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コーテズにて
第12話
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ヘシーを連れたルブが戻ると、カーラたちは既に美しい光沢を持つ高級な布地を用意して待ち受けていた。
「急な話だったのに来てくれてありがとう。ヘシーと呼んでもいい?私はカーラ・シーズン。こちらは侍女のナラ、エイミ、トイル」
あえて公爵家とは名乗らなかったカーラだが、ハッとした顔を見せたヘシーは気づいたようだ。
侍女たちが微笑んだ。
「それで早速なのだけど」
自己紹介もろくにしないうちに、カーラが本題に入る。
意図を汲んだナラが、用意した生地をテーブルに広げると、ヘシーの目が吸い付いていく。
「美しいシルクですね」
うっとりとするヘシーに見惚れたルブの視線に、ナラが気がついた。
ナラの視線にカーラが気づくとニヤリ、それを追ったエイミも面白いものを見つけたように口角を歪める。
トイルだけは、まだスケッチ帳に夢中のようだ。
「これを仕立てるのですか?どの、どのドレスがいいでしょう?」
預けてあったスケッチ帳をトイルから受け取ったヘシーが、頬を紅潮させながらカーラに訊ねた。
「ええ。さっきサンプルのドレスを見てね、貴方に仕立ててもらいたいと思ったから急いで用意したのよ。そうねえ、この生地なら前の方のページにあったのはどうかしら?」
何枚かスケッチ帳を捲ったカーラが目当てのデザインを見つけると、出来上がりを想像した女性陣は満面の笑顔を浮かべた。
「かしこまりました!では早速採寸を」
「ちょっと待って!その前にまず、ここをどういう店にするかを説明させて。
この建物にカフェとヘアサロン、ドレスや靴、アクセサリーのアトリエを集めて開店するの。
遠方から来る貴族の中には、タウンハウスを持たない家門もあって、そういう王都に不慣れな方にも、城や王都に住まう貴族のパーティーに安心して出られるよう、総合的なコーディネートをこちらで出来るようにするつもり」
貴族にまったく接することのない平民だったら、カーラの話は何のことやらわかりにくかっただろう。
裏方の針子とはいえ、貴族相手の高級アトリエに勤めていたヘシーだから、タウンハウスが何かとか、パーティーに呼ばれると衣装を不安に思う貴族がいることなども理解してくれるに違いない。
カーラの考えどおり、ヘシーが頷いて、カーラを見つめた。
「ヘアサロンやアクセサリー、カフェの手配は出来たのだけど、ドレスだけが決められなかったの。カーラ・シーズンが見出した新進デザイナー!と売り出したかったのだけど、なかなか見つからなくて」
ふっと上品に微笑んだカーラが、ヘシーに語りかけた。
「ねえ、私の店の専属デザイナーにならない?」
「は、は?わたしが?え?わたしお針子ですよ、わたしでいいんですか?」
「ええ。貴女がいいの!このスケッチ帳を見たらみんな夢中になると思うもの。遠方からの方だけじゃなく、王都のレディーたちも気に入るに違いないわ!貴女と私で流行を作りましょうね」
「急な話だったのに来てくれてありがとう。ヘシーと呼んでもいい?私はカーラ・シーズン。こちらは侍女のナラ、エイミ、トイル」
あえて公爵家とは名乗らなかったカーラだが、ハッとした顔を見せたヘシーは気づいたようだ。
侍女たちが微笑んだ。
「それで早速なのだけど」
自己紹介もろくにしないうちに、カーラが本題に入る。
意図を汲んだナラが、用意した生地をテーブルに広げると、ヘシーの目が吸い付いていく。
「美しいシルクですね」
うっとりとするヘシーに見惚れたルブの視線に、ナラが気がついた。
ナラの視線にカーラが気づくとニヤリ、それを追ったエイミも面白いものを見つけたように口角を歪める。
トイルだけは、まだスケッチ帳に夢中のようだ。
「これを仕立てるのですか?どの、どのドレスがいいでしょう?」
預けてあったスケッチ帳をトイルから受け取ったヘシーが、頬を紅潮させながらカーラに訊ねた。
「ええ。さっきサンプルのドレスを見てね、貴方に仕立ててもらいたいと思ったから急いで用意したのよ。そうねえ、この生地なら前の方のページにあったのはどうかしら?」
何枚かスケッチ帳を捲ったカーラが目当てのデザインを見つけると、出来上がりを想像した女性陣は満面の笑顔を浮かべた。
「かしこまりました!では早速採寸を」
「ちょっと待って!その前にまず、ここをどういう店にするかを説明させて。
この建物にカフェとヘアサロン、ドレスや靴、アクセサリーのアトリエを集めて開店するの。
遠方から来る貴族の中には、タウンハウスを持たない家門もあって、そういう王都に不慣れな方にも、城や王都に住まう貴族のパーティーに安心して出られるよう、総合的なコーディネートをこちらで出来るようにするつもり」
貴族にまったく接することのない平民だったら、カーラの話は何のことやらわかりにくかっただろう。
裏方の針子とはいえ、貴族相手の高級アトリエに勤めていたヘシーだから、タウンハウスが何かとか、パーティーに呼ばれると衣装を不安に思う貴族がいることなども理解してくれるに違いない。
カーラの考えどおり、ヘシーが頷いて、カーラを見つめた。
「ヘアサロンやアクセサリー、カフェの手配は出来たのだけど、ドレスだけが決められなかったの。カーラ・シーズンが見出した新進デザイナー!と売り出したかったのだけど、なかなか見つからなくて」
ふっと上品に微笑んだカーラが、ヘシーに語りかけた。
「ねえ、私の店の専属デザイナーにならない?」
「は、は?わたしが?え?わたしお針子ですよ、わたしでいいんですか?」
「ええ。貴女がいいの!このスケッチ帳を見たらみんな夢中になると思うもの。遠方からの方だけじゃなく、王都のレディーたちも気に入るに違いないわ!貴女と私で流行を作りましょうね」
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