16 / 32
綺沙羅続き(仮)
16。呪いを治す
しおりを挟む
「やぁ君達、順調に強くなってるようだね」
洋文を見つけて会うと笑ってそう話す。綺沙羅は、数子を治せる段階にきた事を話した。
「本当かい?! よ、よし! すぐに病院に行こう!」
洋文は慌てたのか持っていた教材をバタバタと落としてしまう。
「落ち着いてください。慌てなくても大丈夫ですよ!」
綺沙羅は教材を拾い上げ洋文に渡した。そして、一緒に皆で職員室に向かった。
洋文は色々と用事を済ませて車のキーを持って出てきた。
車に乗って病院へ向かうと手続きをしてすぐに数子のいる部屋に向かった。
「あらあら、また来てくれたのね。今日は何のお話をする?」
「今日は数子さんの呪いを治しに来ました」
「え? 本当に? でも……大丈夫なの?」
「ふん、任せろ!」
陸也が魔法を唱えると数子の真っ黒な手足が徐々に元に戻っていく。そして完全に肌色になった。
数子は恐る恐る手足を動かしてみる。
「動く……! 手も足も動くわ……!」
数子は喜びに涙した。洋文は感極まって数子を抱きしめる。
「良かった!本当に良かった!」
「ありがとう!本当にありがとう、皆さん!」
号泣する数子と抱きしめる洋文の姿に感動したのか綺沙羅と来夢も貰い泣きしていた。
「お手柄だな、陸也!」
「ふん、てめーに褒められても嬉しくねーな番樹」
「まぁまぁ、僕らの修行の成果だし綺沙羅のプリンも少し役に立ったね」
こうして、数子は無事退院した。元の生活に戻るにはリハビリに通院しなければならないが、それでも苦にならないと言っていた。
「今まで動かなかった分沢山動くつもりしてるの」
そう笑う数子に、洋文が改まって姿勢を正し膝まづいて言った。
「私と結婚して貰えませんか数子さん」
驚いた数子は姿勢を正し、洋文の手を掴んで言った。
「喜んで」
わぁーっと綺沙羅達は拍手した。祝福を受け照れる二人。
この日幸せな時間が訪れていた。
「私もあんな風にプロポーズされたいな」
綺沙羅がボソリと言った。来夢も続く。
「ウチもやで、綺沙羅。ええよなぁ」
優は、ギュッと拳を握りしめて決意を固めたようだった。陸也は知らないフリしている。
洋文、数子の二人の結婚はともかく、魔力を高めて高度な魔法を扱えるようになったのは大きかった。それまでより格段に多くの魔法を使えるようになるからだ。
綺沙羅は神羅の書を開いた。
「わっショーい!」
「書の妖精さん。私達に新しい戦う力を覚えさせてほしいの」
「いいでショ。順番に前に出るでショ」
書の妖精の力で、新たな魔法を覚えていく綺沙羅達。
覚え終わった綺沙羅達だったが、書の妖精は少し気にかかっていることがあるのか、神羅の書を閉じようとした綺沙羅を制した。
「ちょっと待つでショ」
「うん?どうしたの?妖精さん」
「こんなに沢山魔法を覚えてどうするつもりでショ?戦争でもするでショか?」
「ふん、そんなの決まってんだろ。強くなるだけ強くなって誰からも舐められないように……」
「ウチらは守れる力が欲しいんや。守られるのもアリやけど、守ってくれる人が強いとは限らんやろ?」
「俺たちが強くなればそれでみんな守れるからな!」
「悪いことに使うわけじゃないよ。安心して欲しいかな」
陸也を途中で遮って、各々意見を言う。それでも書の妖精は納得しなかった。
「魔法を覚えるのが悪いとは言わないでショ。強い魔法を覚えるのはいいでショ。それより、数を覚えることで悪手を打たないか心配でショ」
「その場にあった魔法を使えるかということ?」
「そういうことでショ。それが出来ないと無益な争いが生まれるでショ」
「その辺は学校で学ぶしかないかな?」
綺沙羅は書の妖精と話しながら、考えていた。確かにこれまで沢山の魔法を書の妖精に覚えさせてもらった。それらは詠唱が必要なものも魔法を思い描けば詠唱できた。
簡潔になるということは、誤射する可能性もあるということだ。
「魔法のコントロールを学びつつ別の手段も考えないとね」
「わかっているならいいでショ」
綺沙羅は本を閉じた。四人プラス一人と相談する。
「真那先生に聞いてみようよ、綺沙羅。僕はそうした方がいいと思う」
「俺もそう思うぞ!あの先生なら間違いはないだろう」
「ウチらが習ってきた学問にはヒントないもんなぁ」
「ふん、大丈夫か?うちの学校」
(綺沙羅、私達だけで悩んでも仕方ないわ。勿論私が教える事もできるけど、それより先生に聞いてみる方がいいと思う)
(炎羅ちゃんはコツを掴んでるんだね)
改めて自分と炎羅の格の違いを思い知り、戦闘は任せてと言われた意味を噛みしめる。
洋文を見つけて会うと笑ってそう話す。綺沙羅は、数子を治せる段階にきた事を話した。
「本当かい?! よ、よし! すぐに病院に行こう!」
洋文は慌てたのか持っていた教材をバタバタと落としてしまう。
「落ち着いてください。慌てなくても大丈夫ですよ!」
綺沙羅は教材を拾い上げ洋文に渡した。そして、一緒に皆で職員室に向かった。
洋文は色々と用事を済ませて車のキーを持って出てきた。
車に乗って病院へ向かうと手続きをしてすぐに数子のいる部屋に向かった。
「あらあら、また来てくれたのね。今日は何のお話をする?」
「今日は数子さんの呪いを治しに来ました」
「え? 本当に? でも……大丈夫なの?」
「ふん、任せろ!」
陸也が魔法を唱えると数子の真っ黒な手足が徐々に元に戻っていく。そして完全に肌色になった。
数子は恐る恐る手足を動かしてみる。
「動く……! 手も足も動くわ……!」
数子は喜びに涙した。洋文は感極まって数子を抱きしめる。
「良かった!本当に良かった!」
「ありがとう!本当にありがとう、皆さん!」
号泣する数子と抱きしめる洋文の姿に感動したのか綺沙羅と来夢も貰い泣きしていた。
「お手柄だな、陸也!」
「ふん、てめーに褒められても嬉しくねーな番樹」
「まぁまぁ、僕らの修行の成果だし綺沙羅のプリンも少し役に立ったね」
こうして、数子は無事退院した。元の生活に戻るにはリハビリに通院しなければならないが、それでも苦にならないと言っていた。
「今まで動かなかった分沢山動くつもりしてるの」
そう笑う数子に、洋文が改まって姿勢を正し膝まづいて言った。
「私と結婚して貰えませんか数子さん」
驚いた数子は姿勢を正し、洋文の手を掴んで言った。
「喜んで」
わぁーっと綺沙羅達は拍手した。祝福を受け照れる二人。
この日幸せな時間が訪れていた。
「私もあんな風にプロポーズされたいな」
綺沙羅がボソリと言った。来夢も続く。
「ウチもやで、綺沙羅。ええよなぁ」
優は、ギュッと拳を握りしめて決意を固めたようだった。陸也は知らないフリしている。
洋文、数子の二人の結婚はともかく、魔力を高めて高度な魔法を扱えるようになったのは大きかった。それまでより格段に多くの魔法を使えるようになるからだ。
綺沙羅は神羅の書を開いた。
「わっショーい!」
「書の妖精さん。私達に新しい戦う力を覚えさせてほしいの」
「いいでショ。順番に前に出るでショ」
書の妖精の力で、新たな魔法を覚えていく綺沙羅達。
覚え終わった綺沙羅達だったが、書の妖精は少し気にかかっていることがあるのか、神羅の書を閉じようとした綺沙羅を制した。
「ちょっと待つでショ」
「うん?どうしたの?妖精さん」
「こんなに沢山魔法を覚えてどうするつもりでショ?戦争でもするでショか?」
「ふん、そんなの決まってんだろ。強くなるだけ強くなって誰からも舐められないように……」
「ウチらは守れる力が欲しいんや。守られるのもアリやけど、守ってくれる人が強いとは限らんやろ?」
「俺たちが強くなればそれでみんな守れるからな!」
「悪いことに使うわけじゃないよ。安心して欲しいかな」
陸也を途中で遮って、各々意見を言う。それでも書の妖精は納得しなかった。
「魔法を覚えるのが悪いとは言わないでショ。強い魔法を覚えるのはいいでショ。それより、数を覚えることで悪手を打たないか心配でショ」
「その場にあった魔法を使えるかということ?」
「そういうことでショ。それが出来ないと無益な争いが生まれるでショ」
「その辺は学校で学ぶしかないかな?」
綺沙羅は書の妖精と話しながら、考えていた。確かにこれまで沢山の魔法を書の妖精に覚えさせてもらった。それらは詠唱が必要なものも魔法を思い描けば詠唱できた。
簡潔になるということは、誤射する可能性もあるということだ。
「魔法のコントロールを学びつつ別の手段も考えないとね」
「わかっているならいいでショ」
綺沙羅は本を閉じた。四人プラス一人と相談する。
「真那先生に聞いてみようよ、綺沙羅。僕はそうした方がいいと思う」
「俺もそう思うぞ!あの先生なら間違いはないだろう」
「ウチらが習ってきた学問にはヒントないもんなぁ」
「ふん、大丈夫か?うちの学校」
(綺沙羅、私達だけで悩んでも仕方ないわ。勿論私が教える事もできるけど、それより先生に聞いてみる方がいいと思う)
(炎羅ちゃんはコツを掴んでるんだね)
改めて自分と炎羅の格の違いを思い知り、戦闘は任せてと言われた意味を噛みしめる。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる