ヴァンパイア様は溺愛すぎる

可愛すぎる

詩穂さんが去ったあと、この部屋には沈黙が続いた。
それを破ったのは、
「････喧嘩、ダメか？」
颯汰さん。
今にも消え入りそうな声で問いかけてきた彼に酷く安堵した。
ああ、まだこの人は私の話をきいてくれる。　
それだけでとても安心したんだ。
「喧嘩は････一概にも悪いことだとは思いません。でも･･･さっきみたいな、殺し合いになりそうなのは嫌･･･です」
素直な気持ちを伝えると、颯汰さんは少し顔をしかめたあと、渋々といった感じで、分かった、と頷く。
それを見て、
ああ、この人は私の意見に耳を傾けてくれてる
と嬉しく思う、自分がいた。
すると、颯汰さんがこちらに歩み寄り、私を抱き上げる。
あまりにも自然すぎて、この状況についていくのに数秒かかった。
え、っと･･･？
「真優華と居れなくて、寂しかった。だから、今日は一緒に寝てくれ」
子犬が････子犬がここにいる！
なんか、子犬さんがおねだりするような目でこちらを見ていた。
ヤバい････これは反則！可愛すぎる～！！
その可愛さに負けて、コクンと頷いてしまった。