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第二十九話

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 常に火炎魔法を受けているかの様な日差しの中、砂漠を徒歩で進む一行。
 地面は砂だらけなので歩き難く、肌が焼けない様にフード付きマントを深く被っているので暑い。
 常時喉が渇き、水がいくら有っても足りない。フレッシが居なかったら渇きに苦しんだ事だろう。
 散々辛いと脅されていたので覚悟はしていたが、考えが甘かった。ミマルンが砂漠越えした時、道半ばでお共が亡くなったのも理解出来る。
「そろそろお昼なので休憩しましょうか」
 太陽が真上に有る時は危険だと砂漠入り初日に判断されたので、二日目以降は無理せずに休む事にした。
 なので、ルーメンがストレージからコテージを出した。
 何も無いところから小さな家を出すストレージとは、とんでもない魔法だ。
「それを習得出来れば旅が楽になるのになぁ」
 カレンがぼやいたが、ストレージはこの世界の人間には扱えないらしい。ルーメンはギフトの譲渡と言う能力を持っているが、それを使っても無効になるそうだ。ストレージ持ちが量産されたら流通が異次元な状況になるので、この世界が許さないんだろう。
「ごちそうさま。さぁ、出発しましょう」
 昼食を取ったら再出発。
 コテージは一瞬でストレージに収納される。
 日が暮れるまで歩くと、またコテージを出して就寝の準備。
「一人旅だったら我慢しましたが、フレッシが居るのでお風呂を入れましょうか」
「私にお仕事をくださり、ありがとうございます、ルーメン様」
 コテージの中には十分な量の飲料水が保管されていたので、ルーメン一人だったら問題無く砂漠の旅が出来た。水使いのフレッシは居なくても良かった。
 しかし今は大勢なので、保管分だけでは足りない。半ば強引に付いて来たテルラ達にとっては、フレッシの存在は有難かった。
 フレッシはお風呂一杯分なら簡単に出せる能力を持っているので、少しでも快適な旅が出来る様に水の無駄使いをしてみた。乾いた砂にお風呂の水を捨てれば、この地の生物の役に立つかもしれないし。
 夕食も、スープを多めに作って水分と塩分を十分に摂取した。
「昼は煮えるほど暑かったのに、夜は凍えるほど寒いなぁ……」
 完全に日が沈んだので、ルーメンはリビングに設置されている緊急避難兼展望用のはしごを使ってコテージの屋根に上がった。
 白い息を吐きながら星空を見上げる。
 砂漠には目印が無いので、星を正確に読まないと迷子になる。
「方向感覚は狂ってないわね。順調だけど、気を引き締めて明日も頑張りましょう」
 丁度流れた流れ星に、ルーメンは旅の成功を願った。
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