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第二十二話

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 翌日、下町と上町を隔てる門でパーティメンバーが合流した。
 通用口は開けっ放しに出来ないため、下町で宿を取ったテルラ達が上町の方に来た。
「どうしました? ミマルン。具合が悪そうですが」
 テルラに心配される、黒髪をポニーテールにしているミマルン。その顔色は、褐色の肌な上に真っ青になっているので、どす黒くなっていた。
「ただの二日酔いです、すみません。お酒に強い方だと言う自負が有ったので、調子に乗り過ぎました。久しぶりだと弱くなるんですね」
「大丈夫ですか? 今日はお休みにしますか?」
「大丈夫です。余分にお水を頂いたので。それよりも、テルラ達は街で情報収集すると言うお話でしたが、どうでしたか?」
「魔物は居ました。しかし、すぐに倒さなければならない様な危険な存在ではありませんでした。誰も困っていませんし、被害も出ていません。昨晩の時点では、この街の勇者に任せても問題無しと判断しました」
 テルラの言葉が終わると、プリシゥアが溜息とも苦笑とも取れる吐息と共に頭を掻いた。
「魔物っスから、いつかは必ず不死の魔物を倒さないといけないんスけどねー。問題がいっぱい有って、私が考えても答えが出ないっスねー」
「レイとミマルンの方はどうだったの? 公爵様は何か知ってた?」
 カレンに訊かれたレイは、銀色の頭を横に振った。
「公爵様は留守でしたが、その娘にお話を伺いました。何も報告は上がっていないとの事でした。テルラ達が仕入れた魔物の情報も上がっていないと思います。危険な存在ではないからでしょうか。それはそれで問題有りですわね」
「まぁ、アレだからねぇ……」
 カレンが含みの有る言い方で苦笑いする。
「なんですの? アレとは?」
 いぶかしむレイに「まぁまぁその話はまた後で」と言って話を戻すテルラ。
「街の人の話を聞く限り、不死の魔物は金山の奥に居ると思われます。下町では生き返る個体が確認されていないからです。報告が上がらなければ気付かないと言う事は、上町にも金山の人が多い所にも居ないでしょう」
「現在、魔物は下町でしか発見されていない、と言う事ですの? それはそれで不自然では有りません事?」
 レイが首を傾げると、テルラは僕も同意見ですと頷いた。
「探せば上町にも居るかも知れませんね。逆に言えば、探さなければ見付からない。つまり、無害。わざわざ突っつくのは藪蛇になるかも知れません。金山の方を調査しようにも、僕達は入れません。それらが街の勇者に任せる大きな理由です」
「なるほど。被害が無くて探すのに時間が掛かるから後回しにしよう、と言うご判断ですか。先日のネズミの時と同じですわね」
 昨晩の酒が残っているのか、少々顔がむくんでいる銀髪の王女が納得したところでカレンは訊く。
「って事で、レイとミマルンが反対しないのなら、私達はこのまま南に行くって話になってるよ。どう思う?」
 レイは、気分が悪そうに俯いているミマルンの顔を見る。
「ネズミの時と違い、こちらには害が有りません。反対する理由はございませんわ。ね? ミマルン」
「はい」
 頷いてから、公爵家で貰った水筒を呷るミマルン。
「じゃ、選択っス。海路で半島経由で行くか、歩きで砂漠の国を縦断するか、の二択っス」
 プリシゥアが択の詳細を説明をする。
 海岸沿いで行けば砂漠の過酷な暑さは避けられるが、人里が少ないので補給が難しい。国境があいまいな地域でほぼ無政府状態なので、犯罪も多いだろう。
 海路は運賃が掛かって遠回りになるが、前進に困難は無い。
「ミマルンは砂漠を越えて来たんスよね。どうスか? 三番目の選択肢として、私等が砂漠の真ん中を突っ切っても大丈夫っスかね?」
「経験豊富な商人キャラバンの協力が無ければ高確率で死人が出ますね。十分な準備が出来るはずのグラシラド国軍が砂漠を嫌って北の国を攻めない理由を身をもって知りました。女子供の足では無理です」
「では、海路ですね」
 アッサリ決断するテルラ。
 反対は出なかった。
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