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二章 花と蔦
第20話 エディの後悔
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空の鍋と、汚れたお皿を並べたござに、フルールは座っていた。エディは心配そうに、エメが駆けていった方を見つめていた。
「エディ。一度これ、持って帰って洗った方がいいと思うの。汚れが落ちなくなるわよ」
「大丈夫だよ。もっとひどい汚れがこびりついてても、ぴかぴかに洗えるさ」
「お店の準備で、厨房使えなくなるわよ」
「そうなったら、明日の朝に洗えばいいさ」
「私のことなら、心配いらないわ。あの子……ロールが見張っていてくれるし」
「心配だよ!」
エディがくるりと向き直った。目と目が合うと、気恥ずかしくなって、二人はまた、顔を背けた。気まずい空気が、少しの間続いた。
「さっき……下層の人たちを利用するなって、言っただろう? 実を言うとね、僕も同じことをしたんだ」
「エディも?」
「そうだよ。そして、同じ子どもに、同じことをされた」
「エディも、顔に何かぶつけられたの!」
思わず怒り声を上げてしまい、フルールは顔を赤らめた。
「そうだよ。……少し長くなるけど、聞いてくれるかい?」
「私でよければ」
赤くなった顔を背けたまま、フルールは答えた。
「知ってのとおり、僕は捨て子で、五番通りのみんなに育てられた。フレデリクさんにも、アンリエットさんにも、親切にしてもらった。僕は、ずっと、大きくなったらみんなに恩返しをするんだ、と思っていた」
そんな、水くさい、と思う気持ちと、その誠実さがエディらしい、と思う気持ちが、フルールの中でせめぎ合い、後者が少し勝っていた。
「大人になって、やっと、五番通りのみんなに恩返しができると思ったけれど、みんな、自分の生活をしっかりと生きていて、僕がお節介を焼く余地はなかった。ただ一人を除いてね」
「それって、シャルル叔父さんのこと?」
「そうだよ。以前、シャルルさんが下層の人を悪く言ったのが、妙に気になってね。あの時はついかっとなってしまったけど、きちんと話を聞いてみようと思ったんだ」
「叔父さんの話を、聞いてくれたのね。どうもありがとう」
フルールがお礼を言うと、エディは目を丸くした。
「そうか……フルールは僕にお礼を言ってくれるんだね」
「当たり前でしょ?」
フルールが首をかしげると、エディはこちらを振り返り、嬉しそうに、でも少し恥ずかしそうに、目を細めた。
「シャルルさんは、酔うと、いつも同じ話をした。法律家を目指そうとした、若い日の話だ」
「それって、叔父さんが襲われて、頭を打つ前の話?」
「その事を、知っているんだね……」
「私が鞄を盗られた日に、話してくれたわ」
「そうか。上手に隠しながら話さなくちゃと思ったけど、気遣いはいらないみたいだね」
「何を隠す気だったの?」
「シャルルさんが、下層の子どもに襲われたことだよ。それを知ったら、フルールが下層の人を恨むんじゃないかと恐れて、話さなかったんだって」
「でも、叔父さん、自分から話してくれたのよ」
「きっと、シャルルさんは、フルールがもう子どもじゃないって、認めてくれたんだよ」
エディは振り返って、笑った。フルールは照れくさくて、そうかしら? とだけ答えた。
「シャルルさんが法律家を目指したのは、下層の人たちが裁判で不当に扱われるのを改善したいと思ったからだ」
「そうなの……」
「シャルルさんは、守ろうと思った下層の人に襲われて、大変傷ついた。だから、お酒に溺れてしまったって……。だけど、シャルルさんは、本当は、上層の人も中層の僕らも下層の人も、同じ人間だと思っているって。だから、不当な立場に置かれた人々を、守らなければいけないって、ずっと思っているって……。でも、酒に溺れた身体では、もう、どうすることもできないって……。だから、やぶれかぶれなことばかり口にしてしまうって、言ってたよ」
「叔父さん、辛いわね……」
夢を打ち砕かれてもなお、夢を追い求め、どうすることもできない状況に置かれたシャルルのことを、フルールは心の底から同情した。
「だから、僕が、シャルルさんの志を受け継ごうとした」
「エディが?」
フルールは、目を丸くした。今エディがどんな顔をしているのか、見たかった。きっと、きらきら輝く目をしているのだろう。でも、エディは振り返らなかった。
「でも、僕にはシャルルさんのような頭はない。僕にできることは、あの慈善団体の人たちの炊き出しに参加することくらいだった」
「それってすごいことよ。子どもたち、とても喜んだでしょう!」
エディはしばらくの間黙っていた。
「エディ……?」
フルールはエディのことが心配になってきた。今どんな顔をしているのだろう。きらきら目を輝かせてはいないことは確かだ。
「あの人たちの本当の目的は、下層の人たちに神の教えを伝えることだった。彼らは過激派で、神の教えに背くような人には、鞭をくれて矯正すべきだと思っていた」
「そこまでしなくても……」
「僕は見てしまった。食事を見て、群がるように集まる子どもたちの肩を、あいつらが鞭打つのを」
あいつら、なんていう乱暴な言葉を、エディは普段使わない。フルールはエディの内なる怒りに驚いた。
「あいつらは『お行儀の悪い子は、神さまのお恵みである日々の食事を摂る資格はない。ここから立ち去りなさい!』と叫んだ。だから、みんな一斉に、おとなしくなった。あいつらは満足した顔で、食事を配ったよ。配り終わると、長い長いお説教をはじめた。でも、誰も聞きやしなかった。あいつらが怒って鞭を振り上げると、一人の子どもが現れた。その子はこう言った。
『そんなものを知って、何の腹の足しになるのか』
僕は驚いて、言葉を失った。僕は、何かを知ることは、心の栄養になると思っていた。あいつらは『神の御言葉を知ることこそ、心を満たす唯一の術だ』と言った。その子は笑った。『心なんてどうでもいい。俺は腹を満たしたいだけだ』って……」
エディは一瞬、ためらうように目を伏せた。
「その子は僕らをにらみつけた。
『お前らの満足のために、俺たちに施したのか! 餌をまいて魚をおびき出すような真似をしやがって! 俺たちはお前らに教え諭されるような、ちっぽけなもんじゃない!』
その子は、僕めがけて、腐った果物を投げつけてきた……」
フルールの脳裏に、マダムの顔が浮かび上がった。マダムの怒りを受けて、震え上がった自分を思い出した。
「見ていた子どもたちは、大笑いした。あいつらは、子どもたちが自分たちに刃向かったり、笑ったりするとは、少しも思っていなかったみたいだ。子どもたちが蜘蛛の子を散らすように逃げていったのと、あいつらが下層から逃げ去ったのは、ほとんど同時だったよ」
エディの声は、まるで自身をあざ笑っているようだった。
「僕一人だけが、その場に残された。その子の態度に、傷つかなかったと言ったら、嘘になる。腹が立たなかったと言ったら、もっともっと嘘になる。僕は悔しかったし、腹が立ったし、悲しかった。もう二度と、炊き出しには行かないとさえ思った。
だけど、落ち着きを取り戻すと、どうしてあの子が、僕めがけて果物を投げたのか、だんだんわかってきた。僕が、僕こそが、僕自身の満足のために、炊き出しに参加したからだよ……」
フルールは、さっきから、エディになんて言えばいいのか、わからなかった。
「もうわかっただろう? その子がリエールだ。リエールは賢い子だ。偽善をすぐに見抜いてしまう」
「偽善……」
声色から、フルールが落ち込んだことを察知したエディは、振り返って弁明した。
「いや、ごめん、フルールの理想を偽善というつもりはなかったんだ。ただ……」
「エディ」
フルールは顔を上げて、エディの目をじっと見つめた。
「エディがやろうとしたことも、偽善ではないと思う。いただいた親切を、誰かに返したいと思うのは、自然なことよ。もし、それが偽善なら、五番街のみんなも、もちろん私も偽善者だわ」
「フルール……」
「エディ!」
甲高い声が響いて、二人はぱっと顔を背けた。二人と少し離れたところに、エメが立っていた。エメは誰かの手をしっかりと握っていた。
「お、やっぱり連れてきたな!」
物陰からロールとジャックが飛び出してきた。
「お前らも、俺を売りやがったのか!」
リエールの憎々しげな声が響いた。
「だって、リエール、そのきらきらしたの、あたしに分けてくれなかっただろ? 一度決めた分け前は守る。その、下層の掟を破ったのは、親分のお前だ。親分が掟を守らないなら、子分には逆らう権利がある」
ロールは、いひひ、と笑った。ジャックも、まったく同じ顔をして、笑った。
「エメ、お前もそれで、俺を売るのか!」
エメも、いひひと笑った。
「畜生!」
リエールは地面を力強く蹴った。
「エディ。一度これ、持って帰って洗った方がいいと思うの。汚れが落ちなくなるわよ」
「大丈夫だよ。もっとひどい汚れがこびりついてても、ぴかぴかに洗えるさ」
「お店の準備で、厨房使えなくなるわよ」
「そうなったら、明日の朝に洗えばいいさ」
「私のことなら、心配いらないわ。あの子……ロールが見張っていてくれるし」
「心配だよ!」
エディがくるりと向き直った。目と目が合うと、気恥ずかしくなって、二人はまた、顔を背けた。気まずい空気が、少しの間続いた。
「さっき……下層の人たちを利用するなって、言っただろう? 実を言うとね、僕も同じことをしたんだ」
「エディも?」
「そうだよ。そして、同じ子どもに、同じことをされた」
「エディも、顔に何かぶつけられたの!」
思わず怒り声を上げてしまい、フルールは顔を赤らめた。
「そうだよ。……少し長くなるけど、聞いてくれるかい?」
「私でよければ」
赤くなった顔を背けたまま、フルールは答えた。
「知ってのとおり、僕は捨て子で、五番通りのみんなに育てられた。フレデリクさんにも、アンリエットさんにも、親切にしてもらった。僕は、ずっと、大きくなったらみんなに恩返しをするんだ、と思っていた」
そんな、水くさい、と思う気持ちと、その誠実さがエディらしい、と思う気持ちが、フルールの中でせめぎ合い、後者が少し勝っていた。
「大人になって、やっと、五番通りのみんなに恩返しができると思ったけれど、みんな、自分の生活をしっかりと生きていて、僕がお節介を焼く余地はなかった。ただ一人を除いてね」
「それって、シャルル叔父さんのこと?」
「そうだよ。以前、シャルルさんが下層の人を悪く言ったのが、妙に気になってね。あの時はついかっとなってしまったけど、きちんと話を聞いてみようと思ったんだ」
「叔父さんの話を、聞いてくれたのね。どうもありがとう」
フルールがお礼を言うと、エディは目を丸くした。
「そうか……フルールは僕にお礼を言ってくれるんだね」
「当たり前でしょ?」
フルールが首をかしげると、エディはこちらを振り返り、嬉しそうに、でも少し恥ずかしそうに、目を細めた。
「シャルルさんは、酔うと、いつも同じ話をした。法律家を目指そうとした、若い日の話だ」
「それって、叔父さんが襲われて、頭を打つ前の話?」
「その事を、知っているんだね……」
「私が鞄を盗られた日に、話してくれたわ」
「そうか。上手に隠しながら話さなくちゃと思ったけど、気遣いはいらないみたいだね」
「何を隠す気だったの?」
「シャルルさんが、下層の子どもに襲われたことだよ。それを知ったら、フルールが下層の人を恨むんじゃないかと恐れて、話さなかったんだって」
「でも、叔父さん、自分から話してくれたのよ」
「きっと、シャルルさんは、フルールがもう子どもじゃないって、認めてくれたんだよ」
エディは振り返って、笑った。フルールは照れくさくて、そうかしら? とだけ答えた。
「シャルルさんが法律家を目指したのは、下層の人たちが裁判で不当に扱われるのを改善したいと思ったからだ」
「そうなの……」
「シャルルさんは、守ろうと思った下層の人に襲われて、大変傷ついた。だから、お酒に溺れてしまったって……。だけど、シャルルさんは、本当は、上層の人も中層の僕らも下層の人も、同じ人間だと思っているって。だから、不当な立場に置かれた人々を、守らなければいけないって、ずっと思っているって……。でも、酒に溺れた身体では、もう、どうすることもできないって……。だから、やぶれかぶれなことばかり口にしてしまうって、言ってたよ」
「叔父さん、辛いわね……」
夢を打ち砕かれてもなお、夢を追い求め、どうすることもできない状況に置かれたシャルルのことを、フルールは心の底から同情した。
「だから、僕が、シャルルさんの志を受け継ごうとした」
「エディが?」
フルールは、目を丸くした。今エディがどんな顔をしているのか、見たかった。きっと、きらきら輝く目をしているのだろう。でも、エディは振り返らなかった。
「でも、僕にはシャルルさんのような頭はない。僕にできることは、あの慈善団体の人たちの炊き出しに参加することくらいだった」
「それってすごいことよ。子どもたち、とても喜んだでしょう!」
エディはしばらくの間黙っていた。
「エディ……?」
フルールはエディのことが心配になってきた。今どんな顔をしているのだろう。きらきら目を輝かせてはいないことは確かだ。
「あの人たちの本当の目的は、下層の人たちに神の教えを伝えることだった。彼らは過激派で、神の教えに背くような人には、鞭をくれて矯正すべきだと思っていた」
「そこまでしなくても……」
「僕は見てしまった。食事を見て、群がるように集まる子どもたちの肩を、あいつらが鞭打つのを」
あいつら、なんていう乱暴な言葉を、エディは普段使わない。フルールはエディの内なる怒りに驚いた。
「あいつらは『お行儀の悪い子は、神さまのお恵みである日々の食事を摂る資格はない。ここから立ち去りなさい!』と叫んだ。だから、みんな一斉に、おとなしくなった。あいつらは満足した顔で、食事を配ったよ。配り終わると、長い長いお説教をはじめた。でも、誰も聞きやしなかった。あいつらが怒って鞭を振り上げると、一人の子どもが現れた。その子はこう言った。
『そんなものを知って、何の腹の足しになるのか』
僕は驚いて、言葉を失った。僕は、何かを知ることは、心の栄養になると思っていた。あいつらは『神の御言葉を知ることこそ、心を満たす唯一の術だ』と言った。その子は笑った。『心なんてどうでもいい。俺は腹を満たしたいだけだ』って……」
エディは一瞬、ためらうように目を伏せた。
「その子は僕らをにらみつけた。
『お前らの満足のために、俺たちに施したのか! 餌をまいて魚をおびき出すような真似をしやがって! 俺たちはお前らに教え諭されるような、ちっぽけなもんじゃない!』
その子は、僕めがけて、腐った果物を投げつけてきた……」
フルールの脳裏に、マダムの顔が浮かび上がった。マダムの怒りを受けて、震え上がった自分を思い出した。
「見ていた子どもたちは、大笑いした。あいつらは、子どもたちが自分たちに刃向かったり、笑ったりするとは、少しも思っていなかったみたいだ。子どもたちが蜘蛛の子を散らすように逃げていったのと、あいつらが下層から逃げ去ったのは、ほとんど同時だったよ」
エディの声は、まるで自身をあざ笑っているようだった。
「僕一人だけが、その場に残された。その子の態度に、傷つかなかったと言ったら、嘘になる。腹が立たなかったと言ったら、もっともっと嘘になる。僕は悔しかったし、腹が立ったし、悲しかった。もう二度と、炊き出しには行かないとさえ思った。
だけど、落ち着きを取り戻すと、どうしてあの子が、僕めがけて果物を投げたのか、だんだんわかってきた。僕が、僕こそが、僕自身の満足のために、炊き出しに参加したからだよ……」
フルールは、さっきから、エディになんて言えばいいのか、わからなかった。
「もうわかっただろう? その子がリエールだ。リエールは賢い子だ。偽善をすぐに見抜いてしまう」
「偽善……」
声色から、フルールが落ち込んだことを察知したエディは、振り返って弁明した。
「いや、ごめん、フルールの理想を偽善というつもりはなかったんだ。ただ……」
「エディ」
フルールは顔を上げて、エディの目をじっと見つめた。
「エディがやろうとしたことも、偽善ではないと思う。いただいた親切を、誰かに返したいと思うのは、自然なことよ。もし、それが偽善なら、五番街のみんなも、もちろん私も偽善者だわ」
「フルール……」
「エディ!」
甲高い声が響いて、二人はぱっと顔を背けた。二人と少し離れたところに、エメが立っていた。エメは誰かの手をしっかりと握っていた。
「お、やっぱり連れてきたな!」
物陰からロールとジャックが飛び出してきた。
「お前らも、俺を売りやがったのか!」
リエールの憎々しげな声が響いた。
「だって、リエール、そのきらきらしたの、あたしに分けてくれなかっただろ? 一度決めた分け前は守る。その、下層の掟を破ったのは、親分のお前だ。親分が掟を守らないなら、子分には逆らう権利がある」
ロールは、いひひ、と笑った。ジャックも、まったく同じ顔をして、笑った。
「エメ、お前もそれで、俺を売るのか!」
エメも、いひひと笑った。
「畜生!」
リエールは地面を力強く蹴った。
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