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第五話
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30分後、パーティメンバーはそれぞれのペースで玄関に集合して来た。
プリシゥアは旅用の籠手を外していて、レイは帯剣はしているが鎧を脱いでいる。街中なので身軽になった様だ。
そんな中、黒コートを着たままのグレイがテルラに近付いた。
「やっぱり俺は一人で食いに行くよ。役所は俺抜きで行ってくれ。勿論、ちゃんとした理由が有る」
「理由とは?」
「銃弾の補給が出来るかどうかを確かめる必要が有るんだ。ここを拠点とするなら、安定した補給が出来ないと戦えなくなるからな」
「確かに。銃弾は消耗品ですから、補給路の確保は大事ですね。分かりました。自由行動を許可します」
「助かる。クエストを受けるなら、俺の意見は賛成で良い。じゃ、行って来る」
「気を付けて。――ああ、家の鍵は掛けて行くので、僕達が帰る前に戻ってしまったら待っていてください」
「了解」
一人で家を出たグレイは、取り敢えず周囲を見渡した。
太陽は眩しいのに、相変わらず人通りは無い。
「ふぅむ。これじゃ食い物屋はやってないかもな。まぁ、行ってみるか」
銃弾は万引きされたらシャレにならないので、基本的に商品棚に並べる事は無い。
治安の悪い危険な街では一般市民でも気軽に買える場合があるが、まともな街では兵士か猟師くらいしか買わないので、出番が有るまで暗所で保管状態を良くしておきたいと言う理由も有る。
だから、銃弾が欲しかったら店の中に入って店員か店主に物が有るかどうかを聞かなければならない。
「地元民が居ないとどの店がそうなのかが分からないな。しらみつぶししかないか」
とは言え、本当に手当たり次第に店に入っていたら日が暮れてしまう。
腹も減っているし、効率的に行かなければ。
「あいつらと出くわして気まずくなるかも知れないが、ハンターが寄りそうな宿屋か酒場、役所の近くの店を探すか」
役所なら次にクエストを受けに行く時に確認出来るから、今は宿屋付近を探った方が良いだろう。
行き先が決まったグレイは、コート下に隠してある銃の手触りを確認してから大通りを探した。こんなに人通りが少ないと、往来の危険度は村の外とさほど変わらない。
不審者が物陰に潜んでいいないかに注意しながら歩くと、酒の絵が描かれている看板を見付けた。
スイングドアから中を覗いてみる。
店内にも人気は無いが、やってはいるみたいだ。
「他にやってる店を探すのは運になるから、ここで腹ごしらえするか」
未成年が酒場に入ると追い出される可能性が有るので、慎重にドアを開けた。
「いらっしゃい」
ドアに付いていたベルの音に反応し、カウンターの向こうで新聞を読んでいたおじさんが返事をした。
「昼食を貰えるか?」
子供の声に驚いて新聞から顔を上げるおじさん。グレイの身形から近所の悪ガキではない事を察したおじさんは、普通の客として対応した。
「今すぐ出せるのは芋のスープくらいしかないが、良いか?」
「肉が良いが、他の店を探すのが手間だからそれで我慢するよ。――どうしてここはやっているんだ?」
「魔物退治に行った奴等がいつ帰って来るか分からないからだ。とは言えこんな早く帰って来る事は無いから、下準備しかしてないんだ。ちょっと待ってな」
「ああ」
新聞を畳んだおじさんは、一旦奥に行った。
カウンターに座ったグレイは、バイコーンの帽子をテーブルに置いて酒場の中を見渡した。テーブル数が多く、天井が高い良い店だ。田舎の街にしては洗練されてセンスが良い。日が暮れて酒の時間になったら、客とウエイトレスで賑やかになるだろう。
「お待たせ。ジャガイモと玉ねぎのスープだ。簡単な物だから100クラゥで良いよ。……届くか?」
カウンターから鼻の上しか出していない少女を心配するおじさん。
「問題無い。ひとつ訊きたいんだが、この街に銃弾を売っている店は有るか? 安定して仕入れている店が理想だ」
「ああ、それなら役所の二軒隣の武具屋で売ってるぞ」
「そっちだったか。やっぱりクエスト受けるところで売ってるんだな。役場はこの大通りに?」
「向こうに真っ直ぐ行けば有る。もしかして、お前ハンターなのか? 随分若く見えるが」
「成り行きでハンターにされたよ。でも、俺の武器は銃だから年齢は関係無い」
「ふーん。この状況を解決してくれるなら誰でも良いんだが、無理はするなよ」
「分かっている。――美味かった。ごちそうさま」
100クラゥ硬貨を皿の横に置いたグレイは、バイコーンの帽子を被って酒場を後にした。
「お嬢さん。お困りですかな?」
酒場の前に宿屋が有り、その陰に怪しい人物が居た。フードを深く被っていて顔は見えないが、声は女性だった。
屋外なのにテーブルに着いていて、水晶玉に手を翳している。
さっきは居なかったので、食事をしている間に現れたんだろう。
「この店に入るまでは困っていたが、もう解決した」
「本当に解決しましたか? 貴女には困難が待ち構えている相が見えますよ。食に関する問題です。一回1000クラゥで占いましょう」
「占いか。俺はそう言うのは信用しない事にしているんだ。他を当たってくれ」
にべもなく断ったグレイは、役所に向かって歩いた。
プリシゥアは旅用の籠手を外していて、レイは帯剣はしているが鎧を脱いでいる。街中なので身軽になった様だ。
そんな中、黒コートを着たままのグレイがテルラに近付いた。
「やっぱり俺は一人で食いに行くよ。役所は俺抜きで行ってくれ。勿論、ちゃんとした理由が有る」
「理由とは?」
「銃弾の補給が出来るかどうかを確かめる必要が有るんだ。ここを拠点とするなら、安定した補給が出来ないと戦えなくなるからな」
「確かに。銃弾は消耗品ですから、補給路の確保は大事ですね。分かりました。自由行動を許可します」
「助かる。クエストを受けるなら、俺の意見は賛成で良い。じゃ、行って来る」
「気を付けて。――ああ、家の鍵は掛けて行くので、僕達が帰る前に戻ってしまったら待っていてください」
「了解」
一人で家を出たグレイは、取り敢えず周囲を見渡した。
太陽は眩しいのに、相変わらず人通りは無い。
「ふぅむ。これじゃ食い物屋はやってないかもな。まぁ、行ってみるか」
銃弾は万引きされたらシャレにならないので、基本的に商品棚に並べる事は無い。
治安の悪い危険な街では一般市民でも気軽に買える場合があるが、まともな街では兵士か猟師くらいしか買わないので、出番が有るまで暗所で保管状態を良くしておきたいと言う理由も有る。
だから、銃弾が欲しかったら店の中に入って店員か店主に物が有るかどうかを聞かなければならない。
「地元民が居ないとどの店がそうなのかが分からないな。しらみつぶししかないか」
とは言え、本当に手当たり次第に店に入っていたら日が暮れてしまう。
腹も減っているし、効率的に行かなければ。
「あいつらと出くわして気まずくなるかも知れないが、ハンターが寄りそうな宿屋か酒場、役所の近くの店を探すか」
役所なら次にクエストを受けに行く時に確認出来るから、今は宿屋付近を探った方が良いだろう。
行き先が決まったグレイは、コート下に隠してある銃の手触りを確認してから大通りを探した。こんなに人通りが少ないと、往来の危険度は村の外とさほど変わらない。
不審者が物陰に潜んでいいないかに注意しながら歩くと、酒の絵が描かれている看板を見付けた。
スイングドアから中を覗いてみる。
店内にも人気は無いが、やってはいるみたいだ。
「他にやってる店を探すのは運になるから、ここで腹ごしらえするか」
未成年が酒場に入ると追い出される可能性が有るので、慎重にドアを開けた。
「いらっしゃい」
ドアに付いていたベルの音に反応し、カウンターの向こうで新聞を読んでいたおじさんが返事をした。
「昼食を貰えるか?」
子供の声に驚いて新聞から顔を上げるおじさん。グレイの身形から近所の悪ガキではない事を察したおじさんは、普通の客として対応した。
「今すぐ出せるのは芋のスープくらいしかないが、良いか?」
「肉が良いが、他の店を探すのが手間だからそれで我慢するよ。――どうしてここはやっているんだ?」
「魔物退治に行った奴等がいつ帰って来るか分からないからだ。とは言えこんな早く帰って来る事は無いから、下準備しかしてないんだ。ちょっと待ってな」
「ああ」
新聞を畳んだおじさんは、一旦奥に行った。
カウンターに座ったグレイは、バイコーンの帽子をテーブルに置いて酒場の中を見渡した。テーブル数が多く、天井が高い良い店だ。田舎の街にしては洗練されてセンスが良い。日が暮れて酒の時間になったら、客とウエイトレスで賑やかになるだろう。
「お待たせ。ジャガイモと玉ねぎのスープだ。簡単な物だから100クラゥで良いよ。……届くか?」
カウンターから鼻の上しか出していない少女を心配するおじさん。
「問題無い。ひとつ訊きたいんだが、この街に銃弾を売っている店は有るか? 安定して仕入れている店が理想だ」
「ああ、それなら役所の二軒隣の武具屋で売ってるぞ」
「そっちだったか。やっぱりクエスト受けるところで売ってるんだな。役場はこの大通りに?」
「向こうに真っ直ぐ行けば有る。もしかして、お前ハンターなのか? 随分若く見えるが」
「成り行きでハンターにされたよ。でも、俺の武器は銃だから年齢は関係無い」
「ふーん。この状況を解決してくれるなら誰でも良いんだが、無理はするなよ」
「分かっている。――美味かった。ごちそうさま」
100クラゥ硬貨を皿の横に置いたグレイは、バイコーンの帽子を被って酒場を後にした。
「お嬢さん。お困りですかな?」
酒場の前に宿屋が有り、その陰に怪しい人物が居た。フードを深く被っていて顔は見えないが、声は女性だった。
屋外なのにテーブルに着いていて、水晶玉に手を翳している。
さっきは居なかったので、食事をしている間に現れたんだろう。
「この店に入るまでは困っていたが、もう解決した」
「本当に解決しましたか? 貴女には困難が待ち構えている相が見えますよ。食に関する問題です。一回1000クラゥで占いましょう」
「占いか。俺はそう言うのは信用しない事にしているんだ。他を当たってくれ」
にべもなく断ったグレイは、役所に向かって歩いた。
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