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コーテズにて
第5話
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裏通りというから狭い道に入るのかと思ったら、馬車が行き合うのに十分な広さの通りに出た。
古めかしいが。二階建ての煉瓦造りの建物の前で手を振る男がいる。
「エイサー!久しぶりね」
「カーラ様、またもお声がけくださいましてありがとうございます」
「ここ?立地はまあいいわね」
「そう仰って下さると思っておりました。まずは裏にある車止めからお見せしましょう」
エイサーと呼ばれた不動産を扱う男は、カーラから手紙で家具工房にする建物を探せと依頼され、比較的広めの土地を持つ、馬車の出入りに利便のよい立地を用意していた。
かなり古いが、その古さも小洒落たように見せられる煉瓦造りの建物がついており、家具工房なら悪くないのではないか。これもあの令嬢なら気に入りそうだとほくそ笑みながら。
「ここから馬車の出入りができ、裏からすぐに工房に使えるスペースがありまして」
建物は通りに面したスペースが店にも使えるように作られていて、裏手にまわると、広い馬車置き場と厩舎があって、家具や材木を積み下ろしするのに具合が良さそうだ。
ここから出入りしやすい部屋が、工房にちょうどよい広さで、ぐるりと見回したアルトスもうんうんと頷きながら検分している。
「この店のスペースをどんな内装にするかは、あとで考えましょう!工房は私にはわからないからアルトスが見て決めて。あとは二階をアルトスたちの居住スペースにして住めばいいわ」
「あっ!カーラ様、ぜひこちらもご覧下さい」
エイサーに呼ばれて移動すると、階段が上がるものと下りるものと設えられている。
「実はここには地下室がありまして、倉庫などにもご利用頂けるのではないかと思いまして」
言い終わる前にアルトスが階段を降りていくと、わぁ!とくぐもった感嘆の声が上がった。
「アルトス?」
カーラが壇上から声をかけると、ひょこっと顔を出してカパッと口を開けて笑ってみせた。
「すっごくいいですよ!」
カーラも下りてみると、暗くジメジメした部屋ではなく、半地下で窓もあり、陽の光が差し込む明るいスペースだった。
「ここ、表の道より裏側が少し低いので、こういう造りにしたようです」
窓から外を見ると、空と花壇が見える
「そういえば裏手に花壇があったわね」
「表から地下室が覗かれないように作ったと聞きましたよ」
アルトスはとても気に入ったようだ。
「上の自分たちの部屋は見なくていいの?」
「あ!ではちょっと覗いて来ます」
ドタドタと足音を立ててアルトスと弟子が駆け上がり、すぐに下りてくる。
答えを聞くまでもない、その顔を見てカーラは即決した。
「それで、土地と建物でおいくらだったかしら?」
迷うことなく家具工房と猫用品の店にする建物を手に入れたカーラは、早速外装・・・は煉瓦に蔦を這わせるくらいにして、内装も床板を磨き、白い漆喰を壁に塗るだけにした。
床や壁を直すのはエイサーが頼んだ職人だ。
アルトスはカーラに言われたように三人の木工職人と一人の見習いを雇い、ヘアサロンと猫用品店のディスプレイ用の棚や商品にする猫足家具などの生産を開始。
着々と準備が整っていく中、カーラは最後の協力者を探し始めた。
古めかしいが。二階建ての煉瓦造りの建物の前で手を振る男がいる。
「エイサー!久しぶりね」
「カーラ様、またもお声がけくださいましてありがとうございます」
「ここ?立地はまあいいわね」
「そう仰って下さると思っておりました。まずは裏にある車止めからお見せしましょう」
エイサーと呼ばれた不動産を扱う男は、カーラから手紙で家具工房にする建物を探せと依頼され、比較的広めの土地を持つ、馬車の出入りに利便のよい立地を用意していた。
かなり古いが、その古さも小洒落たように見せられる煉瓦造りの建物がついており、家具工房なら悪くないのではないか。これもあの令嬢なら気に入りそうだとほくそ笑みながら。
「ここから馬車の出入りができ、裏からすぐに工房に使えるスペースがありまして」
建物は通りに面したスペースが店にも使えるように作られていて、裏手にまわると、広い馬車置き場と厩舎があって、家具や材木を積み下ろしするのに具合が良さそうだ。
ここから出入りしやすい部屋が、工房にちょうどよい広さで、ぐるりと見回したアルトスもうんうんと頷きながら検分している。
「この店のスペースをどんな内装にするかは、あとで考えましょう!工房は私にはわからないからアルトスが見て決めて。あとは二階をアルトスたちの居住スペースにして住めばいいわ」
「あっ!カーラ様、ぜひこちらもご覧下さい」
エイサーに呼ばれて移動すると、階段が上がるものと下りるものと設えられている。
「実はここには地下室がありまして、倉庫などにもご利用頂けるのではないかと思いまして」
言い終わる前にアルトスが階段を降りていくと、わぁ!とくぐもった感嘆の声が上がった。
「アルトス?」
カーラが壇上から声をかけると、ひょこっと顔を出してカパッと口を開けて笑ってみせた。
「すっごくいいですよ!」
カーラも下りてみると、暗くジメジメした部屋ではなく、半地下で窓もあり、陽の光が差し込む明るいスペースだった。
「ここ、表の道より裏側が少し低いので、こういう造りにしたようです」
窓から外を見ると、空と花壇が見える
「そういえば裏手に花壇があったわね」
「表から地下室が覗かれないように作ったと聞きましたよ」
アルトスはとても気に入ったようだ。
「上の自分たちの部屋は見なくていいの?」
「あ!ではちょっと覗いて来ます」
ドタドタと足音を立ててアルトスと弟子が駆け上がり、すぐに下りてくる。
答えを聞くまでもない、その顔を見てカーラは即決した。
「それで、土地と建物でおいくらだったかしら?」
迷うことなく家具工房と猫用品の店にする建物を手に入れたカーラは、早速外装・・・は煉瓦に蔦を這わせるくらいにして、内装も床板を磨き、白い漆喰を壁に塗るだけにした。
床や壁を直すのはエイサーが頼んだ職人だ。
アルトスはカーラに言われたように三人の木工職人と一人の見習いを雇い、ヘアサロンと猫用品店のディスプレイ用の棚や商品にする猫足家具などの生産を開始。
着々と準備が整っていく中、カーラは最後の協力者を探し始めた。
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