Wild Frontier

beck

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第一章

提起

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「……スさん」

 なにか聞こえてきた。

「ヒースさん! 起きてください。朝ごはんですよ!」

 人の声で起こされるなんて子供の頃以来だなぁなどと思いながら重いまぶたをゆっくりと開くと、目と鼻の先に美少女の顔があった。

 夢!?

 突然の事に体がびくっと反応する。
 俺が起きるのを確認した彼女は笑みを浮かべ、覗き込んでいた姿勢を元に戻した。

「よっぽど疲れてたんですね。でも折角なので一緒に食べましょう? 先に行ってますね~。」

 ベァナは無邪気にそう言いながら、部屋の外に走って行った。
 こんな漫画みたいな起し方をしてくる人なんて実際居るわけないだろう、と今までは別世界の出来事だと思っていたのだが、別の世界に来たら本当に存在していたのである意味びっくりだ。

 存在したから観測出来たのか、それとも観測した事で存在が確定したのか。
 そんなどうでもいい事を考えながら広間に行くと、そこには村長一家が勢ぞろいしていた。
 昨日の会合では見なかった、ベァナの弟のニックも椅子に座っていた。

「皆さんおはようございます」
「おぉヒース殿、丁度これから食事をする所じゃ。どうぞお掛けくだされ」

 村長にも自分の思いを伝えて普通に話してくれるように頼んではみたのだが、なんというか個人的なけじめのようなものがあるそうで、結局名前への敬称と丁寧に話すという事についてはこのまま、という事で落ち着いた。

 食事をしながら、弟のニックとの会話を試みた。
 やはり緊張しているのか、うつむいていてあまり反応が無い。
 しかし、山でどんな感じで過ごしていたかとか魔物との戦いについてのやり取りをするうちに、あっという間に打ち解けて話せるようになっていた。

 そして俺への呼称がいつの間にか「ヒースにい」に。

「んでねヒース兄、村の子供たちとよく遊ぶんだけど、いつも戦争ごっこみたいな事ばっかりしててね。最初は楽しいんだけど、みんなで叩きあったりするから、ケガをしちゃったり、すぐにけんかになったりするんだ」
「あぁ。俺も子供の頃、そんな遊びしてたっけなぁ」
「それでね、ぼくはそういう遊びもきらいじゃないんだけど、いつも年上の子ばっかり勝つようなのばっかりだし、もっとみんなが楽しめるものがないかなって思ってて」

 ニックはまだ8才だというのに、そんな事を真剣に考えているとは驚きだった。
 こちらの世界ではアラーニ村しか見ていないので、世界の全てがそうだと断言出来るわけではないが、この村の様子から考えると確かに娯楽は少なそうだ。

「そっか……よし分かった。んじゃ俺が今度、みんなで遊べる何かを考えてみるよ」
「本当!?約束だよ!」


 元の世界はありとあらゆる娯楽にあふれていたが、その全てが肯定出来るものだったとは言えなかった。

 人の欲望は尽きる事が無い。
 そしてその欲望に目を付けて矢継ぎ早やつぎばやに生み出された娯楽が世に出回り、中には人を不幸にしてしまうものも数多あまた存在していた。

 ただそんな中でも人の生活を豊かにしてくれる素晴らしい娯楽も沢山ある。
 この小さな友人の為に、この世界でも受け入れられて誰でも楽しめるようなものを、合間を見ていくつかピックアップしておこう。

「村長、邪魔するぜ~!」

 食事が終わってしばらくすると、村長宅にボルタとジェイコブが集まって来た。
 家の主が外で庭いじりをしている中、よそ者だけが昨日利用した会合用の大部屋兼ダイニングを占拠していた。
 これだけ大きなテーブルがあるのは村長の家だけらしい。
 ボルタは丸めた大きな紙のようなものを小脇に抱えていた。

「ヒース殿のあの話しぶりからすると、多分これが必要になるかなと思ってなぁ」

 小脇に抱えていたのは大きな羊皮紙ようひしだった。
 確かに構造を説明するつもりだったので、これは非常に助かる。

「そんなに大きな羊皮紙、かなり高価なものではないですか?」
「いやぁ、記憶が無いって言っても物の価値はおわかりなんですなぁヒース殿。確かに結構値が張るものだが、村がぶっ壊されて工房作り直す事考えたら全然安いってもんよ!」

 記憶が無くなっているというのを良いことに結構あてずっぽうで話を振ってみたが、やはり羊皮紙は高級品らしい。
 パピルスや紙はこの世界には無いのだろうか?

「それで、ホブゴブリンを貫けるっていう弓の事についてなんだけども……」

 ジェイコブがそう話始めたので、気になってボルタの方を見た。
 昨晩ジェイコブに二度もつっかかっていたボルタも、これから村の命運を握っている武器について話をするからなのか、それとも他の村人がいないからなのかはわからないが、大人しく羊皮紙をテーブルに広げ準備をしていた。

「はい。単純に『すごい弓、あります!』とか言われても全く納得出来ないと思いますので、まずは考え方や仕組みについてお話していきますね」

 ボルタは準備が終わったようだ。
 既に着席している。

「まずこの村で使われている長弓についてなのですが、多分この世界にある弓の中ではトップクラスの破壊力がある、とても優秀な弓だと思います。私が持っている短弓は軽くて連射も可能、そして騎乗しながらでも撃てるという利点がありますが、山の中では威力も飛距離も出る長弓のほうが確実に有利です」

 村の弓制作を一手に請け負っているボルタへ最大限の敬意を表して説明をした。
 ロングボウは本当に優秀な弓だ。イングランド地方を中心に使用されたロングボウはファルカークの戦いでスコットランド軍を苦しめ、英雄ウィリアム・ウォーレスを敗走させた実績もある。

「ただボルタさんも指摘されていた通り、その運用上3つの問題があります。1つ目は威力を上げる程、高い筋力が必要になる点。2つ目は命中させる為に高い技術が必要となる点」

 ボルタは弓の構造と特性を熟知している為か、そのまま黙って聞いている。

「そして3つ目は、そういったベテランの射手しゃしゅを育てる為に長い年月が必要になる点。この問題が一番深刻です」

 ジェイコブもうなずきながら話を聞いていた。

「なぜ育成に時間がかかるかというと、高い筋力と命中技術の両方を同時に上げなければならないからです。筋力については毎日地道にトレーニングを続ければ、誰でもそのうち鍛えられるでしょう。本人がさぼらなければですが」
「まぁそうだな。ただその点についてはジェイコブん所のせがれもウチのバカ息子も、かなり怪しいところだがな」
「ちょっと腹の立つ言い方だが、否定出来ない事にまた腹が立つ」

 この二人は他の村民が居ないと結構仲がいいんじゃないか?まるでコンビ芸人の私生活を見ているようだ。

「ところが命中率を上げる事については、かなり絶望的です。つるをずっと引いたまま獲物を狙い続けなければならないので、今まで弓の名手だった人ですら、弓の威力を上げた途端に全く当たらなくなってしまう事が予想されます。つまり威力を上げる事と命中率を上げる事は、互いに相反する要素になっているわけです」
「ヒース殿、確かに全くその通りだし、だからこそ無理なんじゃぁないのか?」
「はい、そのままでは無理です。ですので……その二つを切り分けます」
「切り分ける?」

 ジェイコブは意味が分からないという感じで聞きなおしてきた。
 ボルタのほうはその言葉を聞いて、何やら考え込んでいた。

「つまり弦を引きながら獲物を狙わないようにします」
「そりゃ一番難しいのは獲物を狙っている間だからな、弦を引く行動と狙う行動を分けられるって言うなら、片方にだけ集中出来るからそりゃ楽だわな」

 ボルタはそう言って更に言葉を続けた。

「それをどうやって切り分ける……あっ!?」

 先程から何か考えていたのは、切り分ける方法についてだったようだ。

「……弦を引っ掛けておくのか!?」
「そうです。さすがボルタさんですね」
「いや、そりゃそれが出来るっつうなら……いや待てよ、何か棒のような突起に弦を引っ掛けて、その棒を引っ込めれば勝手に元に戻って……ヒース殿、すごい事考えるな!?」
「考えたのは私じゃありませんけどね」

 ジェイコブもボルタの独り言を聞いて、何かひらめいたようだった。

「ヒースさん、ざっとでいいので図面に書いてくれないか?」



 そこからはとても速く事が進んだ。

 俺は以前、古代中国の歴史展というような名前のもよおし物が開催されると知って、開拓好きな俺としては古代世界の生活や農業について知るチャンスという事で喜び勇んで見に行ったことがあった。
 古代の道具達の実物を自らの目で直接見る事が出来て単純に嬉しかったのだが、やはり歴史と戦争は切っても切れない関係にあるらしい。
 そこには戦争で使われた道具達も展示されていたのだ。

 そしてその展示の中にあったのが、今回作ろうとしている武器である。

 その武器の名は『』。
 西洋では『クロスボウ』と呼ばれる武器。
 日本では石弓いしゆみなんていう名前で呼ばれることもあるが、石弓という兵器は別に存在するので弩のほうがより正確だろう。

 クロスボウは地球上ではかなり古くから発明されていた武器である。
 しかし発明のスピードや順番が違うのか、地球では太古から存在していたものがこちらの世界だと無かったりする事も多い。

 まぁ逆に魔法なんていう、地球じゃフィクションでしか存在しないものもあるし、進化の仕方が少し異なるのかも知れない。
 若しくは『魔法』の存在自体が進化の過程をゆがめてしまった可能性もある。

 とにかく目の前にある図面はクロスボウの展示を見て帰宅した後その構造が気になり、ネットでもう一度調べた時の記憶を頼りに描いたものだ。

 この武器の一番の特長は、先程ボルタも言っていた通り弦を引く動作と狙いを定める動作を、完全に切り分けられる所にある。

 機能の切り分けというのは業務の効率化やIT技術などで良く使われる手法だ。切り分ける事によって一つ一つの機能が独立し単純化されるので、今度はその機能だけに焦点を当てて改良していく事が可能になる。
 一度に全ての動作を同時に行おうとするから難しくなるわけだ。

 今回のケースであれば、てこの原理を使って素手の数倍の力で弦を引けるし、引いた後は狙いを定める事だけに集中できる。よって筋トレ等の長期間の訓練を必要とせず、場合によっては女性でもすぐに扱える武器となる。

「ったく大して難しい事はやっちゃいねぇのに、こんな方法今まで考えもしなかったな……ヒース殿、この武器に名前は付いてるんか?」
「色々な名称があるのですが、この地だと『クロスボウ』というのが一番しっくりくるのかなと」
「クロスボウか。確かにボウと台座が十字クロスに組み合わさっているから覚えやすいな」

 ボルタは髭を触りながら図面を隅から隅まで眺めていた。

「クロスボウはその構造上、どうしても複数の素材を使う必要があります。特にこの矢を射出するための引き金トリガー部分なんかは、金属でないと滑りが悪くてうまく撃てなくなるんですよね。繰り返し動作させるので摩耗も激しいですし」

 ジェイコブは俺の描いた部品を見て唸っていた。

「基本的な考え方自体は弓と同じですので、ボルタさんの担当部分で難しそうなのは……ここの弦を引くための部分くらいですね。弦を引く方法は色々あるのですが、今回は初の作成という事もあるので棒を引き上げる方法が、構造的には一番簡単だと思います」

 ボルタは話半分に聞きながら、図面を見て両手を動かしていた。既に構造を理解して、どう作ろうか試行シミュレートしているのかも知れない。

「しかしこの武器の一番の難所は、ジェイコブさんに担当していただきたい部分です」
「この引き金の所だよね。大体の部品は鋳型いがたを作って流し込めば多分問題無く出来ると思う。でもちょっと分からないのが……ここだね」

 ジェイコブはクロスボウの後ろの方、トリガーと繋がっている螺旋らせん状の物体を指し示して言った。

 コイルばね。
 通称『つる巻きばね』だ。

「金属をくるくる巻いていけば出来そうな気がするが、この利用方法を考えると…うちが普段使っている鉄はそのまま使えないな」
「そうですね。鋳鉄ちゅうてつだと硬度が高すぎて折れてしまうと思います。多分もっと炭の含有量を下げた状態で鉄線を作らないと……」

 俺の話を聞いていたジェイコブとボルタは、互いに目を見合わせて驚いていた。

 あれ?
 俺、何か間違った事言ったか?

「ヒース殿。ジェイコブは曲がりなりにも鋳物屋だから、鉄の加工についてある程度詳しいのは当然なんだがよぉ」
「曲がりなりにもってなんだよ!?」
「俺ぁてっきりヒース殿は剣術修業で旅でもされている貴族のご子息か何かかと思っていたんだが……ホブゴブリンまで退治してしまうくらいだしな。でもそれにしちゃぁ俺ら職人並みに生産素材について詳しくないか?」

 おっと。村の為とはいえ、あまり色々な事を知っていては記憶喪失という設定に疑いがかかってしまうかも知れない。

「いえなんというか、この知識も誰に教わったとか全く覚えていないのですが、もしかしてこんな立派な剣を持っているくらいなので、職人さんに知り合いが居たのかもしれません」

 かなり苦しい言い訳だが、知識の出し惜しみをしたせいで村が破壊されてしまうなんて事は、俺だけではなく全員が望んでいないはずだ。

「いやー、こんな今まで見たことの無いような武器の図面をささっと描いてしまう上に、部品の作成方法どころか、その素材についての知識までお持ちとは……確かにこれなら……」

 ボルタは未知の、そして完成すれば確実に役に立つであろう、この新しい武器の図面に気を取られていた。
 別に俺の素性を怪しんでいたとかでは無く、単に職人魂がうずくようなアイデアに感服していたようだ。

 決して俺の発明ではないんですけどね。

「ジェイコブさんの担当部分についてはもう少し検討してみたほうが良さそうですね。あくまで私の記憶を元に書いたものですし、考えればもっと別の方法があるかも知れません。後日ジェイコブさんの工房をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「ええ、是非!他にも色々とお伺いしたい事がありますので!」


 ボルタはジェイコブに向かって「おめーばっかりずるいぞ! こっちにもヒース殿寄越せ!」と、笑いながら文句を言うのだった。

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