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18話

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 気圧されたジョリーズは思わず頷いていた。

「賛成してくださいますのね!」
「あ、あ?」

 うれしそうな娘を久しぶりに見たジョリーズに、反対などできるわけがない。

「ミヒア様とやるならいいだろう」

 選んだ相手が自分でなかったことが寂しかったが、それは口にしない。



「どのような事業にしていくのかは決まっているのかな?」
「ええ、おおまかなことは。国に届け出る事業計画はミヒア様がまとめてくださるそうですわ」

 貴族が新規事業を始める場合は、必ず国に届け出が必要なのだ。

「ああ。イールズ商会に任せれば、落ちはないだろうからな」

 そう口にして、ふとミヒア・イールズがともにやろうと自分で事業計画を書き起こすほどなら、意外と見込みのあるものではないかと気がついたジョリーズ。

「なあナミ。その事業にはレンラ子爵家として参加するのかい?ナミ個人なのか?」
「即決したかったので、一応いまのところは私個人の参加ですけど」
「出資の機会があるなら、せっかくだからレンラ子爵家からも出したいと思うのだが」
「ありがとうございます!当座は私たちの出資でまにあうはずですが、増資する場合は必ずお父様にお声がけいたしますわ」
「ああ!頼むよ。ところでナミ、少し話があるんだが」

 ジョリーズはこの数ヶ月、妻テリーエに止められていたナミリアの結婚について話すことにした。

「実はな、数ヶ月前にローズリー・ワンド子爵からおまえに結婚の申込みがあってな」
「ワンド子爵?」
「領地はちょうどうちから王都を挟んだ反対側といったところだな。まだ爵位を継いだばかりの若い子爵で、歴史のある家系とは言えないんだが。 
その当主が相手の有責で婚約を破棄し、新たな婚約者を探しているそうなんだ」
「・・・・・まだ私には考えられませんわ。今は新しい仕事で頭の中がいっぱいですし、できることでしたらお断り頂けないでしょうか」
「しかしだな、年齢的にもこれだけ条件のよい話は意外と少ないものだぞ」

 年頃を合わせようとすると問題を抱えている者。条件で選ぼうとするとかなり年上の相手、かつ後妻の可能性が高い。

「わかってますわ。それでも気が進みませんの」
「会うだけでもどうかな?ずっと声をかけられているんだ」

 この条件だというのにテリーエは反対したが、ジョリーズは穏やかな笑みを浮かべたなローズリー・ワンドなら、傷ついたナミリアを大切にしてくれると考えていた。
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