15 / 15
15.僕は、菜野葉ちゃんに抱えられ、窓から校舎の外に飛び出された。
しおりを挟む
ちょうど、その姿勢は、僕が菜野葉ちゃんにお姫様抱っこされるような姿勢だった。
そのまま僕らは落下している。
数メートルの下の地面が迫ってくる。
体が怯えすくんだが、僕の顔まで数センチ差まで、菜野葉ちゃんは自身の顔近づけて微笑む。
「大丈夫、心配いらないわ。救世主様は私が守るから」
菜野葉ちゃんがそう言った数秒後に僕らは、すとんと、地面に着地した。
「はふう、急に飛び出すから、ビックリしたですっ」
いつの間にか、女神ちゃんも、僕らの横に居た。
「戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川・・・」
僕らの背後で大勢の声がする。僕を呼ぶ声だ。
振り替えると、校舎は人の魔物の肉片と肉片の繋がった、肉の鎖で締め付けられ、多い尽くされ、そして、校舎そのものが、大きな、大きな肉片となった。
学校のコンクリートと肉片の化合物からは様々な、色んな顔面が浮き出て、僕を嘲笑する。
「戸川、お前いい年こいて、無職とか人生終わってるじゃん」
「その歳で異性関係0とか人間として終わっているんだよ」
「あー、気持ち悪い、お前何で生きてるの?」
顔面達の見覚えのある顔。聞き覚えのある声。
一つ一つが、僕を苛立たせる。
学生時代も社会人になっても、常に僕の周囲にあった、視線と声。
うわざりだった。
「うるさいっ、黙れっ!」
僕が怒鳴り付けると、無数の顔はケラケラと嘲笑する。
「何キレてんの?事実言っただけじゃん。」
「もう、お前は終わりだよ」
「ゴミがっ」
ケラケラ笑う、その声達が、苛だしい。
確かに僕は、今まで、人ともうまく馴染めず、学生時代は苛められ、勉学を励もうとせず、ただ、現実逃避した毎日。卒業しても、ロクな仕事、給料だって正社員で時給制、ボーナスだって年一回五万円、マトモに社会人を名乗って良いのか疑わしい。僕の人生は終わってる、始まる事すら無かった、無かったが・・・。
「黙れっ!お前達、馬鹿にされる覚えは無い!」
「馬鹿にしてる?事実を言っただけだ。終わってる奴って、被害妄想激しいんだよなー」
言い返すと、さらに罵倒で返される。
「お前達なあ・・・」
僕は、拳を握って、飛びかかろうとした。
ドジュウッッッ!!
「ぎゃあああああああああっ!」
「黙りなさい、クズ共がっ」
魔物は炎上した。
横を見ると、光輝くステッキを握った菜野葉ちゃんが居た。
「救世主様、こんな奴らの言う事聞いちゃ駄目ですよっ?これは世界の悪意たる魔物の精神攻撃ですからっ。」
「そうよそうよ、救世主様は世界の中心核なんだから、こんなつまらない事聞いちゃ駄目。」
爆発炎上して断末魔を上げる魔物を無視するかの様に、菜野葉ちゃんは僕を抱きしめ、女神ちゃんは僕の頭を撫でた。
だが、僕は、魔物の言葉を頭の中で反芻していた。
生き恥をさらし続けて来て、そして中年になった僕は・・・
「駄目ですっ、そんな事考えちゃ駄目ですよっ!」
そう言って、ぶちゅりと女神ちゃんに無理矢理キスをされた。
「ぷはっ・・・な、何を・・・」
「救世主様は私達に守られていれば良いんです。余計な事考えて落ち込んじゃ駄目ですよっ」
目の前には、真剣そうな眼差しを浮かべる女神ちゃん。
僕はただ、うん、うんと頷く事しか出来なかった。
『お前は一人じゃ何も出来ない、ほらっ、お前はそうやって、誰かに甘やかれないと生きていけないんだ』
もう、消し炭になってるはずの魔物の声が聞こえた。聞こえたが、魔物はパチパチ火花を弾けながら燃焼しているだけだった。
「・・・帰りましょう、救世主様、私達の住まいに」
女神ちゃんは僕の頭を抱いて、また撫でてくれたのだった。
そのまま僕らは落下している。
数メートルの下の地面が迫ってくる。
体が怯えすくんだが、僕の顔まで数センチ差まで、菜野葉ちゃんは自身の顔近づけて微笑む。
「大丈夫、心配いらないわ。救世主様は私が守るから」
菜野葉ちゃんがそう言った数秒後に僕らは、すとんと、地面に着地した。
「はふう、急に飛び出すから、ビックリしたですっ」
いつの間にか、女神ちゃんも、僕らの横に居た。
「戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川、戸川・・・」
僕らの背後で大勢の声がする。僕を呼ぶ声だ。
振り替えると、校舎は人の魔物の肉片と肉片の繋がった、肉の鎖で締め付けられ、多い尽くされ、そして、校舎そのものが、大きな、大きな肉片となった。
学校のコンクリートと肉片の化合物からは様々な、色んな顔面が浮き出て、僕を嘲笑する。
「戸川、お前いい年こいて、無職とか人生終わってるじゃん」
「その歳で異性関係0とか人間として終わっているんだよ」
「あー、気持ち悪い、お前何で生きてるの?」
顔面達の見覚えのある顔。聞き覚えのある声。
一つ一つが、僕を苛立たせる。
学生時代も社会人になっても、常に僕の周囲にあった、視線と声。
うわざりだった。
「うるさいっ、黙れっ!」
僕が怒鳴り付けると、無数の顔はケラケラと嘲笑する。
「何キレてんの?事実言っただけじゃん。」
「もう、お前は終わりだよ」
「ゴミがっ」
ケラケラ笑う、その声達が、苛だしい。
確かに僕は、今まで、人ともうまく馴染めず、学生時代は苛められ、勉学を励もうとせず、ただ、現実逃避した毎日。卒業しても、ロクな仕事、給料だって正社員で時給制、ボーナスだって年一回五万円、マトモに社会人を名乗って良いのか疑わしい。僕の人生は終わってる、始まる事すら無かった、無かったが・・・。
「黙れっ!お前達、馬鹿にされる覚えは無い!」
「馬鹿にしてる?事実を言っただけだ。終わってる奴って、被害妄想激しいんだよなー」
言い返すと、さらに罵倒で返される。
「お前達なあ・・・」
僕は、拳を握って、飛びかかろうとした。
ドジュウッッッ!!
「ぎゃあああああああああっ!」
「黙りなさい、クズ共がっ」
魔物は炎上した。
横を見ると、光輝くステッキを握った菜野葉ちゃんが居た。
「救世主様、こんな奴らの言う事聞いちゃ駄目ですよっ?これは世界の悪意たる魔物の精神攻撃ですからっ。」
「そうよそうよ、救世主様は世界の中心核なんだから、こんなつまらない事聞いちゃ駄目。」
爆発炎上して断末魔を上げる魔物を無視するかの様に、菜野葉ちゃんは僕を抱きしめ、女神ちゃんは僕の頭を撫でた。
だが、僕は、魔物の言葉を頭の中で反芻していた。
生き恥をさらし続けて来て、そして中年になった僕は・・・
「駄目ですっ、そんな事考えちゃ駄目ですよっ!」
そう言って、ぶちゅりと女神ちゃんに無理矢理キスをされた。
「ぷはっ・・・な、何を・・・」
「救世主様は私達に守られていれば良いんです。余計な事考えて落ち込んじゃ駄目ですよっ」
目の前には、真剣そうな眼差しを浮かべる女神ちゃん。
僕はただ、うん、うんと頷く事しか出来なかった。
『お前は一人じゃ何も出来ない、ほらっ、お前はそうやって、誰かに甘やかれないと生きていけないんだ』
もう、消し炭になってるはずの魔物の声が聞こえた。聞こえたが、魔物はパチパチ火花を弾けながら燃焼しているだけだった。
「・・・帰りましょう、救世主様、私達の住まいに」
女神ちゃんは僕の頭を抱いて、また撫でてくれたのだった。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる