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50話
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ミヒアが練りに練った策略により、ジメンクス伯爵家に二人の使用人が潜り込み、調査が開始された。
数日置きに報告が届くのを読む限り、ジメンクス伯爵自身は息子の計画に加担してはいないようだ。
息子のアレンは最初の結婚から一年で妻が病死し、今はまだ、二度目の自由を謳歌している。
ただ伯爵はそれをよく思わず、早い再婚を勧めている。
「アレンは強く再婚を迫る伯爵に、二年待ってくれたら、いい話が転がり込むと言っていたそうよ。ドレインはどう思う?」
早くもミヒアに使用人の如く呼び捨てされているドレインだが、一向に気にしていない。それどころかうれしそうなのは何故だろうと、ナミリアはふたりを眺めている。
そのナミリアは。
ミヒアに言われたとおりに、ローズリーと会うのは我慢しており、頻繁に届く手紙には断腸の思いで、暫く忙しいから連絡は控えてほしいと書き送った。
レンラ家では、ローズリーとのことは完全にナミリアの自由としていたが、もとよりローズリーを虫が好かないと言っていた母は、ナミリアの判断にほくそ笑み、父は騙されたのだろうローズリーに同情的だった。
「どちらにしてもナミリアさんは、今年も王妃様のコンテストに出品するのでしょ?こちらは私たちに任せて、あなたはロリーンとそれに専念なさいな」
そう。
そろそろ王妃のコンテストが迫っており、ただでさえ工房の経営で忙しいナミリアは、今年のコンテストは見送ろうかと考えていた。
しかしそれを止めたのは、意外なことにドレインだ。
「そもそも私に命令が出たのは、コンテスト受賞者であり、今後の事業にも王妃様が期待されているナミリア嬢が狙われているからなんだ。だからコンテストには絶対に参加したほうがいい」
そう言われたら、悪い気はしないものだ。
ナミリアはドレインの勧めどおり、コンテストの出品案を練り始めた。
「それで、二年待つっていう話だけど」
「まずローズリーが結婚して財産を手に入れるのに一年、エランディアが再婚して財産を手に入れるのにもう一年?」
「やっぱりそうよね。・・・一年か」
ミヒアは何か引っかかるものを感じた。
「ねえドレイン、アレンの亡くなった奥様も嫁いで一年で亡くなったんでしょ?」
「でもそれは病死だから」
「何の病気?」
「え?」
「調べてないの?すぐ調べてきて!毒殺の可能性もよ」
「はーいっ」
こどものような返事をしたかと思うと、ドレインは走って部屋から出て行った。
「まったく騒がしいんだから」
そういうミヒアは笑っている。
新たな後継者となった次男は寄宿学校に行っており、まだ手元に戻るには時間がかかる。
ドレインの気安さがミヒアの寂しさを慰めていた。
「ミヒア様、先ほどのお話しですが本当でしょうか」
「前妻?可能性としてはあるというだけのことよ」
心なしか青ざめたナミリア。
「・・・私怖いです」
ローズリーを信じるあまり、事実を受け入れられなかったナミリアも、さすがにわかってきたようだ。
「大丈夫。私たちがついているのだから心配しないで」
数日置きに報告が届くのを読む限り、ジメンクス伯爵自身は息子の計画に加担してはいないようだ。
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ただ伯爵はそれをよく思わず、早い再婚を勧めている。
「アレンは強く再婚を迫る伯爵に、二年待ってくれたら、いい話が転がり込むと言っていたそうよ。ドレインはどう思う?」
早くもミヒアに使用人の如く呼び捨てされているドレインだが、一向に気にしていない。それどころかうれしそうなのは何故だろうと、ナミリアはふたりを眺めている。
そのナミリアは。
ミヒアに言われたとおりに、ローズリーと会うのは我慢しており、頻繁に届く手紙には断腸の思いで、暫く忙しいから連絡は控えてほしいと書き送った。
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「どちらにしてもナミリアさんは、今年も王妃様のコンテストに出品するのでしょ?こちらは私たちに任せて、あなたはロリーンとそれに専念なさいな」
そう。
そろそろ王妃のコンテストが迫っており、ただでさえ工房の経営で忙しいナミリアは、今年のコンテストは見送ろうかと考えていた。
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そう言われたら、悪い気はしないものだ。
ナミリアはドレインの勧めどおり、コンテストの出品案を練り始めた。
「それで、二年待つっていう話だけど」
「まずローズリーが結婚して財産を手に入れるのに一年、エランディアが再婚して財産を手に入れるのにもう一年?」
「やっぱりそうよね。・・・一年か」
ミヒアは何か引っかかるものを感じた。
「ねえドレイン、アレンの亡くなった奥様も嫁いで一年で亡くなったんでしょ?」
「でもそれは病死だから」
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「調べてないの?すぐ調べてきて!毒殺の可能性もよ」
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新たな後継者となった次男は寄宿学校に行っており、まだ手元に戻るには時間がかかる。
ドレインの気安さがミヒアの寂しさを慰めていた。
「ミヒア様、先ほどのお話しですが本当でしょうか」
「前妻?可能性としてはあるというだけのことよ」
心なしか青ざめたナミリア。
「・・・私怖いです」
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「大丈夫。私たちがついているのだから心配しないで」
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