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コーテズにて
第6話
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カーラがシルベスで思いついたこと。
髪飾りとヘアサロン、カフェだけでなく、ドレスや靴、小物までトータルコーディネートしようと。
そのためにはブティックの手助けがいるが・・・。
「今既に人気のブティックより、これから人気が出そうな新人デザイナーがいいのよね」
「それは何故ですか?」
「既存の人気ブティックは、そんなことする必要も余裕もないでしょ?今だって予約すら数ヶ月待ちだったりするのだもの。それに誰も知らない新人を見つけて、私が人気を上げられたら楽しいと思わない?ね!」
カーラの口の端だけがにんまりと上がる。
それが何とも黒さを含んだ悪そうな笑みだと本人は気づいていないようだが、エイミはいつか注意しようと思っていたことを思い出す。
「カーラ様。その笑い方、腹黒そうにしか見えませんからお止めになったほうがよろしいですよ」
「え?そんなこと」
「そんなことございますから。あの妖精のように美しいキャメイリア様がご覧になったらお付き合いを止めたくなってしまわれるかも」
「ええっ?そんなに?」
最初は失礼な!と剥れかけたカーラだが、そんな顔をしているとキャメイリアに嫌われると言われると豹変する。
「嘘でしょ?私そんなに酷かった?もう絶対しない!もししてたらすぐに教えてよエイミ!」
それを見ていたルブも思わずニヤリ。
(キャメイリア様は我らの伝家の宝刀だな)
怖いものなしのカーラに唯一の弱味と言えそうなものが見つかり、侍女や護衛たちはそれ以降カーラを諌めるときはキャメイリア様が!と持ち出すようになったとかならなかったとか。
さて一月後。
カーラの計画の最終段階「新人デザイナーを探せ」が難航していた。
フル回転したアルトスのおかげで、ヘアサロンやカフェももういつでも開店できそうなのだが、カーラが気に入るデザイナーは未だ見つかっていない。
「どんなところに行けば新人デザイナーに会えるかしら」
「そうですねえ・・・、やっぱりブティックじゃないですか?」
「・・・ブティックで有望なデザイナー紹介してって言って、紹介してくれると思う?」
言ったエイミが、あっさり首を振って否定する。
「ないでしょうね。有望ならそこで囲いますもの」
「または潰す」
ボビンが口を挟んだ。
「あらボビン、久しぶり!シルベスはどうだった?」
「これをお預かりして参りましたよ」
胸のポケットから取り出した封筒をひらひらと見せる。
手を伸ばしたカーラの指先に差し出されたそれには、赤いヴァーミル侯爵家の封蝋が押されていた。
「ノアラン様がコーテズにいらっしゃるのですって・・・。ん?きゃあああっ!キャメイリア様と一緒にいらっしゃるのですってぇぇぇ!」
いきなりオクターブが上がった声で絶叫する。
(伝家の宝刀、来た)
侍女たちは、美しい微笑みながらカーラを掌で転がす月の女神キャメイリアに、ありがたい気持ちで手を合わせていた。
髪飾りとヘアサロン、カフェだけでなく、ドレスや靴、小物までトータルコーディネートしようと。
そのためにはブティックの手助けがいるが・・・。
「今既に人気のブティックより、これから人気が出そうな新人デザイナーがいいのよね」
「それは何故ですか?」
「既存の人気ブティックは、そんなことする必要も余裕もないでしょ?今だって予約すら数ヶ月待ちだったりするのだもの。それに誰も知らない新人を見つけて、私が人気を上げられたら楽しいと思わない?ね!」
カーラの口の端だけがにんまりと上がる。
それが何とも黒さを含んだ悪そうな笑みだと本人は気づいていないようだが、エイミはいつか注意しようと思っていたことを思い出す。
「カーラ様。その笑い方、腹黒そうにしか見えませんからお止めになったほうがよろしいですよ」
「え?そんなこと」
「そんなことございますから。あの妖精のように美しいキャメイリア様がご覧になったらお付き合いを止めたくなってしまわれるかも」
「ええっ?そんなに?」
最初は失礼な!と剥れかけたカーラだが、そんな顔をしているとキャメイリアに嫌われると言われると豹変する。
「嘘でしょ?私そんなに酷かった?もう絶対しない!もししてたらすぐに教えてよエイミ!」
それを見ていたルブも思わずニヤリ。
(キャメイリア様は我らの伝家の宝刀だな)
怖いものなしのカーラに唯一の弱味と言えそうなものが見つかり、侍女や護衛たちはそれ以降カーラを諌めるときはキャメイリア様が!と持ち出すようになったとかならなかったとか。
さて一月後。
カーラの計画の最終段階「新人デザイナーを探せ」が難航していた。
フル回転したアルトスのおかげで、ヘアサロンやカフェももういつでも開店できそうなのだが、カーラが気に入るデザイナーは未だ見つかっていない。
「どんなところに行けば新人デザイナーに会えるかしら」
「そうですねえ・・・、やっぱりブティックじゃないですか?」
「・・・ブティックで有望なデザイナー紹介してって言って、紹介してくれると思う?」
言ったエイミが、あっさり首を振って否定する。
「ないでしょうね。有望ならそこで囲いますもの」
「または潰す」
ボビンが口を挟んだ。
「あらボビン、久しぶり!シルベスはどうだった?」
「これをお預かりして参りましたよ」
胸のポケットから取り出した封筒をひらひらと見せる。
手を伸ばしたカーラの指先に差し出されたそれには、赤いヴァーミル侯爵家の封蝋が押されていた。
「ノアラン様がコーテズにいらっしゃるのですって・・・。ん?きゃあああっ!キャメイリア様と一緒にいらっしゃるのですってぇぇぇ!」
いきなりオクターブが上がった声で絶叫する。
(伝家の宝刀、来た)
侍女たちは、美しい微笑みながらカーラを掌で転がす月の女神キャメイリアに、ありがたい気持ちで手を合わせていた。
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