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7.結局出前を取ることにした。

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最近は、こんな地方都市でもスマホ一本で、気軽に飯を届けてくれる。良い世の中だ。

配達人から飯を受け取って、部屋の中の二人に渡す。

「私が作るのに、私が作るのに」

菜野葉ちゃんはハンバーガーを食べながらぶつぶつ言ってる。

「うまいうまい」

女神ちゃんはバクバク、ハンバーガーを頬張っている。

僕は二人を見つめながら、二人の事を思案する。

「君達、これ食べたら帰りなよ」

そう言ったら、二人ははぁ?と言いたげな顔で僕を見た。

「何で?」

「何でって、おうちの人が心配しているよ?」 

「だから、そんなもの無いってば、救世主様」

菜野葉ちゃんはぷんすか怒った。

「そうそう、私達は女神と魔法少女。親なんていませんよ」

女神ちゃんは、ポテトをムシャムシャ頬張りながら、言った。

「親が居ない?それはどういう事かな?君たちは、木の股か何かから生まれたという事かな?」

「私は女神だから女神に親なんているものじゃないし、まどかは私が魔法力を授けた瞬間から、人間じゃなくなり、魔法少女になりました。魔法少女に親なんてありませんから、救世主様は何も気を使う事無いですよ。」

「気を使う事無いって・・・、菜野葉ちゃんは、元は人間なのかい?」

「そうだよ、人間だったよ、でも、救世主様を助ける為に、女神様と契約して、魔法少女になったの。」

「へえ・・・」

だから、私に頼ってね、と言って菜野葉ちゃんは胸を張った。

「何で僕を助けるんだ?」

「そりゃあ、救世主様の為よ」

「わざわざ?他の人に任せれば良いじゃないか、こんなおっさんを助ける仕事を引き受けなくとも」

「そんな事無い!」

菜野葉ちゃんはばしんと机を叩いた。

「救世主様は私の大切な人だもの!助けるわ!」

そう言って、真剣な眼ざしを、菜野葉ちゃんに向けられてしまった。

こんな女の子に大切な人なんて言われるのは、彼女居ない歴=年齢。異性の無縁な人生を歩んだ俺にとって、人生初経験だ。しかし、胸は高鳴らなかった。

大切にされる根拠が無いからだ。

「もしかして、君と僕、どこかで出会ったりした?」

「ううん、これが初対面よ」

「何で、君に大切な人呼ばわりされる理由が思いつかないんだけど」

「理由なんて無いわ。分かるもの、救世主様が私の大切な人だって、だから、私、女神様と契約して魔法少女になったの」

僕を見据える菜野葉ちゃんの目は、うるうる輝いていた。まるで、憧れていふものを見る目だった。

「だから、何にも気にする事ないのです、救世主様。私達に守られて、一緒に生活するだけで良いのです。そうすれば、世界は救われるんですから」

そう言って女神ちゃんはナゲットを頬張った。

「そういうものなのか?」

「うん」

困惑するしか出来ない僕に、菜野葉ちゃんは、笑顔を浮かべているのだった。
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