杯一杯だ! また今度にしてくれ!!」



 どうやらアーネストとの付き合いは、今後もまだまだ続きそうだ。


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