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第三章 新生活始めました

なんでお前が!?

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クッキーを携えて家に帰ると、乱雑に脱ぎ捨ててある靴が余分に二足転がっていて、何やらリビングが騒がしい。

こういうことは今までになかったら、どういう事だ?と恐る恐るリビングを覗いてみると、りつの他に見慣れた人が一人…


「ただいま…」

「おぅ!おかえりっ」

「おぅ、先輩おかえりっ!」


ちょっと待て…!?
何で健太が来てんだよ!
俺、聞いてないんですけど!?

普通に仲が良いことくらいわかってるけど、俺だってこの後の段取りを色々考えてたのに全部台無しじゃん!

とりあえず健太にこんな物見つかったら、どんなにからかわれるかわかったもんじゃないし、袋に入ってるクッキーを見つからないように寝室に隠して、手を洗いに再びリビングを通過する。

二人はゲームに夢中で、りつも俺には興味なさげで全く気が付きもしない。

頑張って作ったのに、それはそれでなんか腹が立つ。
泣いて喜ぶとか想像して、ニヤケてた俺が一番キモイじゃん。

手を洗い終わってまたリビングを通過すると、やられた~とか言いながら盛り上がってる二人が何だか羨ましくなって、だったらもっと隼人と一緒にいればよかったなんて、急いで帰ってきたことを後悔した。


「将吾ぉ、隼人の試食どうだった?」

「別に…普通に美味かったよ」

「いいなぁ、俺も今度食べさせてよぉ」

「勝手に食いに行けば?」
 

嫌味混じりに適当に返せば、今度は健太が食い気味に攻めてくるから、返事もせずに黙ってればりつが勝手に話を続ける。


「なに?何が食べれんの?」

「ケーキとか甘い物♡」

「へぇ~!先輩って甘いの好きだっけ?」

「あれ?健太は隼人の事知らないっけ?将吾の幼なじみのさぁ」

「うーんわかんねぇけど、ケーキは食いてぇ!」


そしてまた大笑いし始める仲の良い二人についていけなくて、俺は居場所を失って寝室に逃げ込もうとした。


「先輩もゲームやんね?」

「いい…寝る」

「将吾?やんないの?」

「いい!寝るから起こすなよっ…!」


寝室の扉をバタンと閉めてベットに潜り込むと、袋から甘い香りがする。
何を作ろうか、どうやって渡そうか…

今日の為に結構考えたのに、全然上手くいかないじゃん。

もう、こうなったらふて寝だ…っ!
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