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第27話 再び領都へ
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「……と、いう訳なんだ」
日がすっかり落ちて、夜。
転移装置がある遺跡で野営を張ることとなった僕は、二人に考えを伝える。
「それはあたしも考えてたのよね。【疑似迷宮核】がない以上、天然の【迷宮核】を使うしかないわ」
「ですが、三人で迷宮探索は危険が過ぎるかと」
「そうね。いくらあたし達でも危ないと思う」
やや猪突猛進なところがある姉も、こと冒険に関しては慎重で冷静だ。
「購入を視野に入れるのもありかもしれない。そんなに大きなものでなくてもいいと思うし」
「この時代の【迷宮核】ってどのくらいの値段なのかしら……」
「市場調査は行ったのですが、【迷宮核】まで気が回りませんでした。申し訳ありません」
しゅんとするチサの頭をそっと撫でやって、僕は首を振る。
「いや、そういうのは僕が気を回すべきだったんだ。気にしないで」
【迷宮核】は四十年後だとかなり高騰していて、小指の先サイズでも金貨一千枚はくだらない。
産出地である迷宮のほとんどが、最深部まで攻略されてしまっているからだ。
だが、この時代であればまだ未攻略で停止前の迷宮がそこそこに残っており、それらが生み出す小迷宮もそれなりに存在しているはず。
この辺りだと、一番近くて『ベルベティン大森林』。
南に足を延ばせば『サルヴァン都市遺跡群』がある。
となれば、【迷宮核】の値段も多少は落ち着いているはずだ。
……僕らの時代に比べれば、だけど。
「どっちにしろ、それ以外の修復にもまだ少し機材が足りない。だから、いったん領都に戻ろうと思うんだけど、いいかな?」
「そうね。記録も提出しなきゃいけないし、走蜥蜴もさっさと金に換えてしまいたいわ。報酬だって受け取らなきゃ」
やはり、金銭的な問題を解決するにも領都に行く必要がありそうだ。
「ただ、僕がいると留まるのも大変だよね……」
僕の『星証痕』が『一ツ星』である以上、宿に泊まるのは難しい。
前回はウィルソン氏の伝手で行商人用の共用民家に泊めてもらったが、今回はそうはいかない。
「ま、それに関しては手があるから問題ないわ」
「そうなの?」
「そうなのよ」
自信満々な姉をやや不審に思いながらも、僕は頷く。
「なら、ここを撤収して領都に向かおう」
「はい。撤収準備はお任せください」
「ほとんど僕の魔法道具だから、チサこそ休んでていいよ」
「そうは参りません。……では、二人でしましょう。ね、ノエル」
そう言って、僕の手を引くチサ。
それを見ていた姉が、小さく首をひねる。
「ねえ……二人とも、なにかあったわけ?」
「何もないよ」
「何もございません」
思わずハモってしまって、チサと二人で顔を見合わせて苦笑する。
それを見た姉が、へにょりとして小さくため息をついた。
「……ちょっと背中を押しすぎたかしら」
◇
領都への帰路は、大したトラブルもなく終えた。
大した……というのはやはり走蜥蜴による襲撃が二度あった、という意味である。
街道を行くものを無差別に襲っているのか、いかにも冒険者然とした僕らの前にも平気で姿を現し、襲ってくる走蜥蜴の行動はやはりやや異常だ。
この様子だと、行商人や旅人にも被害が出ている可能性はかなり高い。
アウスの書状は、もうとっくの昔に届いているはずなので早いところ対処をすればいいのに……などと考えながら城壁の関所の列に並ぶ。
前回はウィルソンの護衛ということで紛れ込んだが、今回は冒険者証があるので堂々とここを通ることができる。
「……ん? 君達は……」
「何よ。疲れてんだからさっさと通してくれない?」
半刻ほど待って、ようやく順番が回ってきたと思ったら僕らの冒険者証を確認した門番が、顔色を少し変えた。
表情からするに、どうにもトラブルの予感がする。
「東スレクト村の商人、ウィルソンの依頼を受けたのは君達で間違いないか?」
「そうよ。正式な記録の事なら、このあと提出に行くわ。何か問題でもあるわけ?」
やや剣呑な姉に気圧されながらも、門番が向き直る。
「詳しくはこちらで把握していないが、その依頼報告について聞きたいことがあると冒険者ギルドから要請がきている。すぐに向かってくれ」
門番の言葉に、僕たちは顔を見合わせる。
僕は冒険者になってまだ日が浅いのでよくわからないが、姉も不思議そうにしているところを見ると、これが珍しいことであるというのは理解できた。
「いいわ。どうせ完了報告に行くところだったし。教えてくれてありがと」
「いいや、こちらこそ。時間をもらってしまってすまなかった」
そう会釈する門番にこちらも会釈を返し、領都へ足を踏み入れる。
「……人が多ございますね」
「これは、予想が当たったかな」
ガデスの城門付近はいわゆる商人たちのためのエリアだ。
馬車馬を世話するための厩舎と馬車を収める広場を備えた、商人用の宿が立ち並んでおり、普段もにぎやかだが……今はさらに人が溢れかえっている。
ガデスに留まる商人や旅人が増え、パンクしているのだ。
何故か?
やはり、凶暴化した走蜥蜴に対する不安によるものだろう。
つまり、大走竜をいまだ討伐できていないということだ。
東スレクト村を発ってから十日。
そろそろ領軍や冒険者による討伐部隊が対処していてもおかしくない頃合いなのだが……。
「嫌な予感がするわ。二人とも、行きましょ」
表情をやや険しくする姉に頷いて、その背中を追う。
僕も同じ感想だ。どうにもキナ臭い。
「アウスさんは大丈夫でしょうか……」
「きっと無事だよ。彼、凄腕だし」
不安そうにつぶやくチサの手に小さく触れて、僕は空元気に似た励ましを口にする。
それが自分にとって都合の良い、希望的観測であるということをわかっていながら。
日がすっかり落ちて、夜。
転移装置がある遺跡で野営を張ることとなった僕は、二人に考えを伝える。
「それはあたしも考えてたのよね。【疑似迷宮核】がない以上、天然の【迷宮核】を使うしかないわ」
「ですが、三人で迷宮探索は危険が過ぎるかと」
「そうね。いくらあたし達でも危ないと思う」
やや猪突猛進なところがある姉も、こと冒険に関しては慎重で冷静だ。
「購入を視野に入れるのもありかもしれない。そんなに大きなものでなくてもいいと思うし」
「この時代の【迷宮核】ってどのくらいの値段なのかしら……」
「市場調査は行ったのですが、【迷宮核】まで気が回りませんでした。申し訳ありません」
しゅんとするチサの頭をそっと撫でやって、僕は首を振る。
「いや、そういうのは僕が気を回すべきだったんだ。気にしないで」
【迷宮核】は四十年後だとかなり高騰していて、小指の先サイズでも金貨一千枚はくだらない。
産出地である迷宮のほとんどが、最深部まで攻略されてしまっているからだ。
だが、この時代であればまだ未攻略で停止前の迷宮がそこそこに残っており、それらが生み出す小迷宮もそれなりに存在しているはず。
この辺りだと、一番近くて『ベルベティン大森林』。
南に足を延ばせば『サルヴァン都市遺跡群』がある。
となれば、【迷宮核】の値段も多少は落ち着いているはずだ。
……僕らの時代に比べれば、だけど。
「どっちにしろ、それ以外の修復にもまだ少し機材が足りない。だから、いったん領都に戻ろうと思うんだけど、いいかな?」
「そうね。記録も提出しなきゃいけないし、走蜥蜴もさっさと金に換えてしまいたいわ。報酬だって受け取らなきゃ」
やはり、金銭的な問題を解決するにも領都に行く必要がありそうだ。
「ただ、僕がいると留まるのも大変だよね……」
僕の『星証痕』が『一ツ星』である以上、宿に泊まるのは難しい。
前回はウィルソン氏の伝手で行商人用の共用民家に泊めてもらったが、今回はそうはいかない。
「ま、それに関しては手があるから問題ないわ」
「そうなの?」
「そうなのよ」
自信満々な姉をやや不審に思いながらも、僕は頷く。
「なら、ここを撤収して領都に向かおう」
「はい。撤収準備はお任せください」
「ほとんど僕の魔法道具だから、チサこそ休んでていいよ」
「そうは参りません。……では、二人でしましょう。ね、ノエル」
そう言って、僕の手を引くチサ。
それを見ていた姉が、小さく首をひねる。
「ねえ……二人とも、なにかあったわけ?」
「何もないよ」
「何もございません」
思わずハモってしまって、チサと二人で顔を見合わせて苦笑する。
それを見た姉が、へにょりとして小さくため息をついた。
「……ちょっと背中を押しすぎたかしら」
◇
領都への帰路は、大したトラブルもなく終えた。
大した……というのはやはり走蜥蜴による襲撃が二度あった、という意味である。
街道を行くものを無差別に襲っているのか、いかにも冒険者然とした僕らの前にも平気で姿を現し、襲ってくる走蜥蜴の行動はやはりやや異常だ。
この様子だと、行商人や旅人にも被害が出ている可能性はかなり高い。
アウスの書状は、もうとっくの昔に届いているはずなので早いところ対処をすればいいのに……などと考えながら城壁の関所の列に並ぶ。
前回はウィルソンの護衛ということで紛れ込んだが、今回は冒険者証があるので堂々とここを通ることができる。
「……ん? 君達は……」
「何よ。疲れてんだからさっさと通してくれない?」
半刻ほど待って、ようやく順番が回ってきたと思ったら僕らの冒険者証を確認した門番が、顔色を少し変えた。
表情からするに、どうにもトラブルの予感がする。
「東スレクト村の商人、ウィルソンの依頼を受けたのは君達で間違いないか?」
「そうよ。正式な記録の事なら、このあと提出に行くわ。何か問題でもあるわけ?」
やや剣呑な姉に気圧されながらも、門番が向き直る。
「詳しくはこちらで把握していないが、その依頼報告について聞きたいことがあると冒険者ギルドから要請がきている。すぐに向かってくれ」
門番の言葉に、僕たちは顔を見合わせる。
僕は冒険者になってまだ日が浅いのでよくわからないが、姉も不思議そうにしているところを見ると、これが珍しいことであるというのは理解できた。
「いいわ。どうせ完了報告に行くところだったし。教えてくれてありがと」
「いいや、こちらこそ。時間をもらってしまってすまなかった」
そう会釈する門番にこちらも会釈を返し、領都へ足を踏み入れる。
「……人が多ございますね」
「これは、予想が当たったかな」
ガデスの城門付近はいわゆる商人たちのためのエリアだ。
馬車馬を世話するための厩舎と馬車を収める広場を備えた、商人用の宿が立ち並んでおり、普段もにぎやかだが……今はさらに人が溢れかえっている。
ガデスに留まる商人や旅人が増え、パンクしているのだ。
何故か?
やはり、凶暴化した走蜥蜴に対する不安によるものだろう。
つまり、大走竜をいまだ討伐できていないということだ。
東スレクト村を発ってから十日。
そろそろ領軍や冒険者による討伐部隊が対処していてもおかしくない頃合いなのだが……。
「嫌な予感がするわ。二人とも、行きましょ」
表情をやや険しくする姉に頷いて、その背中を追う。
僕も同じ感想だ。どうにもキナ臭い。
「アウスさんは大丈夫でしょうか……」
「きっと無事だよ。彼、凄腕だし」
不安そうにつぶやくチサの手に小さく触れて、僕は空元気に似た励ましを口にする。
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