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夢は交錯する
第28話
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ディルドラのサロンからコテージに戻ると、留守番していた護衛から美しいフラワースタイルの髪を絶賛されたが、何故か女性たちは微妙な顔でおほほと誤魔化した。
その日の午後。
ノアラン・ヴァーミルは、約束の時間にいそいそとカーラが滞在するコテージに現れた。
何度か顔を合わせたことがあったルブが、気づいて中庭に案内する。
「カーラ様はすぐ参りますので、少々お待ち下さい」
晴れ上がった空の下、テーブルにはティーセットが。ティーコゼーを被ったポットがワゴンに置かれ、側に立っていたナラが茶を淹れる支度を始めた。
「ノアラン様!ごきげんよう。本日はお呼びだてしてしまって」
「いえ、こちらこそお招きに預かり、ありがとうございます」
「先日はキャメイリア様との話に夢中になりすぎてしまって、失礼致しました」
「いえ、母も楽しそうでした」
ひとまず互いの腹の探り合いを終えると、早速話したかった話題に切り替わる。
「あのカーラ様、素晴らしい御髪ですね」
「ありがとうございます!シルベスのヘアサロンでやってもらったのですわ」
「ヘアサロン?」
「ご存知ありませんでした?」
「はい、初めて聞きましたね」
「ではお教えいたしますわね」
楽しそうに、シャボンで髪をきれいにしてからオイルを垂らしながら頭のマッサージを行い、終わるとツヤッツヤのツルツルのサラサラになれると力を込めて説明した。
そしてセットスタイルについても。
「そうですか、そんな店があるとは初めて知りました。母上なら知っているだろうか?」
「伺ったときに私もキャメイリア様にお聞きしてみますわ」
ノアランはキラリと目を光らせたカーラにハッとした。
─しまった!また母上の話などしたら!─
カーラは口をムズムズと動かし、ちょっとニヤッと笑うと何かを堪えているような顔に戻り「キャメ」と言いかけたが。
「ん、んん、コホン!私のコーテズの商会の話に戻りますが」
侍女たちの視線にカーラは踏みとどまることができた。
キャメイリアに嫌われないように、ノアランにもそれなりの対応を、でしょ!と視線は言っている。
カーラは可笑しくなった。
知り合った当初、カーラはノアランを素敵な方だと、彼と知り合ったことに浮かれていたはず。
ノアランやヴァーミル侯爵家が装飾品をコーテズで売りたいなら、自分が手伝い、喜んでもらえるようにしたいとも思った。
今だってその気持ちは変わらないのだが、今はキャメイリアにもっと気に入られたい気持ちの方が強くなっているのだ。
─いけない、またキャメイリア様のこと考えちゃった─
「し、商会の話ですが。コーテズの王都に買った建物の一階を髪の装飾品の店にしようと考えていました。
二階は寮と倉庫、三階は私の住居にする予定でした」
「でした?」
「ええ、シルベスでのこの数日で考えが変わりましたの。聞いてくださいますか?」
カーラの瞳がギラギラと煌めいた。
その日の午後。
ノアラン・ヴァーミルは、約束の時間にいそいそとカーラが滞在するコテージに現れた。
何度か顔を合わせたことがあったルブが、気づいて中庭に案内する。
「カーラ様はすぐ参りますので、少々お待ち下さい」
晴れ上がった空の下、テーブルにはティーセットが。ティーコゼーを被ったポットがワゴンに置かれ、側に立っていたナラが茶を淹れる支度を始めた。
「ノアラン様!ごきげんよう。本日はお呼びだてしてしまって」
「いえ、こちらこそお招きに預かり、ありがとうございます」
「先日はキャメイリア様との話に夢中になりすぎてしまって、失礼致しました」
「いえ、母も楽しそうでした」
ひとまず互いの腹の探り合いを終えると、早速話したかった話題に切り替わる。
「あのカーラ様、素晴らしい御髪ですね」
「ありがとうございます!シルベスのヘアサロンでやってもらったのですわ」
「ヘアサロン?」
「ご存知ありませんでした?」
「はい、初めて聞きましたね」
「ではお教えいたしますわね」
楽しそうに、シャボンで髪をきれいにしてからオイルを垂らしながら頭のマッサージを行い、終わるとツヤッツヤのツルツルのサラサラになれると力を込めて説明した。
そしてセットスタイルについても。
「そうですか、そんな店があるとは初めて知りました。母上なら知っているだろうか?」
「伺ったときに私もキャメイリア様にお聞きしてみますわ」
ノアランはキラリと目を光らせたカーラにハッとした。
─しまった!また母上の話などしたら!─
カーラは口をムズムズと動かし、ちょっとニヤッと笑うと何かを堪えているような顔に戻り「キャメ」と言いかけたが。
「ん、んん、コホン!私のコーテズの商会の話に戻りますが」
侍女たちの視線にカーラは踏みとどまることができた。
キャメイリアに嫌われないように、ノアランにもそれなりの対応を、でしょ!と視線は言っている。
カーラは可笑しくなった。
知り合った当初、カーラはノアランを素敵な方だと、彼と知り合ったことに浮かれていたはず。
ノアランやヴァーミル侯爵家が装飾品をコーテズで売りたいなら、自分が手伝い、喜んでもらえるようにしたいとも思った。
今だってその気持ちは変わらないのだが、今はキャメイリアにもっと気に入られたい気持ちの方が強くなっているのだ。
─いけない、またキャメイリア様のこと考えちゃった─
「し、商会の話ですが。コーテズの王都に買った建物の一階を髪の装飾品の店にしようと考えていました。
二階は寮と倉庫、三階は私の住居にする予定でした」
「でした?」
「ええ、シルベスでのこの数日で考えが変わりましたの。聞いてくださいますか?」
カーラの瞳がギラギラと煌めいた。
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