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第40話
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「聖女殿を守れェ! 亀甲の陣!」
「セイラの安全が第一だ! 油樽を惜しむな! ここが踏ん張り時だ!」
エルムスと魔王の戦いが始まって、すぐ。
騎士と傭兵たちが駆けつけてくれた。
「アルフィンドール卿を援護せよ! 魔術師隊は魔王の動きと阻害! 騎士は蛇どもを叩け!」
「オレ達も援護だ! 蛇野郎を近づかせるな!」
モールデン伯爵とバルボ・フットが声を張り上げる。
まるで、いつぞやの時と同じだ。
……ただ違うのは、そばにエルムスがいない。
ただ一人で魔王を押し留めている。
ひょろっちい司祭だと思っていたのに、なんて強さだ。
「無駄、無駄、無駄ぁ」
魔王がその巨体から蛇を分離させる。
巨体を構成しているのは数千数万の蛇の化物で、それをこちらへと向かわせているのだ。
騎士と傭兵が押し留めているが、徐々に押されてきている。
「あ……ッ」
魔王の一撃を受けた、エルムスが大きく吹き飛ばされた。
こちらへと落下して、地面を転がる。
傷だらけで、剣も折れて……それでも、立ち上がろうとしている。
「エルムス!」
「セイラ、無事ですね? よかった」
駆け寄って手を握る。
「アルフィンドール卿をフォロー! 騎士隊! 前へ! 大盾部隊その場を維持せよ!」
騎士隊が、少し前に出る。
アタシ達を守るために。
「アタシはなんで……! 聖女になるって、決めたのに!」
「セイラ、大丈夫ですよ。僕も彼等もまだ戦える」
膝立ちになって、魔王の方を見据えるエルムス。
「もう、ボロボロじゃないか!」
「なに、まだ大丈夫です。僕という男は、存外丈夫なんですよ」
上体を起こしたエルムスが笑って、アタシの頬を撫でる。
「ダメだ、ダメだよエルムス! 勝てっこないよ!」
「おや、珍しく弱気ですね、セイラ」
「これ以上、無理だよ……」
涙がこぼれる。
泣いたってどうにもならないってわかっているのに。
こんなものが何の役にも立たないなんて、スラムで染み付いているはずなのに。
それでも止まらない。
「セイラ。僕はね……あなたのために、在る者なんです」
「なんだよ、それ……!」
「宿命を背負うべきは、あなた一人ではないということですよ」
立ち上がったエルムスが血を拭って、魔王を見据えた。
「セイラの安全が第一だ! 油樽を惜しむな! ここが踏ん張り時だ!」
エルムスと魔王の戦いが始まって、すぐ。
騎士と傭兵たちが駆けつけてくれた。
「アルフィンドール卿を援護せよ! 魔術師隊は魔王の動きと阻害! 騎士は蛇どもを叩け!」
「オレ達も援護だ! 蛇野郎を近づかせるな!」
モールデン伯爵とバルボ・フットが声を張り上げる。
まるで、いつぞやの時と同じだ。
……ただ違うのは、そばにエルムスがいない。
ただ一人で魔王を押し留めている。
ひょろっちい司祭だと思っていたのに、なんて強さだ。
「無駄、無駄、無駄ぁ」
魔王がその巨体から蛇を分離させる。
巨体を構成しているのは数千数万の蛇の化物で、それをこちらへと向かわせているのだ。
騎士と傭兵が押し留めているが、徐々に押されてきている。
「あ……ッ」
魔王の一撃を受けた、エルムスが大きく吹き飛ばされた。
こちらへと落下して、地面を転がる。
傷だらけで、剣も折れて……それでも、立ち上がろうとしている。
「エルムス!」
「セイラ、無事ですね? よかった」
駆け寄って手を握る。
「アルフィンドール卿をフォロー! 騎士隊! 前へ! 大盾部隊その場を維持せよ!」
騎士隊が、少し前に出る。
アタシ達を守るために。
「アタシはなんで……! 聖女になるって、決めたのに!」
「セイラ、大丈夫ですよ。僕も彼等もまだ戦える」
膝立ちになって、魔王の方を見据えるエルムス。
「もう、ボロボロじゃないか!」
「なに、まだ大丈夫です。僕という男は、存外丈夫なんですよ」
上体を起こしたエルムスが笑って、アタシの頬を撫でる。
「ダメだ、ダメだよエルムス! 勝てっこないよ!」
「おや、珍しく弱気ですね、セイラ」
「これ以上、無理だよ……」
涙がこぼれる。
泣いたってどうにもならないってわかっているのに。
こんなものが何の役にも立たないなんて、スラムで染み付いているはずなのに。
それでも止まらない。
「セイラ。僕はね……あなたのために、在る者なんです」
「なんだよ、それ……!」
「宿命を背負うべきは、あなた一人ではないということですよ」
立ち上がったエルムスが血を拭って、魔王を見据えた。
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