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第一章
恩義
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集まりはその後すぐにお開きとなり、必要なメンバーのみ明日再度集合となった。
提案した武器の説明をするには時間も遅かったからだ。
村には宿屋が無いため、滞在中は村長の家に泊めさせてもらう事になった。
ノエル村長の家には現在、村長、ベァナ、弟のニック、そして母のブリジットが暮らしている。
ベァナの父はかなり優秀な騎士だったそうなのだが、何年か前に魔物との戦いで命を落としたらしい。
村で一番大きな家で部屋も余っているため、暫くは空いている部屋を自由に使ってくださいとの申し出を受けた。非常に有難い事である。
山で生活していた最中、渓流を見つける度に服や体は洗うようにはしていたのだが、折角泊めさせていただくのに汚れた体のままでは申し訳が立たない。
どこか水を浴びれるような場所は無いか訊ねてみたところ……
ベァナからこれまた有難い一言が。
「天然の温泉があるので、そこを使えますよ」
天然温泉!?
素晴らしい!
村のみんなで共同で使っているというので、先に温泉に案内して貰う事に。
お風呂と言うのは地域によって入り方の習慣が異なる事が多い。
到着するまでちょっとだけドキドキしていたのだが、この地域では男女しっかり分かれていたので、俺の心配は幸か不幸か杞憂に終わった。
どちらにしろ何から何まで至れり尽くせりの待遇だった。
「ちょっと急だったし、あまり部屋を片付けられてなくてごめんなさいね」
ブリジットさんは、俺が滞在する部屋に明かりを持ってきてくれていた。
この部屋は旦那さん……ベァナの父が書斎として使っていた部屋らしい。
部屋は俺が村に到着した後、すぐに準備してくれていたようだ。
また前もってベァナから言われていたのか、彼女は敬称も敬語も使わなかった。
普通に会話が出来るのは大変ありがたい。
「こんなに良いお部屋をお貸しいただけて恐縮です」
書棚には羊皮紙によって作られた本がかなりの数並べられている。
ベァナの父は騎士だったはずだが、勉学の道も疎かにしない人だったに違いない。
「何度も言われるといい加減面倒になるかもしれないけれど……娘を助けてくれて本当にありがとう。ヒースさん」
「いえいえ、こちらこそ。村長一家の皆さんには大変感謝しています。何しろ右も左もわからない状態で、食べるものにも困っておりましたので」
お風呂から戻った後、既に寝ていたベァナの弟以外の家族全員で食事をご一緒させていただいたのだ。暖かい食事なんて、魚を焼いて食べた時以来だったので、それはもう、涙が出るくらい嬉しかった。
「それにしてもヒースさんは、芝居掛かった戦い方をされるのですね!」
ちょっとお母さん! それは娘さんの脚色ですよ!!
不正確な情報はトラブルの元だ。
ここはビシッと正しい情報をお伝えしないと!
「えーっと、なんというか……かなりアレンジされていたようでして……」
「うふふ、わかってます。大丈夫ですよ。あの子は夢中になると、いつもあんな感じなんです」
まるでベァナがそこにいるような笑顔だった。
「あの子は私に似たのか、小さい頃から魔法の才能があったんです。それを意識してからでしょうか、夫が騎士の職務で家を空ける前には必ず『わたしがパパの怪我を治してあげる』って言って送り出してたんです」
彼女は少し顔を上に向け、昔の事を思い出すように語り始める。
「でも夫が魔物との戦いで亡くなった知らせがあった時、結局自分は何の役にも立たなかったと、ずっと泣いていました。その後、少し経ってから『少しでも早く、出来る限り多くの役に立つ魔法を覚えたいから、魔法についてもっと習いたい』って言い始めて」
「ええ」
「私も元々魔法を使ったお仕事をしておりましたので、基本的な事を教えたりはしていたのですが……」
やはり攻撃魔法を使えるというのは、それだけで仕事になるような、とても稀有な才なのだろう。
「親子ってだめですね。お互いつい感情的になってしまって。あの子って見かけによらず結構頑固な所があるんです。それで口喧嘩になる事もしばしば……」
「それは意外です」
「それでどうしてももっと勉強したいって言うので、近所の町に住んでいる私の友人に頼んで、2年程修業させたんです。今じゃ私なんかよりも知識はあるんじゃないかしら」
「出会った直後、彼女は私の記憶を掘り起こそうとしてか、一生懸命に野草について色々と話してくれました。その知識量から勉強家だなと感じていましたが」
「あらそうだったのね! フフ、あの子らしいわ。でもそうね……勉強家っていうよりも、興味を持った事に対してかなり熱くなるのは間違いないわね」
「わかるような気がします。とても良い事です」
「あらあら。ヒースさんがそう思ってくれるなら、母としてはとても嬉しいのですけれど! ぜひ仲良くしてあげてくださいね!」
どういう意味なのかは良くわからなかったのだが、とにかくベァナはこちらの世界で初めて出来た大切な知人だ。
初めて出会う人間とその後の展開については何度も何度も、考えられうるだけのパターンを考察していた。しかし今では事前に考えていたどのケースよりも、ベァナとの出会いこそが最適解だったと感じている。
そしてそれはこの村の存在……
村の人々との出会いにつながった事で確信に変わった。
恩を返したい。
この村を絶対に守りたい。
「疲れているのに長話をしてしまってごめんなさいね。また今度おばさんの話に付き合ってくれると嬉しいわ」
「おばさんだなんてとんでもない!最初ベァナのお姉さんかと思ってましたし」
「まぁ!ベァナよりも先にお会い出来ていれば良かったかしら!」
ブリジットさんは微笑みながら部屋から出て、部屋のドアを閉めてくれた。
「おやすみなさい、ヒースさん」
「おやすみなさい」
この世界に来てから初めて、まともな寝具の上で横になりながら、俺は様々な情報を整理していた。
考えるべき事は沢山ある。
まず最優先事項なのは、この村を守る事。
村人との会話の中で、まだ十分とは言えないまでも世界の様々な状況を知ることが出来た。
魔物が普通に存在して人間を積極的に襲っている事実。
それに対抗するための組織である騎士団。
そして決して多くは無い魔法使いの存在。
ボルタとの会話の様子からすると、攻撃魔法は使用可能な術者が少ないだけで、魔物に対する対抗手段としては否定されていなかった。
ブリジットさんも魔法を生業としていたそうだし、きっと有効的な対策手段ではあるのだろう。
魔法か……
まさかこんなものが存在する世界に来るとは想像もしなかった。
俺にも使えるのだろうか?
ブリジットさんにもうちょっと詳しく聞いてみたかったが、急な来客対応で色々と大変だっただろうし、また次の機会にでも聞いてみる事にしよう。
しかし例えばもし仮にこの俺が魔法を使えたとしても、村人の殆どが魔法を使えないという事実に変わりはない。
であるならばやはり個人の才能に頼らず、誰にでも扱える武器を用意するべきだ。
この村を今後も脅威から守り続けるためには、この村の人々自身がその手段を持つことが一番重要なのだ。
俺は武器自体の作成や運用方法等について、横になりながら組み立てていた。
しかし心地の良いベッドの感触は、俺を深い眠りへと誘うのだった。
◆ ◇ ◇
<羊皮紙>
人類は文字を発明する以前から、自分たちが見聞きしたものや気持ちなどを伝えるため、自然界に存在する様々なものに記録をしてきた。石、貝殻、木、洞窟の壁、樹皮や獣皮など。ありとあらゆるものを駆使してその記録を残して来たが、古代メソポタミアでは様々な記録を残すものとして粘土板を使用していた。粘土板は重くて扱いづらいという欠点もあるが、その高い保存能力は数千年の時を経た現在でも識別可能であり、考古学研究にとって大変貴重な記録媒体である。粘土板はバビロニアだけではなく、紀元前4500年~前4000年頃のヨーロッパに広がっていたヴィンチャ文化の遺跡からも出土している。
羊皮紙の詳しい起源は不明であるが、古代エジプト王のトトメス三世(在位:紀元前1479年~前1425年)の書記ジャネニが羊皮紙で記録を付けていた、という碑文が残されていて(アメン神殿の碑文)古代エジプトではパピルスと羊皮紙を併用していたことが分かっている。
パピルスは現代の『紙』の語源である事は有名な話であるが、植物繊維を使うという点が同じであるだけで紙とは全く製法が異なる。原材料の生息地が限定されていた事や完全な手作業で作られていた事などもあってとても貴重なものだったが、それでも羊皮紙を使うよりも安価に製造する事が出来た。軽く、かさばらず、持ち運びしやすい等の利点を持つパピルスは古代世界の各地で利用され、その需要は非常に高いものだった。
ところが現在のトルコにあったアッタロス朝ペルガモンの王、エウメネス2世の治世(紀元前197年~前159年)の折、ペルガモンに大図書館が建設された事がきっかけでパピルスの歴史が変わっていく。
エジプトのアレキサンドリア図書館は約70万巻もの蔵書を誇る、名実ともに世界最大の図書館であったが、新設のペルガモン図書館はその館長として当時アレキサンドリア図書館の館長であったアリストファネスをヘッドハンティングしようと接触を持った。その事がプトレマイオス5世エピファネス(紀元前210年~前180年)の逆鱗に触れ、アリストファネスは投獄、そしてペルガモンに対してはパピルスの禁輸という措置が取られた。
パピルスはエジプトで栽培されている水草が原料であったため、ペルガモンでは代替策として必然的に羊皮紙生産に力を入れるようになった。これらの経緯によってペルガモンに於ける羊皮紙加工技術は向上、高品質の羊皮紙が生産されるようになり、地域を厭わずに原材料を入手出来る事やその再利用性、冊子化しやすい等の特性により、次第に世界中で使われていく事となった。
Pergamonの名は、羊皮紙の英語名であるParchmentという言葉で現在も受け継がれている。
提案した武器の説明をするには時間も遅かったからだ。
村には宿屋が無いため、滞在中は村長の家に泊めさせてもらう事になった。
ノエル村長の家には現在、村長、ベァナ、弟のニック、そして母のブリジットが暮らしている。
ベァナの父はかなり優秀な騎士だったそうなのだが、何年か前に魔物との戦いで命を落としたらしい。
村で一番大きな家で部屋も余っているため、暫くは空いている部屋を自由に使ってくださいとの申し出を受けた。非常に有難い事である。
山で生活していた最中、渓流を見つける度に服や体は洗うようにはしていたのだが、折角泊めさせていただくのに汚れた体のままでは申し訳が立たない。
どこか水を浴びれるような場所は無いか訊ねてみたところ……
ベァナからこれまた有難い一言が。
「天然の温泉があるので、そこを使えますよ」
天然温泉!?
素晴らしい!
村のみんなで共同で使っているというので、先に温泉に案内して貰う事に。
お風呂と言うのは地域によって入り方の習慣が異なる事が多い。
到着するまでちょっとだけドキドキしていたのだが、この地域では男女しっかり分かれていたので、俺の心配は幸か不幸か杞憂に終わった。
どちらにしろ何から何まで至れり尽くせりの待遇だった。
「ちょっと急だったし、あまり部屋を片付けられてなくてごめんなさいね」
ブリジットさんは、俺が滞在する部屋に明かりを持ってきてくれていた。
この部屋は旦那さん……ベァナの父が書斎として使っていた部屋らしい。
部屋は俺が村に到着した後、すぐに準備してくれていたようだ。
また前もってベァナから言われていたのか、彼女は敬称も敬語も使わなかった。
普通に会話が出来るのは大変ありがたい。
「こんなに良いお部屋をお貸しいただけて恐縮です」
書棚には羊皮紙によって作られた本がかなりの数並べられている。
ベァナの父は騎士だったはずだが、勉学の道も疎かにしない人だったに違いない。
「何度も言われるといい加減面倒になるかもしれないけれど……娘を助けてくれて本当にありがとう。ヒースさん」
「いえいえ、こちらこそ。村長一家の皆さんには大変感謝しています。何しろ右も左もわからない状態で、食べるものにも困っておりましたので」
お風呂から戻った後、既に寝ていたベァナの弟以外の家族全員で食事をご一緒させていただいたのだ。暖かい食事なんて、魚を焼いて食べた時以来だったので、それはもう、涙が出るくらい嬉しかった。
「それにしてもヒースさんは、芝居掛かった戦い方をされるのですね!」
ちょっとお母さん! それは娘さんの脚色ですよ!!
不正確な情報はトラブルの元だ。
ここはビシッと正しい情報をお伝えしないと!
「えーっと、なんというか……かなりアレンジされていたようでして……」
「うふふ、わかってます。大丈夫ですよ。あの子は夢中になると、いつもあんな感じなんです」
まるでベァナがそこにいるような笑顔だった。
「あの子は私に似たのか、小さい頃から魔法の才能があったんです。それを意識してからでしょうか、夫が騎士の職務で家を空ける前には必ず『わたしがパパの怪我を治してあげる』って言って送り出してたんです」
彼女は少し顔を上に向け、昔の事を思い出すように語り始める。
「でも夫が魔物との戦いで亡くなった知らせがあった時、結局自分は何の役にも立たなかったと、ずっと泣いていました。その後、少し経ってから『少しでも早く、出来る限り多くの役に立つ魔法を覚えたいから、魔法についてもっと習いたい』って言い始めて」
「ええ」
「私も元々魔法を使ったお仕事をしておりましたので、基本的な事を教えたりはしていたのですが……」
やはり攻撃魔法を使えるというのは、それだけで仕事になるような、とても稀有な才なのだろう。
「親子ってだめですね。お互いつい感情的になってしまって。あの子って見かけによらず結構頑固な所があるんです。それで口喧嘩になる事もしばしば……」
「それは意外です」
「それでどうしてももっと勉強したいって言うので、近所の町に住んでいる私の友人に頼んで、2年程修業させたんです。今じゃ私なんかよりも知識はあるんじゃないかしら」
「出会った直後、彼女は私の記憶を掘り起こそうとしてか、一生懸命に野草について色々と話してくれました。その知識量から勉強家だなと感じていましたが」
「あらそうだったのね! フフ、あの子らしいわ。でもそうね……勉強家っていうよりも、興味を持った事に対してかなり熱くなるのは間違いないわね」
「わかるような気がします。とても良い事です」
「あらあら。ヒースさんがそう思ってくれるなら、母としてはとても嬉しいのですけれど! ぜひ仲良くしてあげてくださいね!」
どういう意味なのかは良くわからなかったのだが、とにかくベァナはこちらの世界で初めて出来た大切な知人だ。
初めて出会う人間とその後の展開については何度も何度も、考えられうるだけのパターンを考察していた。しかし今では事前に考えていたどのケースよりも、ベァナとの出会いこそが最適解だったと感じている。
そしてそれはこの村の存在……
村の人々との出会いにつながった事で確信に変わった。
恩を返したい。
この村を絶対に守りたい。
「疲れているのに長話をしてしまってごめんなさいね。また今度おばさんの話に付き合ってくれると嬉しいわ」
「おばさんだなんてとんでもない!最初ベァナのお姉さんかと思ってましたし」
「まぁ!ベァナよりも先にお会い出来ていれば良かったかしら!」
ブリジットさんは微笑みながら部屋から出て、部屋のドアを閉めてくれた。
「おやすみなさい、ヒースさん」
「おやすみなさい」
この世界に来てから初めて、まともな寝具の上で横になりながら、俺は様々な情報を整理していた。
考えるべき事は沢山ある。
まず最優先事項なのは、この村を守る事。
村人との会話の中で、まだ十分とは言えないまでも世界の様々な状況を知ることが出来た。
魔物が普通に存在して人間を積極的に襲っている事実。
それに対抗するための組織である騎士団。
そして決して多くは無い魔法使いの存在。
ボルタとの会話の様子からすると、攻撃魔法は使用可能な術者が少ないだけで、魔物に対する対抗手段としては否定されていなかった。
ブリジットさんも魔法を生業としていたそうだし、きっと有効的な対策手段ではあるのだろう。
魔法か……
まさかこんなものが存在する世界に来るとは想像もしなかった。
俺にも使えるのだろうか?
ブリジットさんにもうちょっと詳しく聞いてみたかったが、急な来客対応で色々と大変だっただろうし、また次の機会にでも聞いてみる事にしよう。
しかし例えばもし仮にこの俺が魔法を使えたとしても、村人の殆どが魔法を使えないという事実に変わりはない。
であるならばやはり個人の才能に頼らず、誰にでも扱える武器を用意するべきだ。
この村を今後も脅威から守り続けるためには、この村の人々自身がその手段を持つことが一番重要なのだ。
俺は武器自体の作成や運用方法等について、横になりながら組み立てていた。
しかし心地の良いベッドの感触は、俺を深い眠りへと誘うのだった。
◆ ◇ ◇
<羊皮紙>
人類は文字を発明する以前から、自分たちが見聞きしたものや気持ちなどを伝えるため、自然界に存在する様々なものに記録をしてきた。石、貝殻、木、洞窟の壁、樹皮や獣皮など。ありとあらゆるものを駆使してその記録を残して来たが、古代メソポタミアでは様々な記録を残すものとして粘土板を使用していた。粘土板は重くて扱いづらいという欠点もあるが、その高い保存能力は数千年の時を経た現在でも識別可能であり、考古学研究にとって大変貴重な記録媒体である。粘土板はバビロニアだけではなく、紀元前4500年~前4000年頃のヨーロッパに広がっていたヴィンチャ文化の遺跡からも出土している。
羊皮紙の詳しい起源は不明であるが、古代エジプト王のトトメス三世(在位:紀元前1479年~前1425年)の書記ジャネニが羊皮紙で記録を付けていた、という碑文が残されていて(アメン神殿の碑文)古代エジプトではパピルスと羊皮紙を併用していたことが分かっている。
パピルスは現代の『紙』の語源である事は有名な話であるが、植物繊維を使うという点が同じであるだけで紙とは全く製法が異なる。原材料の生息地が限定されていた事や完全な手作業で作られていた事などもあってとても貴重なものだったが、それでも羊皮紙を使うよりも安価に製造する事が出来た。軽く、かさばらず、持ち運びしやすい等の利点を持つパピルスは古代世界の各地で利用され、その需要は非常に高いものだった。
ところが現在のトルコにあったアッタロス朝ペルガモンの王、エウメネス2世の治世(紀元前197年~前159年)の折、ペルガモンに大図書館が建設された事がきっかけでパピルスの歴史が変わっていく。
エジプトのアレキサンドリア図書館は約70万巻もの蔵書を誇る、名実ともに世界最大の図書館であったが、新設のペルガモン図書館はその館長として当時アレキサンドリア図書館の館長であったアリストファネスをヘッドハンティングしようと接触を持った。その事がプトレマイオス5世エピファネス(紀元前210年~前180年)の逆鱗に触れ、アリストファネスは投獄、そしてペルガモンに対してはパピルスの禁輸という措置が取られた。
パピルスはエジプトで栽培されている水草が原料であったため、ペルガモンでは代替策として必然的に羊皮紙生産に力を入れるようになった。これらの経緯によってペルガモンに於ける羊皮紙加工技術は向上、高品質の羊皮紙が生産されるようになり、地域を厭わずに原材料を入手出来る事やその再利用性、冊子化しやすい等の特性により、次第に世界中で使われていく事となった。
Pergamonの名は、羊皮紙の英語名であるParchmentという言葉で現在も受け継がれている。
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