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その庭は、まるで天上の楽園として描かれた絵画の様な場所だった。開けていて視界を遮る物は無いが、遠くの風景が白くけぶっていて空間の広さが全く測れない。
その中心で、一人の美しい女性が芝生に立っていた。ゆったりとしたローブの様な物を着ていて、真っ直ぐ正面を凝視している。
「おかえりなさいませ、ティングミア姉様。300年浄化の刑、満期おめでとうございます」
女性が恭しく頭を下げると、同じ格好をした女性が庭に歩み入って来た。
「ただいま、オグビア。満期と言っても、100年を過ぎた辺りから毒の漏れ出しがほとんど無かったのだけれど。何が有ったか話して貰えるかしら」
「はい」
ゆったりとしたローブの様な物を着ている二人の美しい女性は、向かい合って白いテーブルに着いた。誰が用意したのか、淹れたてのお茶が湯気を立てている。
「ティングミア姉様が浄化の刑で世界の外へ赴いた後、事態解決のために人間に潜在能力を授けました。その中でも特別な少年を使徒として、特別な能力を授けました。少年の名は、テルラティア・グリプト」
妹神は、姉神にテルラ達の旅を時系列で語る。
「その旅の結果、彼等は不完全ながらも5龍のシステムを復活させ、大陸を巡る魔力の流れを正常化させる事に成功しました」
「なるほど、それが上手く行ったから毒の漏れ出しが止まったのね。どうやって龍を復活させたの?」
「特別な少年の仲間の一人、カレンが錬金術を習得。習得方法は少々問題有りでしたが、神の国からは何の警告もありませんでしたので見守りで放置。その結果、生き残っている龍の協力で龍のクローンを作ったのですわ。復活はしていません」
「へぇ。でもそれだと歪みが発生するんじゃない? 同一の龍が複数存在しているんだもの。毒は抑えられないと思うんだけど」
「それの解決はカレンが神になる案が最有力でしたが、彼女は神になりませんでした。王となったのです」
「王?」
オグビアは、大陸の中心に有る砂漠地帯に新しい国が出来た事を伝えた。
大陸の中心にカレンが王として君臨し、錬金術によって常時歪みを修正。
彼女の死後は祭としてその作業を残し、200年以上に渡って魔力の流れを正しく維持している。
「錬金術と言えば、リビラーナ王への神罰はどうなったのかしら」
「リビラーナ王への神罰は、特に何も行っておりません。彼はティングミア姉様を騙して錬金術の知識を得て、不正に魔物を発生させました。その行為が毒の元ですが、世界の外への毒の漏れ出しを最小限に留めておいたのもまた事実」
「まぁ……そうね。魔物がその身体に毒を溜め込んでいたんだものね」
「娘のルーメンの願いも有り、また、カレンの国の働きも有り、神罰に値しないと判断しました」
「カレンの国の働きって?」
「魔力の流れが正しくなった事で、人は強力な魔法が使えなくなりました。人は一度手にした力を無くして不便になると不満を感じる物。そこで、ルーメンが実験で作っていた新世界の卵を使い、異世界人の知恵を借りて独自ルールのダンジョンを生成しました。そこを魔法結晶の溜まり場とし、錬金術で生み出した魔物を放ちました」
「カレンも魔物を作ったの?」
「その魔物も毒を溜め込みますが、不正ではないのでリビラーナ王の身体を使った魔物よりは安全でした。そして、カレンの国はハンターギルドを設立。魔法を使いたければダンジョンに入り、魔法結晶を持ち帰って活用せよと喧伝。新しい国と共に新たな営みを作り出したのです」
「ふむ……」
「ダンジョンの魔物は魔法結晶を守っており、退治しないと魔法結晶は得られません。魔物を倒したハンターは毒を貰ってしまいますが、元々人間は毒を浄化出来る生き物。そのサイクルのお陰で、毒の漏れ出しが無くなったのだと思われます」
「あっぱれだわ。さすが私の世界の人間達。見事に解決してくれました!」
「しかし、人間が作り出したサイクルは時と共に変化、進化する物です。今後、カレンの国の祭の意義が風化したら、また毒の問題が再燃するかも知れません」
「それは私達の仕事だわ。でも、300年頑張ってくれたオグビアはしばらく休んで頂戴。用事が出来たら呼ぶわ」
「はい、ティングミア姉様」
二人の美しい女性は、ゆっくりと立ち上がってそれぞれの持ち場に分かれて行った。
その中心で、一人の美しい女性が芝生に立っていた。ゆったりとしたローブの様な物を着ていて、真っ直ぐ正面を凝視している。
「おかえりなさいませ、ティングミア姉様。300年浄化の刑、満期おめでとうございます」
女性が恭しく頭を下げると、同じ格好をした女性が庭に歩み入って来た。
「ただいま、オグビア。満期と言っても、100年を過ぎた辺りから毒の漏れ出しがほとんど無かったのだけれど。何が有ったか話して貰えるかしら」
「はい」
ゆったりとしたローブの様な物を着ている二人の美しい女性は、向かい合って白いテーブルに着いた。誰が用意したのか、淹れたてのお茶が湯気を立てている。
「ティングミア姉様が浄化の刑で世界の外へ赴いた後、事態解決のために人間に潜在能力を授けました。その中でも特別な少年を使徒として、特別な能力を授けました。少年の名は、テルラティア・グリプト」
妹神は、姉神にテルラ達の旅を時系列で語る。
「その旅の結果、彼等は不完全ながらも5龍のシステムを復活させ、大陸を巡る魔力の流れを正常化させる事に成功しました」
「なるほど、それが上手く行ったから毒の漏れ出しが止まったのね。どうやって龍を復活させたの?」
「特別な少年の仲間の一人、カレンが錬金術を習得。習得方法は少々問題有りでしたが、神の国からは何の警告もありませんでしたので見守りで放置。その結果、生き残っている龍の協力で龍のクローンを作ったのですわ。復活はしていません」
「へぇ。でもそれだと歪みが発生するんじゃない? 同一の龍が複数存在しているんだもの。毒は抑えられないと思うんだけど」
「それの解決はカレンが神になる案が最有力でしたが、彼女は神になりませんでした。王となったのです」
「王?」
オグビアは、大陸の中心に有る砂漠地帯に新しい国が出来た事を伝えた。
大陸の中心にカレンが王として君臨し、錬金術によって常時歪みを修正。
彼女の死後は祭としてその作業を残し、200年以上に渡って魔力の流れを正しく維持している。
「錬金術と言えば、リビラーナ王への神罰はどうなったのかしら」
「リビラーナ王への神罰は、特に何も行っておりません。彼はティングミア姉様を騙して錬金術の知識を得て、不正に魔物を発生させました。その行為が毒の元ですが、世界の外への毒の漏れ出しを最小限に留めておいたのもまた事実」
「まぁ……そうね。魔物がその身体に毒を溜め込んでいたんだものね」
「娘のルーメンの願いも有り、また、カレンの国の働きも有り、神罰に値しないと判断しました」
「カレンの国の働きって?」
「魔力の流れが正しくなった事で、人は強力な魔法が使えなくなりました。人は一度手にした力を無くして不便になると不満を感じる物。そこで、ルーメンが実験で作っていた新世界の卵を使い、異世界人の知恵を借りて独自ルールのダンジョンを生成しました。そこを魔法結晶の溜まり場とし、錬金術で生み出した魔物を放ちました」
「カレンも魔物を作ったの?」
「その魔物も毒を溜め込みますが、不正ではないのでリビラーナ王の身体を使った魔物よりは安全でした。そして、カレンの国はハンターギルドを設立。魔法を使いたければダンジョンに入り、魔法結晶を持ち帰って活用せよと喧伝。新しい国と共に新たな営みを作り出したのです」
「ふむ……」
「ダンジョンの魔物は魔法結晶を守っており、退治しないと魔法結晶は得られません。魔物を倒したハンターは毒を貰ってしまいますが、元々人間は毒を浄化出来る生き物。そのサイクルのお陰で、毒の漏れ出しが無くなったのだと思われます」
「あっぱれだわ。さすが私の世界の人間達。見事に解決してくれました!」
「しかし、人間が作り出したサイクルは時と共に変化、進化する物です。今後、カレンの国の祭の意義が風化したら、また毒の問題が再燃するかも知れません」
「それは私達の仕事だわ。でも、300年頑張ってくれたオグビアはしばらく休んで頂戴。用事が出来たら呼ぶわ」
「はい、ティングミア姉様」
二人の美しい女性は、ゆっくりと立ち上がってそれぞれの持ち場に分かれて行った。
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