112 / 121
104C. 終わらない幸せな日々が月日の概念が無くなってしまいそうなぐらい続いた。
しおりを挟む
僕らは長い間、本当に長い長い間。ずっと愛し合って幸せに暮らしていた。
このままずっと、この日々が続くと思っていた。
だが・・・
「起きて・・・お兄ちゃん・・・起きて・・・」
ある日目覚めてみると、真っ白な、何も無い空間で僕は寝ていた。
傍には、千尋ちゃん、千歳ちゃん、ソルフィちゃんが居る。
おかしい・・・僕は、アパートの自室で寝ていたはずなんだが・・・。
「あ・・・起きましたね、お兄さん、その・・・私達が起きた時も、こうなっていまして・・・。」
おろおろとうろたえている千歳ちゃん。千尋ちゃんも不安そうに僕を見ている。
辺りを見回しても、白、白、白。それだけだ。
「・・・・・・良いですか?お兄様」
ソルフィちゃんはこほんと咳払いをし、真剣な眼差しで僕を見ている。
「・・・・・・何か知っているのかい?ソルフィちゃん・」
「ええ・・・知ってます。・・・恐らくは・・・ですが・・・お兄様は、目覚めようとしています・・・この夢の世界から。長い年月を経て、封印の効力が弱まっているのでしょう・・・」
「「「えっ!」」」
千尋ちゃんと千歳ちゃんと僕は、同時に驚愕の声を上げた。目覚める・・・?僕が?この夢の世界から・・・?
夢の世界から、目覚めるという事は・・・3人はどうなってしまうのだろう?
「・・・・・なあ、ソルフィちゃん、目覚めるという事はさ、僕を夢の世界に縛り付けている封印である、みんなはどうなってしまうのかい?」
僕が質問すると、ソルフィちゃんは、顔を落とし
「分かりませんわ・・・・・そのまま消えてなくなるのかもしれませんし、どうなるかは・・・・」
震えた声で言った。
僕らの間に沈黙が横たわる。
「嘘だろう・・・、折角、僕ら、こんなに一緒に居れる日々を得れたのに・・・こうも突然・・・」
僕が頭を抱えると、千尋ちゃんと千歳ちゃんが僕に抱きついてきた。
「お兄ちゃん・・・」
「お兄さん・・・」
二人も不安そうだ。僕は、その不安を和らげようと、二人の頭を撫でる。
「お兄様・・・・・ソルフィ達は、どうなるか、分かりませんけど、でも、今の内に言っておきます、愛していました、いえ、愛しています。ずっとずっと。・・・・・・もう聞き慣れた言葉でしょうけどね」
そう言って、ソルフィちゃんも、僕に抱きついてきた。
ソルフィちゃんも不安なんだろう。永く、永く接していたけど、ソルフィちゃんも、怖がりの寂しがり屋だ。
僕はソルフィちゃんの頭も撫でた。
「お兄ちゃん・・・私も愛してるから・・・心からね・・・これが最期かわからないけど、一応言っておくね・・・」
千尋ちゃんも、強張った笑顔で微笑みかけてきた。
「お兄さん、状況はよく分かりませんけど、長い間、本当に長い間、私の事愛してくれていて嬉しかったです。ほんとは、もっとずっと居たいんですけどね」
てへへ、と笑って、千歳ちゃんも気丈に微笑む。
急すぎる。急な、お別れだ。しかし、悔いは残すべきでは無い。だから、僕も別れの言葉を告げる事にした。
「有難う、千尋ちゃん千歳ちゃんソルフィちゃん。こんな僕に愛してくれていて、3人と過ごした日々は多分、何十、何百・・・下手したら何千年も経っているだろうけど・・・あっという間だった。・・・・・・本当に急だけど・・・・・・愛しているよ、みんな。ずっと、ずっと。夢の中で居続けたいけど、目覚めてしまって、ごめん・・・」
僕は3人を抱きしめながら謝罪した。
「ううん・・・いいから・・・私も、お兄ちゃんを縛り付ける事が出来なくて、ごめんね」
「そうそう・・・仕方が無いですよね・・・寂しいですけど・・・」
「普通に生きていたら、とっくに寿命が尽きてしまう期間をお兄様と過ごせたのですもの・・・」
3人は・・・僕を抱きしめる力を強めてくれた。
「みんな・・・・・・有難う・・・・・・」
僕も3人を抱きしめ返す。
白かった世界が、さらに白く、眩さを上げ、3人の姿が見えなくなるぐらい、世界が白くなり、そして、僕の意識もまた漂白されるかの様に、眩く、失った。
このままずっと、この日々が続くと思っていた。
だが・・・
「起きて・・・お兄ちゃん・・・起きて・・・」
ある日目覚めてみると、真っ白な、何も無い空間で僕は寝ていた。
傍には、千尋ちゃん、千歳ちゃん、ソルフィちゃんが居る。
おかしい・・・僕は、アパートの自室で寝ていたはずなんだが・・・。
「あ・・・起きましたね、お兄さん、その・・・私達が起きた時も、こうなっていまして・・・。」
おろおろとうろたえている千歳ちゃん。千尋ちゃんも不安そうに僕を見ている。
辺りを見回しても、白、白、白。それだけだ。
「・・・・・・良いですか?お兄様」
ソルフィちゃんはこほんと咳払いをし、真剣な眼差しで僕を見ている。
「・・・・・・何か知っているのかい?ソルフィちゃん・」
「ええ・・・知ってます。・・・恐らくは・・・ですが・・・お兄様は、目覚めようとしています・・・この夢の世界から。長い年月を経て、封印の効力が弱まっているのでしょう・・・」
「「「えっ!」」」
千尋ちゃんと千歳ちゃんと僕は、同時に驚愕の声を上げた。目覚める・・・?僕が?この夢の世界から・・・?
夢の世界から、目覚めるという事は・・・3人はどうなってしまうのだろう?
「・・・・・なあ、ソルフィちゃん、目覚めるという事はさ、僕を夢の世界に縛り付けている封印である、みんなはどうなってしまうのかい?」
僕が質問すると、ソルフィちゃんは、顔を落とし
「分かりませんわ・・・・・そのまま消えてなくなるのかもしれませんし、どうなるかは・・・・」
震えた声で言った。
僕らの間に沈黙が横たわる。
「嘘だろう・・・、折角、僕ら、こんなに一緒に居れる日々を得れたのに・・・こうも突然・・・」
僕が頭を抱えると、千尋ちゃんと千歳ちゃんが僕に抱きついてきた。
「お兄ちゃん・・・」
「お兄さん・・・」
二人も不安そうだ。僕は、その不安を和らげようと、二人の頭を撫でる。
「お兄様・・・・・ソルフィ達は、どうなるか、分かりませんけど、でも、今の内に言っておきます、愛していました、いえ、愛しています。ずっとずっと。・・・・・・もう聞き慣れた言葉でしょうけどね」
そう言って、ソルフィちゃんも、僕に抱きついてきた。
ソルフィちゃんも不安なんだろう。永く、永く接していたけど、ソルフィちゃんも、怖がりの寂しがり屋だ。
僕はソルフィちゃんの頭も撫でた。
「お兄ちゃん・・・私も愛してるから・・・心からね・・・これが最期かわからないけど、一応言っておくね・・・」
千尋ちゃんも、強張った笑顔で微笑みかけてきた。
「お兄さん、状況はよく分かりませんけど、長い間、本当に長い間、私の事愛してくれていて嬉しかったです。ほんとは、もっとずっと居たいんですけどね」
てへへ、と笑って、千歳ちゃんも気丈に微笑む。
急すぎる。急な、お別れだ。しかし、悔いは残すべきでは無い。だから、僕も別れの言葉を告げる事にした。
「有難う、千尋ちゃん千歳ちゃんソルフィちゃん。こんな僕に愛してくれていて、3人と過ごした日々は多分、何十、何百・・・下手したら何千年も経っているだろうけど・・・あっという間だった。・・・・・・本当に急だけど・・・・・・愛しているよ、みんな。ずっと、ずっと。夢の中で居続けたいけど、目覚めてしまって、ごめん・・・」
僕は3人を抱きしめながら謝罪した。
「ううん・・・いいから・・・私も、お兄ちゃんを縛り付ける事が出来なくて、ごめんね」
「そうそう・・・仕方が無いですよね・・・寂しいですけど・・・」
「普通に生きていたら、とっくに寿命が尽きてしまう期間をお兄様と過ごせたのですもの・・・」
3人は・・・僕を抱きしめる力を強めてくれた。
「みんな・・・・・・有難う・・・・・・」
僕も3人を抱きしめ返す。
白かった世界が、さらに白く、眩さを上げ、3人の姿が見えなくなるぐらい、世界が白くなり、そして、僕の意識もまた漂白されるかの様に、眩く、失った。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに
hikari
恋愛
侯爵令嬢アントニーナは王太子ジョルジョ7世に婚約破棄される。王太子の新しい婚約相手はなんと幼馴染の親友だった公爵令嬢のマルタだった。
二人は幼い時から王立学校で仲良しだった。アントニーナがいじめられていた時は身を張って守ってくれた。しかし、そんな友情にある日亀裂が入る。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる