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26話
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その勢いに飲まれたナミリアは、ただ頷いた。
ロリーンの事情は知らなかったが、そう聞くと、ナミリアは責任重大だと武者震いする。
「まあ大丈夫よ、イールズ商会が見込があると言うのだから。私たちは粛々と準備の手を抜かず、花開く日まで頑張りましょう!」
ひとりで頑張るわけではない。
既にダリアとレレランが、そして新たに加わるレレランの仲間が、東国に負けない品質の生地や糸を作れるように手を尽くしてくれるはずだ。
皆で手を取り合えば、必ず成功できると信じて、ナミリアも自身の胸にさらなる努力を約束した。
イールズ商会にチューラルンゲから数人の女たちが到着したのは、それから十日ほど経ってから。
レレランとの感動の再会はダリアの邪魔であっと言う間に終わり、荷物もかたしていないのに、工房でダリアに技術を見せる羽目になっていた。
それでも誰一人文句を言う者はいない。
何故なら、ダリアが熱狂的な尊敬の念をレレランに向け、同じような尊敬の念を彼女らにも向けていたから。
下賤な労働者として扱われてきたのが、ここに来たら敬われる先生になったのだから驚いたのなんの。
からかわれているのかと疑ったが、レレランはすました顔をしている。
どうやら嘘ではないらしいとわかり始めると、これまたカタコトでダリアの質問に答え始めた。
皆うれしそうだ。
「すごいわ!何を聞くとみんなが答えてくれて、わからないことなんかすぐに無くなりそう!」
ダリアも嬉しそうだった。
「ダリアちゃんの他にもこの国の者を育てないとならないのだけど」
「ええ、なかなかこれという者が見つからなくて」
やる気100%のダリアと比べているのだ。
ハードルが高すぎて、良いと思える者が見つからないのも無理はないのだが。
それでもひとりふたりと見つけ出した原石たちは、ダリアを追うように仕事を夢中で覚え始めている。
「以前ミヒア様が人が大切、人を探すのが一番大変と仰られていた意味がようやくわかりましたわ。半年近く経っても、まだ必要な人材が揃ってないという現実!」
「そうなのよね。まさか私の生徒に声をかけるわけにもねえ」
ロリーンの生徒たちは貴族の令嬢か、裕福な商家の娘たちである。そんな彼女たちと将来結婚する相手も妻を女工にしようとは思わないだろう。
「やっぱりそれは無いわね」
「ダリアに声かけして歩いてもらうのは如何でしょう」
ふと思いついたナミリアの声に、ロリーンはハッとした。
「そうね、いいかもしれないわ。あっ、でもその時間がもったいないって言うのじゃないかしら」
「ありえますね・・・ですが、そこは業務命令ということで」
ロリーンの予想通り、ダリアは自分が練習する時間が失われると不満を漏らしたが、特別手当をチラつかせると
「行きますっ、あたしたちみんなのために!たくさん人探してきまっすっ!」
金で買われた気合いに満ちあふれている。
「誰でもいいわけじゃないのよ。まず少数精鋭で、ダリア。あなたのようなやる気のある人を探してほしいの。一生の仕事にしたいと思ってくれるようなね」
「お嬢様、大丈夫ですよ。誰に食わせてもらってるんだって男たちに言われながら、自分じゃ稼げないからって我慢してる女性はたっくさんいるんです!こどもを抱えて、食べていけるだけ稼げる仕事があればすぐ離婚してやるのにって」
最近誰か似たようなことを言っていたと、ナミリアの脳裏にロリーンの顔が浮かぶ。
(貴族でも平民でも、女性っていうだけで下に見られるなんて)
ふとナミリアは閃いた。
それはこの世界ではまだ画期的なこと。
でもそれを取り入れれば、きっと多くの女性が来てくれるという自信があった。
「イールズ商会に行ってくるわ。ダリア、やりすぎないように気をつけてね」
ロリーンの事情は知らなかったが、そう聞くと、ナミリアは責任重大だと武者震いする。
「まあ大丈夫よ、イールズ商会が見込があると言うのだから。私たちは粛々と準備の手を抜かず、花開く日まで頑張りましょう!」
ひとりで頑張るわけではない。
既にダリアとレレランが、そして新たに加わるレレランの仲間が、東国に負けない品質の生地や糸を作れるように手を尽くしてくれるはずだ。
皆で手を取り合えば、必ず成功できると信じて、ナミリアも自身の胸にさらなる努力を約束した。
イールズ商会にチューラルンゲから数人の女たちが到着したのは、それから十日ほど経ってから。
レレランとの感動の再会はダリアの邪魔であっと言う間に終わり、荷物もかたしていないのに、工房でダリアに技術を見せる羽目になっていた。
それでも誰一人文句を言う者はいない。
何故なら、ダリアが熱狂的な尊敬の念をレレランに向け、同じような尊敬の念を彼女らにも向けていたから。
下賤な労働者として扱われてきたのが、ここに来たら敬われる先生になったのだから驚いたのなんの。
からかわれているのかと疑ったが、レレランはすました顔をしている。
どうやら嘘ではないらしいとわかり始めると、これまたカタコトでダリアの質問に答え始めた。
皆うれしそうだ。
「すごいわ!何を聞くとみんなが答えてくれて、わからないことなんかすぐに無くなりそう!」
ダリアも嬉しそうだった。
「ダリアちゃんの他にもこの国の者を育てないとならないのだけど」
「ええ、なかなかこれという者が見つからなくて」
やる気100%のダリアと比べているのだ。
ハードルが高すぎて、良いと思える者が見つからないのも無理はないのだが。
それでもひとりふたりと見つけ出した原石たちは、ダリアを追うように仕事を夢中で覚え始めている。
「以前ミヒア様が人が大切、人を探すのが一番大変と仰られていた意味がようやくわかりましたわ。半年近く経っても、まだ必要な人材が揃ってないという現実!」
「そうなのよね。まさか私の生徒に声をかけるわけにもねえ」
ロリーンの生徒たちは貴族の令嬢か、裕福な商家の娘たちである。そんな彼女たちと将来結婚する相手も妻を女工にしようとは思わないだろう。
「やっぱりそれは無いわね」
「ダリアに声かけして歩いてもらうのは如何でしょう」
ふと思いついたナミリアの声に、ロリーンはハッとした。
「そうね、いいかもしれないわ。あっ、でもその時間がもったいないって言うのじゃないかしら」
「ありえますね・・・ですが、そこは業務命令ということで」
ロリーンの予想通り、ダリアは自分が練習する時間が失われると不満を漏らしたが、特別手当をチラつかせると
「行きますっ、あたしたちみんなのために!たくさん人探してきまっすっ!」
金で買われた気合いに満ちあふれている。
「誰でもいいわけじゃないのよ。まず少数精鋭で、ダリア。あなたのようなやる気のある人を探してほしいの。一生の仕事にしたいと思ってくれるようなね」
「お嬢様、大丈夫ですよ。誰に食わせてもらってるんだって男たちに言われながら、自分じゃ稼げないからって我慢してる女性はたっくさんいるんです!こどもを抱えて、食べていけるだけ稼げる仕事があればすぐ離婚してやるのにって」
最近誰か似たようなことを言っていたと、ナミリアの脳裏にロリーンの顔が浮かぶ。
(貴族でも平民でも、女性っていうだけで下に見られるなんて)
ふとナミリアは閃いた。
それはこの世界ではまだ画期的なこと。
でもそれを取り入れれば、きっと多くの女性が来てくれるという自信があった。
「イールズ商会に行ってくるわ。ダリア、やりすぎないように気をつけてね」
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