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55.「・・・えっと、お兄ちゃん・・・。お風呂・・・、よろしくね・・・」

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「ん・・・まあ・・・こちらこそ・・・」

僕と自称妹は風呂場に居た。

僕は海パン一丁。自称妹はスクール水着だ。あざとい水着のチョイスだが、自称妹曰く「これしか水着は無かった。」だそうだ。

「・・・千歳さん、良かったのかなー・・・私に譲って・・・」

そう、あれだけお風呂を誘ってきた自称従兄弟は風呂の外だ。

自称従兄弟曰く「お兄さんと二人っきりでお風呂を楽しみたいので、私と千尋さん一人ずつ交互に入りましょう。最初は千尋さんからで良いですよ」

との事である。

「・・・まあ、良いんじゃないかな・・・人の好意は有り難く受け取っとけ」

「・・・うん、そうだね、そうするね。・・・それに・・・、明日からは私達で、お兄ちゃんの体を洗わないといけないものね。遠慮なんてしなくて良いよね」

「別に嫌ならしなくて良いんだぞ」

「良いんだよ、私がしたいからするだし」

顔を赤らめながらもにっこりと微笑む自称妹。

そうなのだ、この居候逹と風呂に入るのは今日明日の事じゃない。これから毎日ずっとなのである。そう、約束した・・・自称従兄弟の雰囲気に乗せられて。

いや、雰囲気に乗せられたなんて、無責任な言い方は良くない。スケベ心が沸いてしまったのだ。

我ながら情けない。

「何も気にしなくて良いからね。お兄ちゃんは一緒にお風呂入ってくれれば良いから」

くすっと自称妹は微笑んだ。

「さっ、シャワー浴びよっか」

自称妹がシャワーを僕にかけた。

「あ、ああ、有り難う。千尋ちゃん」

僕は椅子に座って大人しく自称妹のシャワーをかけられるままになった。

自称妹は片手でシャワーを持ちながら、もう片方の手で恐る恐るという風に僕の体を撫でる。

「あー、無理して僕の体洗おうとしなくて良いんだぜ?」

「ううん、いいの。私がしたいから」

自称妹はそう言って僕の体を撫で続けた。

「・・・全身擦り傷だらけだね・・・」

「ああ、あのゴーレムとプロレスしたからなあ」

「痛い?」

「うーん、ちょっとじわじわ痛いかな。」

本当は全身痛いんだけど。

きゅっ・・・。

「千尋ちゃん・・・!」

自称妹が突然僕の背中に抱きついた。

「わあ!おい、ちょっと!!ボディタッチは流石に困るぞ!!」

自称妹の控えめな、だが確かな膨らみがスクール水着の生地越しで、僕の背中に当たった。

相手はちんちくりんのガキンチョである。ガキンチョなのに、脳裏には、ただ、ドクンドクンと鼓動が、心臓の鼓動だけが、鳴り響いていた。それは僕の心音なのか、自称妹の心音なのか。

一瞬か、いや数分か、そんな計測不能な時間を自称妹の体温と鼓動と柔らかい肌に絡められていた後、僕はようやく、ようやく次の抗議の言葉を口にする。

「ほら、駄目だって、流石に触り合うのはさ・・・」

「ごめんなさい、お兄ちゃん、私、こうして居たいの・・・お願い・・・。」

自称妹はただ僕に抱きついて体重を僕に委ねる。

「・・・千歳さんが来て、お兄ちゃんと二人っきりの時間が作れなかったから、一杯、お兄ちゃんと触れて居たいの。私の心をお兄ちゃんで満たして欲しい。次、二人っきりになるまで私が我慢出来る様に。」

自称妹は懇願する様に言った。

そう言われてしまうと、無下に体から離れろと言いづらくなってしまう。

「・・・分かったよ。くっ付きたければ思う存分くっついていれば良い」

「うん・・・、有難うお兄ちゃん」

自称妹は抱き締める力を強めた。

「私達の為に傷ついたんだよね・・・。」

自称妹は突然ぽつりと呟く。

「・・・私達の為って・・・、一応そうではあるんだけど、何となく助けなきゃと思っての事だからな・ ・、だからあんまり気にしなくて良いんだぜ?ちこっとは感謝はして欲しいけど、・・・それよりも、君だって、僕と千歳ちゃんを助けてくれたじゃないか。あの時は絶体絶命だった。改めて、有難うな」

僕はお礼を言った。

あれは本当にヤバかった。今、こうやってのほほんと自称妹と風呂に入っているが、自称妹があの不思議な力に目覚めなければ、今頃僕らは・・・。

そう思うと、自称妹に何かしてやりたくなった。自称妹の頭を撫でてやりたいなんて思ったが、後ろから抱き締められていてそれは叶わなかった。

それにしても、何かをしてやりたいと言って、その行動がうら若き乙女の頭を撫でてやる等、我ながら傲慢はなただしい発想である。本来ならこちらが金を払って漸く、頭を撫でさせて貰う立場だろう。・・・そんなサービスがあるかは知らないが。

「ううん、それでも、私、お兄ちゃんに感謝しているよ。あの時お兄ちゃんが、あのゴーレムをなんとかしてくれなきゃ、イオンに行くまでに私達、ゲームオーバーだったもの・・・」

背中越しに自称妹から体温と心情が伺えた。

ゲームオーバーか、そうだな、ゲームオーバーな結末も有ったかも知れない。

「さっ、シャンプーするね」

自称妹は僕の体から離れた。

「ちゃんと目を瞑っていてね、目に入ると危ないから」

「分かってるよ。僕の年齢がいくつだと思っている?」

「分かってるけど、それでもだよ。」

自称妹のくすくす笑う声が聞こえる。

「痛かったら言ってね?初めてだから加減が分からないから」

「うん」

自称妹は恐る恐る僕の頭を洗ってくれた。

「はい、ちゃんと泡を流したよ、目を開けて良いよ」

シャンプーを流して貰った僕は目を開けた。

「次は、体だね。体を洗おうね」

「いや、体は良いって」

「駄目だよ。私が介護しなくちゃいけないんだから、だから、ね?」

僕の顔を覗き込みながら懇願する自称妹に僕は断る事は出来なかった。

ごしごしごしごし。

僕の体中を、スクール水着を着た女子高生がスポンジをもって洗っていた。

自称妹はすり傷を避ける様に僕の体を磨いてくれる。無論、僕は海パンを履いているので、ちゃんと隠せる部分は隠せている。

「痛々しいね。」

自称妹は僕の傷を撫でて言った。

「ああ、まあ・・・。」

「痛かったら、言ってね?」

「ああ・・・」

自称妹は丁寧に僕の体を洗ってくれた。柔らかい彼女の手や指先が僕の体の端々までまとわりついた。

「水、流すね?」

自称妹に身体中の泡を流して貰った。

泡が流れ落ちたと同時に緊張も、また流れ落ちた。

さっきから自称妹の手や体温がとても僕を誘惑していて、

僕は、ただただ堪えるしか無かったのだ。

「体も洗い終えた事だし・・・じゃあ、次はお兄ちゃんの番だね?」

「は?」

僕は反射的に呆けた声を発してしまった。

「次って何だ?」

「お兄ちゃんが私の事洗うの」

自称妹は真顔で、だが、顔を真っ赤にして言った。

「僕の介護で僕の体を洗っているんじゃ無かったのか?」

「そうだけど・・・そうだけどさ・・・」

自称妹はぷるぷる震え

「そうだけど、お願い・・・」

上目遣いで自称妹は僕を見た。

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