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第14話 図書室でみつけたもの
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事故から三月が経ち、リイサが学院に復帰することは叶わないまま、卒業を迎えてしまった。
最後までリイサのそばにいてくれた幼馴染みの令嬢たちは見舞いの手紙や贈り物を届けてくれるが、何しろ今のリイサにとっては知らない人々なので今はまだ礼状を返すことにとどめている。
ニーラス王子は北の塔にておとなしく謹慎している。
当初貴族牢に入れられていたカイルラは国王の逆鱗に触れ、今は王都の町はずれにある賤民を収容する牢に移されているそうだ。
平民から贅沢な貴族の令嬢となったが、今やジュートでできた大きな収穫袋に穴を開けたものを服の代わりに頭から被せられている。さぞその身の在り方を嘆いていることだろう。
しかしそんなことを気に留めることもなく、リイサは公爵家で静養を続けながら失った記憶と呼ばれる知識を学んでいた。
もともと李依紗は勉強が得意である。
金を稼ぐためには勉強するのが一番だと、そして金をかけずに勉強ができるという一石二鳥で、よく図書館に入り浸っていた。
大学では経済を学び始めたところだった。
金を稼ぐだけではなく、チリツモを効率よく増やしていくには経済を学ぶのが早道だと大学入学前から取れる資格にもどんどん挑戦しようと思っていた。
まあ、今思うとなぜあんなにもカネカネ言っていたのやら、ゆとりある貴族なんぞになってみて、小さかったな自分と恥ずかしくなるほどのドケチぶりだったと恥ずかしくなる。
こちらの世界に慣れて、最初にリイサが行ってみたのは屋敷の図書室だ。
サレンドラ家だけではなく王国の歴史などもここで知ることが出来たがそれだけではなく、どこの世界も古い本の匂いは変わらない。
懐かしい空気に満たされた図書室で緊張を緩めることができた。
ちなみに何も学ばなくとも話せて読み書きできるのは、神が言語能力スキルを与えたから。リイサは当たり前過ぎて疑問に思ったことはないが、一応そのくらいはカバーしてやったんだぞ!と神は空の上から主張しているのだが、聴こえていないらしい。
さて。図書室で本と共に過去のサレンドラ家の帳簿を見つけたリイサが気づいたのは、この世界では単式帳簿しか使っていないらしいということ。
最初に見つけた古い一冊のあと、図書室に収納されたニ年前までの帳簿も複数見つけたが、さらりと斜め読みしただけでもひどい内容だとわかる。
何時いくら入ったか。そして何時いくら払ったかは書かれていても、どこに何のために払ったかが書かれていない。これでは本当にそのためにこの金額を支払ったか確認のしようもない。
「ん?この計算あってないんじゃないかしら」
パラパラめくるうちに気づいた違和感に計算ミスか?と思って指先で数字を追う。
しかしこの数字の根拠がないので詰めきれず、消化不良のような気持ち悪さが残る。
どうにももやもやして父ライザックの執務室に向かった。
「お父様、少しお話よろしいでしょうか?」
「おお、リイサ!体調はどうだ?」
「ありがとうございます、今日はよい感じですわ。ところでこれですが」
図書室から持ち出したニ年前の帳簿をみせると、ライザックは小首を傾げた。
最後までリイサのそばにいてくれた幼馴染みの令嬢たちは見舞いの手紙や贈り物を届けてくれるが、何しろ今のリイサにとっては知らない人々なので今はまだ礼状を返すことにとどめている。
ニーラス王子は北の塔にておとなしく謹慎している。
当初貴族牢に入れられていたカイルラは国王の逆鱗に触れ、今は王都の町はずれにある賤民を収容する牢に移されているそうだ。
平民から贅沢な貴族の令嬢となったが、今やジュートでできた大きな収穫袋に穴を開けたものを服の代わりに頭から被せられている。さぞその身の在り方を嘆いていることだろう。
しかしそんなことを気に留めることもなく、リイサは公爵家で静養を続けながら失った記憶と呼ばれる知識を学んでいた。
もともと李依紗は勉強が得意である。
金を稼ぐためには勉強するのが一番だと、そして金をかけずに勉強ができるという一石二鳥で、よく図書館に入り浸っていた。
大学では経済を学び始めたところだった。
金を稼ぐだけではなく、チリツモを効率よく増やしていくには経済を学ぶのが早道だと大学入学前から取れる資格にもどんどん挑戦しようと思っていた。
まあ、今思うとなぜあんなにもカネカネ言っていたのやら、ゆとりある貴族なんぞになってみて、小さかったな自分と恥ずかしくなるほどのドケチぶりだったと恥ずかしくなる。
こちらの世界に慣れて、最初にリイサが行ってみたのは屋敷の図書室だ。
サレンドラ家だけではなく王国の歴史などもここで知ることが出来たがそれだけではなく、どこの世界も古い本の匂いは変わらない。
懐かしい空気に満たされた図書室で緊張を緩めることができた。
ちなみに何も学ばなくとも話せて読み書きできるのは、神が言語能力スキルを与えたから。リイサは当たり前過ぎて疑問に思ったことはないが、一応そのくらいはカバーしてやったんだぞ!と神は空の上から主張しているのだが、聴こえていないらしい。
さて。図書室で本と共に過去のサレンドラ家の帳簿を見つけたリイサが気づいたのは、この世界では単式帳簿しか使っていないらしいということ。
最初に見つけた古い一冊のあと、図書室に収納されたニ年前までの帳簿も複数見つけたが、さらりと斜め読みしただけでもひどい内容だとわかる。
何時いくら入ったか。そして何時いくら払ったかは書かれていても、どこに何のために払ったかが書かれていない。これでは本当にそのためにこの金額を支払ったか確認のしようもない。
「ん?この計算あってないんじゃないかしら」
パラパラめくるうちに気づいた違和感に計算ミスか?と思って指先で数字を追う。
しかしこの数字の根拠がないので詰めきれず、消化不良のような気持ち悪さが残る。
どうにももやもやして父ライザックの執務室に向かった。
「お父様、少しお話よろしいでしょうか?」
「おお、リイサ!体調はどうだ?」
「ありがとうございます、今日はよい感じですわ。ところでこれですが」
図書室から持ち出したニ年前の帳簿をみせると、ライザックは小首を傾げた。
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