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シルベスでの出会い
第18話
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ヤーリッツの目にも、カーラの姿はただ大好きな装飾品を求めて爆買いしている令嬢にしか見えなかった。
その印象を更に強めるが如く、カーラが続ける。
「コーテズで売られているピンやヘアアクセサリーは本当に酷いものなのです!ピンの側面にギザギザが残ったままなせいで、髪にさすと皮膚を傷つけ、髪を絡めて痛みを与えます。私、シルベスのピンを知るまでは、ピンはそういうものなのだと諦めておりました。
でも違ったのです!
コーテズで作られるピンが粗悪だっただけでしたのよっ!
祖国のダメダメぶりを知ってしまったこの衝撃、おわかりになりますかしら?
もちろん私、コーテズでもシルベスのピンを手に入れようとはしてみましたのよ。でもどの商会が持ってくるピンも、大差はありませんでした。どこのピンなどとはわからないだろうと、適当にコーデスのものを持ってきたのです。
わかるに決まっているというのに!
手に入らないまま、侍女の道具箱のピンが少なくなっていくのを、どれほど恐ろしい思いで見つめていたか!
でも新たなピンが手に入らなかった理由は、ヴァーミルに来て初めてわかりましたわ」
熱弁、である!
「その理由とは?」
やや押されながら、ヤーリッツが促す。
「公爵家に出入りするような商会は、特別な物ならいざ知らず、日常に使い捨てるようなピンを職人がひとり細々と作り、営む店とは取引をしないから見つけられなかったのでしょう」
ノアランがヤーリッツを見た。
その目は、どうだどうだと言っている。
─確かに、裏はなさそうだ。それよりこの洞察力はさすが公爵令嬢というべきか?─
うら若き令嬢が、偶然その価値を見出した品物が自国で買えない理由を察し、それを流通させるために手伝いたいと言っている。
─キャメイリアが心配するようなことはなさそうだ─
そう判断したヤーリッツは、ノアランのやろうとしていることを応援することにした。
「理解しました。
では御令嬢はそのピンがコーテズ王国で、我がヴァーミルの名品として売れると」
「左様でございますわ。勿論貴族社会に拡めるお手伝いは、私が致します」
フンっと鼻を鳴らしたノアランとは違い、海千山千のヤーリッツはそのくらいでは満足しない。
「その対価は?私どもヴァーミルは御令嬢のお手を煩わせる対価を如何ほどご用意すればよろしいのでしょう?」
カーラはきょとんとして、言われたことを理解すると笑いだした。
「そんな対価など不要にございますわ!強いて言うならピンやアクセサリーがいつでも買えるようになる事が、私にとって最高の対価です」
そんな欲のない申し出を信じるほどバカではないと、ヤーリッツは食い下がる。
「御令嬢、それは対価とは申しません。仮に御令嬢が仰るようにものすごく売れて、その後にお約束していなかった対価を求められても困るのです」
失礼な!とナラたちが色めき立ったが、カーラだけは涼しい顔だ。
「ヴァーミル侯爵様、私がピンやヘアアクセサリーをコーテズの社交界に拡めるとしたら!拡まるほどに私は社交界で大きな影響力を持つということですわ。その意味、おわかりでしょう?だからそれが対価、もしかしたら対価の方がはるかに大きいかも知れませんわよ」
その印象を更に強めるが如く、カーラが続ける。
「コーテズで売られているピンやヘアアクセサリーは本当に酷いものなのです!ピンの側面にギザギザが残ったままなせいで、髪にさすと皮膚を傷つけ、髪を絡めて痛みを与えます。私、シルベスのピンを知るまでは、ピンはそういうものなのだと諦めておりました。
でも違ったのです!
コーテズで作られるピンが粗悪だっただけでしたのよっ!
祖国のダメダメぶりを知ってしまったこの衝撃、おわかりになりますかしら?
もちろん私、コーテズでもシルベスのピンを手に入れようとはしてみましたのよ。でもどの商会が持ってくるピンも、大差はありませんでした。どこのピンなどとはわからないだろうと、適当にコーデスのものを持ってきたのです。
わかるに決まっているというのに!
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でも新たなピンが手に入らなかった理由は、ヴァーミルに来て初めてわかりましたわ」
熱弁、である!
「その理由とは?」
やや押されながら、ヤーリッツが促す。
「公爵家に出入りするような商会は、特別な物ならいざ知らず、日常に使い捨てるようなピンを職人がひとり細々と作り、営む店とは取引をしないから見つけられなかったのでしょう」
ノアランがヤーリッツを見た。
その目は、どうだどうだと言っている。
─確かに、裏はなさそうだ。それよりこの洞察力はさすが公爵令嬢というべきか?─
うら若き令嬢が、偶然その価値を見出した品物が自国で買えない理由を察し、それを流通させるために手伝いたいと言っている。
─キャメイリアが心配するようなことはなさそうだ─
そう判断したヤーリッツは、ノアランのやろうとしていることを応援することにした。
「理解しました。
では御令嬢はそのピンがコーテズ王国で、我がヴァーミルの名品として売れると」
「左様でございますわ。勿論貴族社会に拡めるお手伝いは、私が致します」
フンっと鼻を鳴らしたノアランとは違い、海千山千のヤーリッツはそのくらいでは満足しない。
「その対価は?私どもヴァーミルは御令嬢のお手を煩わせる対価を如何ほどご用意すればよろしいのでしょう?」
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