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ローリスの秘密
第15話
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「ところで陛下、先ほどの本当のお子が見つかったらという話でございますが」
ケリンガン・ボルブが口を開く。
「男爵位と固有財産と一部領地を移譲するということでしたが、その者をローリス辺境伯とすることはお考えではないのでしょうか?」
「うむ。辺境伯は今日なろうと思って出来るものではない。幼少よりその任の重みを知り、必要な学びや鍛錬をして来なければ役目を果たすことは出来ぬ。ただその血が流れているだけでは駄目なのだ」
三方の辺境伯たちは、国王が辺境伯という存在を正しく理解してくれていることを知って秘かに感激していた。
「マトウに不信を覚えてから、万一の場合はケリンガンしか託せる者はいないと思うておった」
「ありがたき幸せにございます。身命を賭し、任を果たすことを誓います」
「うむ・・・。ケリンガンは婚約者はいただろうか?」
─来た─
ビルスはびくりとし王の次の言葉を見守っている。ケリンガンの代わりに答えたのはボルブ辺境伯だ。
「いえ、おりませんが、事こうなれば王命の婚約者を受け入れる所存にございます」
「うむ。少し考えさせてくれ」
─え?カーラじゃないのか?─
誰がローリスの辺境伯になろうと夫人はカーラだと言われていたので、ビルスは覚悟していたのだ。
てっきりそう言われると思っていたので、肩透かしを食った気分になったが。
「皆はいつ出立するのだ?」
「「「明朝の予定でございます」」」
「そうか。ケリンガンだけ暫く城に留まってもらいたいのだが」
「ではそのように」
─ケリンガン殿はまるで軍用犬みたいだな─
ビルスは王の言葉にキビキビと反応するケリンガンを見て、そんなことを考えていた。
─カーラとは合わない気がする─
ふたり並ぶ姿が、どうにも想像できないのだ。
─ケリンガン殿にはもっとおとなしそうでいて芯の強い令嬢の方が合いそうなんだがな─
しかし決めるのは王である。
なせすぐにカーラ・シーズンと婚約させると言わなかったのかはわからないが。
娘婿になるかもしれないのだ、ビルスはケリンガンを観察し続けていた。
王がそろそろと腰を上げ、妙に静かな茶会が幕を下ろすと、辺境伯たちはタウンハウスへ引き上げて行ったが、ビルスだけが引き留められた。
「少し相談したいことがある」と。
「以前、ローリスにカーラをやるのは既定路線だと言ったが」
「はい、確かに」
「しかしだ。・・・勝手なことを言うとはわかっているが、今日ケリンガンを見ていて、カーラじゃないと思ってしまったんだ。何故かはわからんが、ケリンガンとカーラの並ぶ姿を想像したら、にあわないというか、違和感を感じてな・・・」
ビルスは驚いた。かなり驚いた!
「なんと!陛下もそう思われましたか」
「ん?ビルスもか!」
「私は陛下がやれと言うなら、勿論カーラをローリスに嫁がせますが」
「ああ、それは私もよくわかっている!
だがなあ、ケリンガンにはやっぱり違うと思わんか?それともカーラを嫁がせたいと言うなら」
「いや、待ってくれ、ください」
「もういつもの口調で話せよビルス!おまえの本音を聞きたいんだから」
「・・・じゃあ、他の令嬢で頼みたい」
王は自分を我と呼ぶのは、臣下の前だけだ。話すうちに緊張も解れた再従兄弟同士は砕けた口調に変わっていた。
ケリンガン・ボルブが口を開く。
「男爵位と固有財産と一部領地を移譲するということでしたが、その者をローリス辺境伯とすることはお考えではないのでしょうか?」
「うむ。辺境伯は今日なろうと思って出来るものではない。幼少よりその任の重みを知り、必要な学びや鍛錬をして来なければ役目を果たすことは出来ぬ。ただその血が流れているだけでは駄目なのだ」
三方の辺境伯たちは、国王が辺境伯という存在を正しく理解してくれていることを知って秘かに感激していた。
「マトウに不信を覚えてから、万一の場合はケリンガンしか託せる者はいないと思うておった」
「ありがたき幸せにございます。身命を賭し、任を果たすことを誓います」
「うむ・・・。ケリンガンは婚約者はいただろうか?」
─来た─
ビルスはびくりとし王の次の言葉を見守っている。ケリンガンの代わりに答えたのはボルブ辺境伯だ。
「いえ、おりませんが、事こうなれば王命の婚約者を受け入れる所存にございます」
「うむ。少し考えさせてくれ」
─え?カーラじゃないのか?─
誰がローリスの辺境伯になろうと夫人はカーラだと言われていたので、ビルスは覚悟していたのだ。
てっきりそう言われると思っていたので、肩透かしを食った気分になったが。
「皆はいつ出立するのだ?」
「「「明朝の予定でございます」」」
「そうか。ケリンガンだけ暫く城に留まってもらいたいのだが」
「ではそのように」
─ケリンガン殿はまるで軍用犬みたいだな─
ビルスは王の言葉にキビキビと反応するケリンガンを見て、そんなことを考えていた。
─カーラとは合わない気がする─
ふたり並ぶ姿が、どうにも想像できないのだ。
─ケリンガン殿にはもっとおとなしそうでいて芯の強い令嬢の方が合いそうなんだがな─
しかし決めるのは王である。
なせすぐにカーラ・シーズンと婚約させると言わなかったのかはわからないが。
娘婿になるかもしれないのだ、ビルスはケリンガンを観察し続けていた。
王がそろそろと腰を上げ、妙に静かな茶会が幕を下ろすと、辺境伯たちはタウンハウスへ引き上げて行ったが、ビルスだけが引き留められた。
「少し相談したいことがある」と。
「以前、ローリスにカーラをやるのは既定路線だと言ったが」
「はい、確かに」
「しかしだ。・・・勝手なことを言うとはわかっているが、今日ケリンガンを見ていて、カーラじゃないと思ってしまったんだ。何故かはわからんが、ケリンガンとカーラの並ぶ姿を想像したら、にあわないというか、違和感を感じてな・・・」
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「ああ、それは私もよくわかっている!
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「いや、待ってくれ、ください」
「もういつもの口調で話せよビルス!おまえの本音を聞きたいんだから」
「・・・じゃあ、他の令嬢で頼みたい」
王は自分を我と呼ぶのは、臣下の前だけだ。話すうちに緊張も解れた再従兄弟同士は砕けた口調に変わっていた。
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