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42.「僕らは飯を食べて風呂に入ったのだった。」

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「二人は僕が仕事に行っている間、家の中でどうしていたんだ?」

僕はふと気になって二人に聞いてみる。

あんだけ対立していたのだから、何かケンカでもしないだろうかと心配だったのだ。

「勉強したりしてましたよ。」

自称従兄弟はあっさり答えた。

「勉強?」

「ええ、勉強です。学校に行ってないのだから当然です。」

ふんすと鼻を鳴らす自称従兄弟。おおー、真面目だ優等生だ。

「久々に勉強なんかしたから、頭がパンクしちゃいそうだったよ。」

自称妹がちょっとうんざりそうな顔をする。

「まあまあ、私達も、いつ元に戻るか分かりませんし、それに備えないと」

「それに、お兄さんはテストで良い点取った時は、私を誉めてくれました。・・・いつでも誉められる様にしたいですし、千尋さんもお兄さんに誉められたいでしょう?」

「う、うん・・・。」

「じゃあ、勉強しないと。・・・千尋さんは勉強が嫌じゃなくて学校が嫌なだけなので、勉強しなくなるのは勿体無いですよ」

自称従兄弟は自称妹にウィンクして微笑んだ。

「・・・ん、そうだね。・・・頑張る・・・。」

「・・・お兄さん、勉強した私達って偉いと思いませんか?誉めたくなりませんか?」

自称従兄弟が物欲しそうな顔でこっちを見てきた。

「うん、偉い。自律的に勉強が出来るなんて偉いよ、君達は。」

「僕が君たちぐらいの頃は、自分で自主的に勉強なんて出来ないよ。傍で誰かに言われたとしてもね。だから偉いよ、二人は。」

僕は二人の頭を撫でてやった。

「えへへ」

「ふひひ」

二人は顔をほころばせる。

「他にはですね、千尋さんと一緒に家事したり、後は余った時間で、千尋さんはゲーム、私は表で竹刀の素振りをしていました。」

「素振り?」

「ええ!、言ったでしょう?私、剣道部だって、家から竹刀持ってきて素振り&素振りです。不思議ですよね、私が竹刀を持って外で素振りしてても誰も気づかないんです」

そい言って、自称従兄弟はその場で腕を振って、素振りのふりをした。

「良くやるなあ。君も」

「あまりにバレないんで、裸になっても大丈夫だなって思ったぐらいですよ」

はははと自称従兄弟は笑った。

「おいおい、流石に見えないとは言え、裸はちょっと・・・」

「大丈夫ですよ。私が見えるのは千尋さんとお兄さんだけですし。千尋さんは同じ女同士だから見られても恥ずかしいっちゃあ恥ずかしいですけどね。」

僕に見られたらどうなんだ?と突っ込もうと思ったが、止めておく事にした。

「まっ、二人が充実して生活が送れているのなら良かったよ。千尋ちゃんも勉強もやってくれてる様だしな」

「う、うん・・・。お兄ちゃん、えっと、私が勉強していた方が良かった?」

自称妹が僕の顔を覗き込む様に見て言った。

「ああ、やっぱり、学生さんは勉強していた方が良いよ。例え学校に行けなくとも。将来、勉強していた習慣は役に立つものだからさ」

僕はそう言ってやった。

そうなのだ。職場を見渡してみても、自律的に努力出来る奴は、やっぱり出来る奴だ。

僕はどうも怠惰だから、そこそこ程度の奴なんだ。

「勉強したら、お兄さんが撫でてくれますもんね」

「ああ、勿論だ」

「・・・そうなんだ。じゃあ、私、勉強頑張る」

自称妹は両手をぎゅっと握りしめた。

「ああ、頑張れ」

僕は自称妹の頭をそっと撫でてやる。

「ふえっ・・・!・・・えへへ・・・。」

自称妹は少し驚いた後、顔を嬉しそうに綻ばせた。

「あー、ずるい!私もお願いします!お兄さん!」

自称従兄弟は僕にしがみついて抗議する。

「はいはい」

「んー・・・ふひっ!」

自称従兄弟も頭を撫でてやると大人しくなった。

「あっ、そうだ!お兄さん!」

「何だ?」

「次の休み、どこか出掛けましょうよ!3人で!まだ一緒にどこかへ出掛けた事無いですし!」

急に自称従兄弟が提案してきた。

「お兄さんが仕事に行ってた時に、お兄さんに提案しようって千尋さんと話していたんです!ねっ?千尋さん?」

「う、うん、私もどこか行きたいなあ。お兄ちゃん。」

二人は物欲しそうな顔で僕を見た。

どこかに行きたい・・・か。そういえばこの二人とどこかに行った事無いものな。それも良いかもしれない。

「そうだな。どこかへ行くか・・・。でも、あんまり人が居ない所が良いな。君達と話していても、端から見たら、僕が一人でボソボソ喋っている様にしか見えないだろうし。とりあえず、近くの大公園でも行こうか」

「うん!行こう!行こう!」

「行きましょう!行きましょう!」

二人は諸手を上げて喜んでくれたのだった。

とりあえず、今週末に行こうか。

この二人を連れつつ一般人には怪しまれない様にしたい訳なんだが大丈夫だろうか?。

まあ、いいさ何とかなるだろう。

そう、僕は胸の中で結論付けた。

その夜も3人で抱き合って寝た。
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