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スピンオフ(心の物語り)
帰国
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正月に帰ってきてから数ヶ月後、俺はまた日本に戻ってきた。
新しく家を借りて実家から出てきた日の事、夜行バスを降りて人気もまばらな繁華街を歩いて近道をしようと、細い路地に入っていくと綺麗な金髪男の子が倒れていた。
「大丈夫ですか…!?」
「う…っ、あ…大丈夫…」
サラッとした髪の隙間から覗いた目はものすごく綺麗で、肌も白く透き通ってて一瞬女の子と見間違うくらい。
けどよく見れば、所々痣みたくなってて口の端は切れて血が滲んでいた。
「ってぇ…」
「怪我してるじゃん…っ、立てる?」
親切心で手を差し出せば、余計なお世話とばかりにらその手を思いっきり振り払われた。
「触んなっ…ほっといてくれよ…」
「ほっとけないよ…家どこ?」
「…家なんてねぇよ」
「えっ…」
「だからほっとけって言ってんじゃん…それとも何…?お兄さん俺の事買ってくれんの?」
綺麗な瞳が鋭く光ると下から睨みつけるように俺を捉えて、ニヤリと口角を上げるけど…どっか寂しそう。
…てか、この人によく似た人…俺知ってる…
そうだ、この感じ…あの頃の将吾そっくり。
「買ったら…君が救われるの?」
「は?なんだよそれ…っ」
「やめなよ…そういうの…」
「余計なお世話なんだよっ…なんも知らないくせに…っ!お前に何がわかんだよ…っ」
うーん、なんで俺ってこういう人に引っかかっちゃうんだろう…
そして世話を焼かずにはいられない性分なんだ。
さて、どうしようかと悩んでいると、バタバタと足音を立てて走ってくる音にその子が立ち上がり逃げ出そうとするから、咄嗟に捕まえて一緒に走って逃げた。
「なっ…んだよっ」
「早くっ、こっち…」
そして路地を曲がって追ってくる人が見えなくなってから、俺はある提案をした。
「はぁっ…はぁ、巻けたかな…?」
「はぁっ…マジで余計なことすんなっ…」
「ねぇ、とりあえず俺ん家来る?』
「は?あんた頭大丈夫?」
「ちょっと興味あるんだよね…こういうの…それにちょったタイプだし?」
「あ?あぁ…なんだ、あんたもこっちの人間か…」
厳密に言えばそっちの人間ではないけれど、将吾によく似たこの人を放っておく事が出来なかっただけ。
俺が全てどうにかしできることではないだろうけど、とりあえず今日を凌ぐことは出来るはず…
あまり乗り気ではないその子の手を引き無理やりタクシーに乗せて、新しいアパートの前で降ろしてもらうと半ば強引に部屋に連れ込んで話を聞いた。
「ねぁ…何ががあったの」
「関係ねぇだろ…」
「話してくれたっていいじゃん?一応助けたんだから…」
「誰も助けてくれなんて言ってないっ!」
「じゃあ今日寝るとこなかったらどうするつもりだったの?」
「…っ、それは…」
床にぺたりと座り俯く彼の瞳がゆらゆらと揺れる…
無理に聞くのも可哀想かなと思い細かい事を聞くのはとりあえずやめた。
「まぁいっか!とりあえずお風呂入る?それから怪我の手当しよっか?」
「風呂は…いい…もう入ったし…」
「…そっか、じゃあちょっとまって」
まだ運んだだけで片付け終えてないダンボールを開け、救急道具を探すがそもそもそんなものがあったかどうかも曖昧で、仕方なくティッシュを取り出し水に浸し口元の血を拭った。
「い…っっ」
「ごめん、染みるよね…」
「や…ありが…とぅ…」
頬を赤らめる彼がだんだん可愛いく見えてきて、少し胸がキュンとした…
「あ、俺シャワーだけ軽く浴びてくるからさ、ベット使っていいから寝てていいよ」
「…あのさ」
「ん?」
「なんでそんな平気なんだよ…」
「え?何が?」
「俺…このままお前の財布とか持って逃げてもいいんだよ?」
「えっ!?そんなこと考えてたの!?」
「そういうやつかも知んねぇだろ!?そう思わないのかよ!」
「あ…うん。思ってなかった…」
「ばっかじゃねぇの!?だからお人好しは嫌いなんだよ…っ」
ぷいっと目を逸らした彼の背中はどっかやっぱ寂しそうで、でも何か分からないけどそんなことできる人じゃないって感じて、俺は彼を信用する事にした。
「あ、持っていくなら現金だけにして?どっちみちそんなに入ってないからさ。じゃあ入ってくるね」
「は?お前…っ!?ちょっ…何なんだよ…」
戸惑う彼を部屋に一人置き去りにして、俺はとりあえずシャワーを浴びてくることにした。
やっぱりなんか似てるなぁ…
当時の将吾は家こそあったものの、人との関わりを避けてる気がしたしあまり心を開いて貰えなかった。
危なっかしくて素っ気なくて…なのに人懐っこくて甘えたで…
なんか思い出したら会いたくなってきちゃったなぁ。
新しく家を借りて実家から出てきた日の事、夜行バスを降りて人気もまばらな繁華街を歩いて近道をしようと、細い路地に入っていくと綺麗な金髪男の子が倒れていた。
「大丈夫ですか…!?」
「う…っ、あ…大丈夫…」
サラッとした髪の隙間から覗いた目はものすごく綺麗で、肌も白く透き通ってて一瞬女の子と見間違うくらい。
けどよく見れば、所々痣みたくなってて口の端は切れて血が滲んでいた。
「ってぇ…」
「怪我してるじゃん…っ、立てる?」
親切心で手を差し出せば、余計なお世話とばかりにらその手を思いっきり振り払われた。
「触んなっ…ほっといてくれよ…」
「ほっとけないよ…家どこ?」
「…家なんてねぇよ」
「えっ…」
「だからほっとけって言ってんじゃん…それとも何…?お兄さん俺の事買ってくれんの?」
綺麗な瞳が鋭く光ると下から睨みつけるように俺を捉えて、ニヤリと口角を上げるけど…どっか寂しそう。
…てか、この人によく似た人…俺知ってる…
そうだ、この感じ…あの頃の将吾そっくり。
「買ったら…君が救われるの?」
「は?なんだよそれ…っ」
「やめなよ…そういうの…」
「余計なお世話なんだよっ…なんも知らないくせに…っ!お前に何がわかんだよ…っ」
うーん、なんで俺ってこういう人に引っかかっちゃうんだろう…
そして世話を焼かずにはいられない性分なんだ。
さて、どうしようかと悩んでいると、バタバタと足音を立てて走ってくる音にその子が立ち上がり逃げ出そうとするから、咄嗟に捕まえて一緒に走って逃げた。
「なっ…んだよっ」
「早くっ、こっち…」
そして路地を曲がって追ってくる人が見えなくなってから、俺はある提案をした。
「はぁっ…はぁ、巻けたかな…?」
「はぁっ…マジで余計なことすんなっ…」
「ねぇ、とりあえず俺ん家来る?』
「は?あんた頭大丈夫?」
「ちょっと興味あるんだよね…こういうの…それにちょったタイプだし?」
「あ?あぁ…なんだ、あんたもこっちの人間か…」
厳密に言えばそっちの人間ではないけれど、将吾によく似たこの人を放っておく事が出来なかっただけ。
俺が全てどうにかしできることではないだろうけど、とりあえず今日を凌ぐことは出来るはず…
あまり乗り気ではないその子の手を引き無理やりタクシーに乗せて、新しいアパートの前で降ろしてもらうと半ば強引に部屋に連れ込んで話を聞いた。
「ねぁ…何ががあったの」
「関係ねぇだろ…」
「話してくれたっていいじゃん?一応助けたんだから…」
「誰も助けてくれなんて言ってないっ!」
「じゃあ今日寝るとこなかったらどうするつもりだったの?」
「…っ、それは…」
床にぺたりと座り俯く彼の瞳がゆらゆらと揺れる…
無理に聞くのも可哀想かなと思い細かい事を聞くのはとりあえずやめた。
「まぁいっか!とりあえずお風呂入る?それから怪我の手当しよっか?」
「風呂は…いい…もう入ったし…」
「…そっか、じゃあちょっとまって」
まだ運んだだけで片付け終えてないダンボールを開け、救急道具を探すがそもそもそんなものがあったかどうかも曖昧で、仕方なくティッシュを取り出し水に浸し口元の血を拭った。
「い…っっ」
「ごめん、染みるよね…」
「や…ありが…とぅ…」
頬を赤らめる彼がだんだん可愛いく見えてきて、少し胸がキュンとした…
「あ、俺シャワーだけ軽く浴びてくるからさ、ベット使っていいから寝てていいよ」
「…あのさ」
「ん?」
「なんでそんな平気なんだよ…」
「え?何が?」
「俺…このままお前の財布とか持って逃げてもいいんだよ?」
「えっ!?そんなこと考えてたの!?」
「そういうやつかも知んねぇだろ!?そう思わないのかよ!」
「あ…うん。思ってなかった…」
「ばっかじゃねぇの!?だからお人好しは嫌いなんだよ…っ」
ぷいっと目を逸らした彼の背中はどっかやっぱ寂しそうで、でも何か分からないけどそんなことできる人じゃないって感じて、俺は彼を信用する事にした。
「あ、持っていくなら現金だけにして?どっちみちそんなに入ってないからさ。じゃあ入ってくるね」
「は?お前…っ!?ちょっ…何なんだよ…」
戸惑う彼を部屋に一人置き去りにして、俺はとりあえずシャワーを浴びてくることにした。
やっぱりなんか似てるなぁ…
当時の将吾は家こそあったものの、人との関わりを避けてる気がしたしあまり心を開いて貰えなかった。
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