Wild Frontier

beck

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第二章

予備調査

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 工房に戻ると、メアラがお茶を入れてくれた。
 この世界にも茶の木チャノキはあるようなのだが、そこから作られた『茶』は貴重で、富裕層向けの飲み物らしい。
 一般市民は様々な植物を焙煎ローストしたり、煮出したりして飲用している。

 そしてそういった知識に精通しているのが、エルフである。

「私も元々植物とか好きだったんだけど、メアちゃんと出会ったら植物の知識が半端なくてね。多分最初に仲良くなったものそういった話からだったよね」
「そうそう。でもボクの場合は里のみんなから教えてもらったものだけど、ベァナちゃんは自力で調べたりしてるからすごいですよー」

 エルフは森に住む種族だけあり、食用・薬用になる植物の知識に長けている。
 それが一万年以上も続いているというのだから、蓄積された先人達の知恵はかなりの量だろう。

「ヒースさんどうぞ」
「ありがたくいただこう」

 出されたお茶は褐色の液体だった。何かを焙煎したもののようだ。
 香ばしい香りが立ち込めている。
 一口飲んでみた。

「これは……」

 麦茶とコーヒーの中間のような味だ。
 しかし果たしてこの世界にコーヒー豆があるのかはわからない。

「大麦をってれた飲み物です。胃にも優しい飲み物なんですよー」

 コーヒー好きの俺は、野外でも作れる代替コーヒーについて調べた事がある。
 タンポポの根や大豆、麦系の穀物を煎ると、コーヒーに似たものが出来るのだ。
 いつだったかどこでも手に入るタンポポで試してみたが、意外にも結構コーヒー感があった記憶がある。
 タンポポを掘っている時、一緒になって掘っているシロの姿を思い出した。

 シロ……

「ヒースさん、お口に合わなかったですか?」
「いや、これを飲んでいたら懐かしい気分になってね。多分以前に似た飲み物を飲んでいたんだ。ありがとうメアラ」
「いえいえ、それでしたら良かったです。大麦が無い時はタンポポの根っこを使ったりもするんですよ。それでも似た味になるんだから不思議ですよね!」

 こちらでも同じことをする人が居たと知り、なんだか可笑しくなってしまった。
 それならば……

「俺の記憶だと、これにミルクとかクリームを乗せて飲むんだ」
「ええっそうなんですか!? 今朝買ったミルクがありますけど……」
「本当か! 是非分けてくれ!」

 メアラは奥からの棚のような場所からミルクを持ってきた。牛の乳らしい。

「おお、ありがとう! そしたらこれをこの程度入れて……」
 二人とも興味津々で見ている。
 飲むところまでそんなにじっと見なくても……

「ああ、これだ! 懐かしい!」

 好奇心の塊である二人は、早速俺の真似をしていた。

「あっ。これいいですね!」
「なにこれ!? マイルドになったというかコクが出たというか……」
「お菓子と一緒じゃない時は砂糖を入れて飲んでもおいしいよ」
「砂糖ですか~……このへんでは取れないので高いんですよね~」
「そうなのか。もしかして原料はさとうきびか?」
「ええ。南のほうでしか育たないので、トーラシアの南端とかで栽培されているみたいですね」

 ビートから生成する方法はまだ確立されていないのか……
 とは言え結局メアラは、ティネから大事に使うように言われている砂糖を奥から持ってきた。
 ミルクも砂糖も、かなり好評だったようだ。
 余分に買ってあったビスケットをみんなでつまみながら、暫くは飲み物の話題で盛り上がった。



 ただし、話すべき本題は別にあった。
 ベァナがその話題を振ってくれた。

「ところであの子たちの事なんですが、ヒースさんには何か考えが?」
「今の所最も有効的だと思うのはアーネストさんの農場で引き取ってもらう方法だ。俺もそう思って午前中に話をしてきた」
「アーネストさんはなんと?」
「まぁ話をまとめると、今雇っている従業員を養うので精一杯だそうだ」
「そうですか……」
「しかし逆に考えれば、もっと効率的に稼げれるなら、従業員を増やす事も可能だろう。それで彼に農場を見せてくれと頼んだのさ」
「ヒースさんのアイデア次第って事ですね! それなら間違い無いですね!」

 彼女には俺の事情も話してあるし、実際にクロスボウ、養蜂、和紙制作、娯楽などの新しい知識を間近で見てきたのだ。

「いや俺のアイデアではないよ。あくまで偉大な先人達の知恵を借りているだけさ」

 ベァナの話を聞いて興味を持ったのか、メアラも話に乗って来た。

「あっあの! ボクも見学に行ってもいいですか?」
「そうだな……先方に確認しないといけないが、多分問題無いとは思う。でも農場の見学だぞ?」
「ボクが人間社会で生活したいと思ったのは、魔法の勉強もあるのですが、もともとは人の技術革新ってやつに興味を持ったからなんです」

 森の生活を一万年も続けていると、中にはこういった異端児も生まれるのだろう。
 そしてそれこそが自然の摂理ってものだ。

 新たなものに興味を示さなくなった時点で、人の進化は止まる。

「エルフの集落は時の流れもゆったりで居心地はいいのですが、ボクはこの町に来てびっくりしたのです。故郷にはない沢山の品物、水車や風車、色々な建物や道路・水路などなど。人はエルフが何十年もかけて行う事を数年、いや数か月で作り上げてしまうのですから」

 だからメアラは一人で町に残ったというわけか。

「まぁ裏を返せば、人の命はあっという間だって事なんだけどね……事情はわかった。アーネストさんに話を通しておくよ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
 まぁ人が一人増えたくらいで何か言う人でもあるまい。
「まぁアーネストさんのほうは多分大丈夫なのだが……問題はあの子たちのあるじの……カルロさんだっけか。そっちの方が問題だな」
「素直に引き渡さないと?」
「ああ。詰まるところ奴隷は貴重な労働力だからな。タダで手放すわけがない」
「そこは今日みたいに、怖い顔をすればなんとかなるのでは!?」

 ああ……プリムとニーヴが裕福な子供に絡まれていた件。
 つい我慢出来ずに威圧してしまった。
 俺もまだまだ修業が足りない。

「すまん。あれは忘れてくれ……」
「でもっ、すっごいかっこよかったです!!」

 そう言ったのはメアラだ。

「メアちゃん、男らしい人が好きなんだものねーー」
「ベァナちゃん! 今それ言うのは反則ですよぅ!!」

 一瞬、聞き捨てならないような言葉が混じっていた気がする。

「ええと……まぁ下手すると脅迫と受け取られかねないので、ああいう方法はちょっと無理だ。だからこそ今ベァナが調べて貰っている情報が必要なのさ」
「魔法協会の?」
「ああそうだ。奴隷とあと管理者だったか、まずはそれがどういったシステムでどういうものなのかを理解するのが重要だ。もしかしたら何か都合の良い方法があるかも知れない。まず今わかる情報だけでも教えてくれないか?」
「奴隷の手続きに関しては大体調べられたと思います」

 そう言ってベァナは奴隷契約について話をしてくれた。

 まず最初に奴隷は自らが志願しないと登録出来ないという事。
 ただこれについては多分、本人がそう望まずとも他に方法が無く、やむを得ず志願している可能性も考えられる。
 例えば借金が払えなくなり、住む場所を強制的に取り上げられてしまえば、寝る場所すら失う事になる。元の世界のように住み込みで三食付きの仕事など皆無なこの世界では、それはもう生きていけないのと同義だ。

 多分例外は器量の良い、若い女性だけだろう。
 彼女達には最悪、娼館などで働くという道もあるにはある。
 
 また奴隷になると冒険者カードと魔法使用が一切禁止される代わり、暫くは魔法協会で衣食住を保証されるらしい。魔法が使えなくなるのは無駄な争いをさせないようになのかも知れないが……
 衣食住の保証については救済する目的としては当然の仕組みだろう。

 そして奴隷達は引き取り手が現れると、双方無償でその権利を委譲する事になる。
 限りなく人身売買に近いやりとりな気もするが、協会側としては奴隷は一時的にお預かりしているだけというスタンスらしい。
 そして本来は困った人々を助けたいと思っている貴族や商人に、保護する者としての立場を引き継ぐ役割だけを担っているという事らしいのだ。

 その保護を直接担当する者の事を『管理者』と呼ぶ。
 アーネストの所は彼が直接管理者となっているらしいが、カルロの農園では娘達の話によると、ブレットという若者が管理者になっているようだ。


 そしてこれが一番重要で、かつ不可解な仕組みなのだが……

 奴隷は登録した町から遠く離れる事は出来ない。

 具体的には町から長い間離れていると、マークの色が変わる。
 一週間以上その状態が続くと赤い表示になり、更にその状態が続くと……

 ……奴隷は死んでしまうというのだ。

 つまり奴隷は登録した町から逃げる事は出来ない。


 なぜ保護対象であるはずの奴隷の命を奪う必要があるのか?
 また移動制限の意味は?
 これに関しては俺も少し思う事があり、後ほど考えをまとめる事にした。


 最後に奴隷の解放条件だが……


 なぜ今までそんなシステムでずっと運用してきたのか?
 それはもはや正気の沙汰ではないようなものだった。

 条件は二つ。

 一つ目の条件は、管理者の許可が必要になる点。
 これについては保護の観点からすればまだ理解する事が出来た。

 問題はもう一つの条件。
 その内容はこうだ。


『奴隷一人につき、一枚の納入が必要』


「馬鹿にするのもいい加減にしろよ、魔法協会は……」


 つい声に出てしまった。
 ただベァナもメアラも、俺の声に驚いた様子はない。
 きっと同じような感想を持ったのだろう。

 事前にアーネストから、解放にお金が必要になるとは聞いていたが……
 俺はせいぜい登録時にお世話になる生活費分くらいだろうと勝手に想像していた。

 聞いた話によると、奴隷の一日の生活費は銅貨二枚程度らしい。
 その生活費というのも、ほぼ全て食費のみだ。
 そこから計算すると、奴隷の解放に必要なお金は……


 彼らの54年分の生活費と同額。


「アーネストさん、十年で二人しか解放出来なかったと言っていたが……『しか』だなんてとんでもないぞ……」

 単純計算でも一般的な奴隷の食費の数倍もの給与を、彼ら為に積み立てしてくれていたのだ。

「そりゃお金がいくらあっても足りないよな……」

 彼が商売に執着する理由が今はっきりと分かった。

「というわけなので……俺は彼の商売を俺の全力を持って応援する」
「ヒースさんの全力ですか……それはちょっと楽しみです!」

 ベァナは別の意味でも賛同してくれているらしい。

 そんな中。
 怒りをあらわにする俺に、メアラが言いづらそうに助言してくれた。

「あのヒースさん……多分なのですが、魔法協会の人達は金額を決めるのに一切関わっていないと思います」
「そうなのか?」
「はい。以前、師匠がおっしゃっていたのですが、魔法協会は大昔に決められた決まり事を盲目的に遵守じゅんしゅしているだけの組織らしいです」
「つまり……神が定めたルールを愚直に守っているだけと?」
「そう言ってました。詳しい事は良く分かりませんが……」

 言われてみれば、確かにいくつか納得出来る部分もある。

 カード発行する際に見かけたディスプレイ。
 そしてピクトグラムが描かれた入力装置。
 あれらは明らかにオーバーテクノロジーの産物だ。
 もしここが地球だったとしても、世間に公表出来ないレベルの一品である。

 しかし協会の職員達は秘密にするでもなく、特に違和感無く操作をしていた。
 また機械について訊ねた時、機密事項とは言いながらも、その設置方法をいとも簡単に教えてくれた。


 そして職員はあの装置を『』と言ったのだ。


 召喚魔法が存在している事ももちろん驚くべき事だが、重要なのはそこではない。
 装置を召喚で取り寄せているという事は、つまりあの装置がどのように製造されているのか自体は、召喚者ですら知り得ないという事だ。

「メアラのお陰で少し気分が落ち着いたようだ。感謝する」
「いえいえ大丈夫です。ティネさんがブチ切れた時より全然穏やかですから」

 ふと村を出発する際に聞いた、ブリジットさんの言葉を思い出した。

『ティネにはくれぐれも気を付けてね』

 ティネさんってどんな人なんだ……!?
 少し怖くなってきた。


「ベァナ、説明ありがとう。奴隷契約の仕組みは大体わかったと思う」
「あとは専属契約でしたっけ? それはまだ良く読めていないのですが……」
「まぁゆっくりで構わないよ。アーネスト農場の所得倍増計画もきっと時間がかかるだろうし」


 とは言ったものの、多分今回やろうとしている事の肝になるのは、多分専属契約の部分についてだ。
 プリムとニーヴは、管理者はブレット……無表情な青年……だと言っていた。
 つまりカルロが直接管理をしているわけではない。

 そして様子を見る限り、喜んでカルロの元で働いているようには見えない。
 彼には多分、何らかの縛られる理由があるのだ。



 現状、わかるのはここまでだ。
 とにかく出来るところから着実にこなしていくしか無い。


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