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第23話
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数日後、ジャブリックに連れられて城に上がったアニエラは、王妃とメリレア姫からいくつかの刺繍を頼まれ、ロイリー騎士爵家の刺繍組と呼ばれる面々とそれを仕上げて献上した。
勿論代金を払うと王妃は言ったのだが。
初めての記念の品だからこそ献上したいというアニエラに感銘を受けた王妃が、次の注文からはどんなことがあっても代金を受け取らせると約束させて。
品物が入った包みは受け取った女官からまずメリレア姫に渡され、期待に満ちた目で姫が開けると、ハンカチ数枚とポーチ、ストールなどに煌めく刺繍が施されているのが見えた。
ストールを抜き出して広げると。
「「っ!」」
様々な色の刺繍糸が複雑に絡み合い、立体的な花々がストール全体に現れた。
それはまるで本物のような美しさと緻密さで、匂いがないことが不思議なほどで、すぐ肩にかけたメリレア姫は花を纏ったように見える。
「素晴らしいわ!なんという美しさかしら」
王妃も興奮に頬を紅潮させて姫に歩み寄り、それが間違いなく刺繍だと確認するようにストールに触れる。
「とっても美しいわ、ああ!お母様こちらも見て」
国内でもっとも高貴な母娘は、今や綺麗なもの大好きの普通の母娘となり、はしゃいだ声をあげてハンカチを広げては下ろし、また次の物を手に取って歓声をあげている。
「これほどの物とは。予想を超える素晴らしさだわ、ありがとう」
王妃が握手をしようとアニエラに手を差し出すと、緊張で硬直したアニエラは、油が切れた蝶番のようにギシギシ音を立てたような動きで腕をあげた。
「ふふ、アニエラ。そう呼んでよろしくて?」
「は、はいっ」
おっとりしているアニエラだが、さすがに声が裏返っている。
「大丈夫よ、緊張しなくても。次に刺繍をして欲しいものを準備させたら、また頼めるかしら?」
「はい、勿論でございます。み、身に余る光栄でございます」
にっこりと微笑んだ王妃の目が、アニエラのドレスの裾に吸い付いた。
勿論代金を払うと王妃は言ったのだが。
初めての記念の品だからこそ献上したいというアニエラに感銘を受けた王妃が、次の注文からはどんなことがあっても代金を受け取らせると約束させて。
品物が入った包みは受け取った女官からまずメリレア姫に渡され、期待に満ちた目で姫が開けると、ハンカチ数枚とポーチ、ストールなどに煌めく刺繍が施されているのが見えた。
ストールを抜き出して広げると。
「「っ!」」
様々な色の刺繍糸が複雑に絡み合い、立体的な花々がストール全体に現れた。
それはまるで本物のような美しさと緻密さで、匂いがないことが不思議なほどで、すぐ肩にかけたメリレア姫は花を纏ったように見える。
「素晴らしいわ!なんという美しさかしら」
王妃も興奮に頬を紅潮させて姫に歩み寄り、それが間違いなく刺繍だと確認するようにストールに触れる。
「とっても美しいわ、ああ!お母様こちらも見て」
国内でもっとも高貴な母娘は、今や綺麗なもの大好きの普通の母娘となり、はしゃいだ声をあげてハンカチを広げては下ろし、また次の物を手に取って歓声をあげている。
「これほどの物とは。予想を超える素晴らしさだわ、ありがとう」
王妃が握手をしようとアニエラに手を差し出すと、緊張で硬直したアニエラは、油が切れた蝶番のようにギシギシ音を立てたような動きで腕をあげた。
「ふふ、アニエラ。そう呼んでよろしくて?」
「は、はいっ」
おっとりしているアニエラだが、さすがに声が裏返っている。
「大丈夫よ、緊張しなくても。次に刺繍をして欲しいものを準備させたら、また頼めるかしら?」
「はい、勿論でございます。み、身に余る光栄でございます」
にっこりと微笑んだ王妃の目が、アニエラのドレスの裾に吸い付いた。
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